「少女ココウェル」
「見たケイ、今のブサカップル」
「………………いいえ見てません」
「かわいそうにねぇ、カレシがあれじゃあカノジョもアレ。お似合いだとは思うけどねぇ、きゃはは! ま、わたし達には遠く及ばないわね」
「……蓼食う虫も好き好き、好きに貴賤は無い、とだけ思います」
「次わたしに同調しなかったら殺させるから。アヤメに」
「……承知しました」
……散見されるカップルを悉く蔑み、俺とペアになることで美男美女のカップルになっている自分の価値を引き上げたいから、ということのようだ。ここまで見ていると。
要するに俺はステータス。持ち物。服、アクセサリー、腕時計のようなものだ。
「美男を連れ歩く美少女」としての自分を振り撒きたくて仕方が無いのだろう。
拍子抜けと言えば、その通りだ。
教本に写真も載らぬ、どこへ出しても恐らく恥ずかしい出涸らし。
そんなはみ出し者がなまじ権力だけを持て余し、果たしてどんな無理難題を押し付けてくるかと思いきや――アクセサリーとなって追従しろ、というだけだとは。
だが実際、効果は覿面。ココウェルはどこから切り取って見ても美少女なのだ。
小柄な体。の癖に、出るところは出過ぎていて――こう言ってはなんだがあまり運動もしていないのだろう、それなりの肉付きをしている。有り体に言えばムチムチだ。
それに加えて、露出狂のような胸元のバックリ開いた服。
極めつけにはこの男に媚びに媚びた仕草と声と立ち居振る舞いだ。
男性目線ではあるが、これは誘惑されるなと言う方が無理な相談だと思う。
そうして、晴れて露出狂に視線を奪われた彼氏は彼女との間に溝、もとい亀裂を生み、そんなカップルを王女殿下は大槌のように強力な言葉で意気揚々と粉々に打ち砕いていく。
もしやこれ自体がプレジア襲撃の一幕なのでは、なんてことまで考えた。
……そんなことを考えた自分も、きっと先刻よりいくらか腑抜けにされているのだろう。
それ程に、暴君ココウェルの願いが素朴で単純なのだ。
言うなればそう――ただの年頃の女子、のような。
――こいつ、いくつなのだろう。
「ココウェル。貴女、今年で何歳になるのです?」
「不敬よ。王族の、しかも女性の年齢を聞くなんて。信じられない――ま、わたしに興味を持っちゃうのは仕方のないところだけどねーっ」
などと言いながら、より腕に体を押し付けてくるココウェル。
恥じらいは無いのか、お前には。ほぼ初対面の相手だぞ。
王女などより、その……風俗嬢、娼婦だ等とでもと言われた方がよっぽどしっくりくる。
「今年で十九になるわ。ちなみにお前は?」
「……今年で十八に」
「そう。つまりわたしの方が年上ってことね? この意味分かるわよねぇ?」
「……年長者には敬意を」
「よろしい。あっ、ねえ次はあれ食べたい!」




