Plateau
明日は引越し日のためお休みいただきます…
すみません。
次回は火10時予定です!
同じ時間。
同じ流れ。
同じ始まり。
「こんばんは」
《こんばんは》
《来た》
《待ってた》
いつものコメント。
いつもの空気。
視聴者数。
**140 → 180 → 210**
増えている。
でも。
止まる。
**213**
それ以上、動かない。
ヒカリは、一瞬だけその数字を見る。
それから。
いつも通り、前を見る。
「今日は歌からやります」
言い方も、もう迷わない。
歌う。
ちゃんと届いている感覚もある。
《いい》
《今日も好き》
《安定してる》
悪くない。
むしろ、いい。
でも。
増えない。
視聴者数。
**220 → 225 → 223**
少し動いて。
また、止まる。
ヒカリは、それを見ないようにする。
次へ進む。
「ユイ、お願い」
「……うん」
ユイのプレイ。
いつも通り、正確。
コメントも流れる。
《うま》
《安心する》
《やっぱ強い》
でも。
同じ人たちの名前が、多い。
見慣れたアイコン。
見慣れた言葉。
フォロワーを見る。
**5,120**
増えている。
昨日より。
確実に。
でも。
遅い。
ヒカリは、少しだけ息を吐く。
コハクが、隣にいる。
尻尾が揺れる。
二本。
それも、もう普通になってきた。
《狐かわいい》
《癒し》
コメントは、優しい。
空気も、悪くない。
でも。
広がっている感じが、しない。
配信が終わる。
静かになる。
「……どうだった?」
ヒカリが、聞く。
ユイは、すぐには答えない。
「悪くはない」
「うん」
「でも」
少しだけ、間。
「増えない」
はっきり言う。
ヒカリは、少しだけ笑う。
「だよね」
否定しない。
分かっている。
「同じこと、やってるからかも」
ヒカリが言う。
「……うん」
「良くはなってるけど」
「変わってない」
ユイの言葉は、短い。
でも、正確だった。
ヒカリは、少しだけ考える。
歌。
FPS。
コハク。
全部、ちゃんとやっている。
でも。
「足りないのかな」
ぽつりと、言う。
ユイは、少しだけ視線を上げる。
「新しい何か」
「……」
ヒカリは、少しだけ笑う。
迷っている。
でも。
止まるつもりはない。
「探すしかないね」
そう言う。
ユイは、短く頷く。
コハクが、二人を見る。
静かに。
何も言わずに。
その目が。
ほんの少しだけ。
深くなった気がした。




