「隣同士のベッドで」
「じゃあ、ひとまずこの場は解散しよう。今警備に出ている連中には、アルクスの方から連絡を回す。特に魔術師コースの君らは、ここでの話を決して口外しないように」
『はい!』
「校医先生は、とりあえずシータ・メルディネスの検査を」
「ええ。検査準備はとっくにできてるわ。さっそく取りかかるわね」
「ええ。――では校長」
「……アルクスを呼び戻さなければなりませんね」
「昨日の時点で既に連絡済みです。任務を終え、明日にはガイツ兵士長が戻る予定です」
「そうですか。私のせいで要らぬ苦労をかけて申し訳ない」
「仕事ですから。あなたはしっかり話をしてくれればいい」
「ええ。では、行きましょう」
「それとギリート・イグニトリオ」
「はい?」
「議論の進展には助けられたが、大貴族とはいえミーティングをすっぽかすのはいただけんぞ。他の連中は今そっちに行ってるんだろ」
「げ。バレてたんですね」
「なぜバレないと思うんだ。さっさと行け」
「はーい」
「ケイ・アマセ。お前もだぞ」
「俺?」
「セイカードとアルテアスに警護される筈だったろう。煩わしかろうが決定には従え」
「……はい。ではこの後二人と合流を」
「ああ」
皆に一足遅れ、医務室を出る。
いつ終わるとも知れないミーティングを待ってなどいられない。
王国の関係者かもしれない襲撃者。
と時を同じくして現れた、お忍び王女。
偶然にしては出来過ぎている。
どこだ。
ココウェル・ミファ・リシディア。
◆ ◆
「……ん……」
テインツ・オーダーガードが目を覚ましたのは、それからしばらくしてのことだった。
覚めぬ眠気にぼやける視界の中で、意識がゆっくりと現実を――
「……ッッ……!!」
――黒装束の二人組に敗北した自分を、思い出させた。
飛び起きる。
首を振るまでもなく、視界には複数の空いたベッドと、そして――ぐったりした様子で寝かされている風紀委員たち。
彼らが何にやられたのかはすぐに検討が付いた。
医務室の引き戸が開かれた。
「!」
「っ……」
服の胸元のボタンを留めながら現れたのは、シータ・メルディネス。
シータは胸元を隠すようにしながら、早歩きで自分のベッドに戻り、布団にくるまって背を向けた。
右隣のベッドに居たテインツに。
「な……なんだよ君、その動きはっ」
「う、うるさいわよっ。じろじろ見ないで視姦よっ」
「シ、シカン……??」
「変態な目で見ないでってことっ!」
「へっ――見てないよそんな風には失礼なっ!」
「はっ、どうだかっ。…………」
十人ほどの空間。
目覚めているのは彼と彼女だけ。
なんて時に目覚めてしまったのだろう、とテインツは思う。
せめて、空いたベッドに寝ていたはずの者達が戻ってくれば――
――空いたベッド。
「無事なんだよな。空いてるベッドに寝ていた奴らは」




