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配信開始。
一瞬だけ。
間がある。
《きた》
《ほんとに来た》
《大丈夫?》
コメントが、流れる。
早い。
前より、明らかに。
ヒカリが、少しだけ息を吐く。
「こんばんは」
いつも通りの声。
少しだけ、静か。
《こんばんは》
《待ってた》
《大丈夫?》
混ざる。
心配と。
様子見と。
いつも通りの人たち。
ヒカリは、そのまま続ける。
「今日は、普通にやるよ」
短く。
それだけ。
少しの間。
「ユイも、いる」
言う。
一拍。
「……いる」
ユイの声。
少しだけ、硬い。
でも。
ちゃんと、そこにいる。
《よかった》
《戻ってきた》
《安心した》
コメントが流れる。
その中に。
《例の件どうなの?》
《説明は?》
《本人?》
違う色も、混ざる。
ヒカリは、見る。
でも。
拾わない。
「今日はね」
「いつも通りやる」
もう一度言う。
はっきり。
ユイが、少しだけ息を吐く。
「……やる」
短く。
でも。
前を向いている。
ゲームが始まる。
音が戻る。
動きも、戻る。
《初見です》
一つのコメント。
ヒカリが、すぐに反応する。
「初見さんいらっしゃい」
自然に言う。
「今ちょっとバタバタしてるけど」
「いつもこんな感じでやってるよ」
少しだけ笑う。
そのとき。
コハクが、ひょこっと前に出る。
小さく、動く。
《コハクいる!》
《かわいい》
《癒し》
ヒカリが、それを見る。
「コハクもいるしね」
軽く言う。
コハクが、尻尾を揺らす。
「だからさ」
少しだけ、間。
「来てくれた人は、みんな歓迎」
はっきり言う。
ユイが、少しだけ見る。
「……うん」
小さく、頷く。
《いいね》
《この空気好き》
《やっぱここだな》
コメントが、変わっていく。
戻っていく。
少しずつ。
ヒカリが、少しだけ笑う。
「じゃあ、いこっか」
ユイが、すぐに動く。
その動きは。
さっきまでより、少しだけ軽かった。
二人と、一匹。
その空間は。
ちゃんと、戻り始めていた。




