Real
静かだった。
音が少ない。
広くもない空間。
白い天井。
ゆっくりとした、規則的な音。
ヒカリは、目を開ける。
少しだけ、ぼんやりしている。
それでも。
すぐに思い出す。
「……あ」
昨日のこと。
コラボ。
レイ。
ユイ。
コハク。
少しだけ、笑う。
楽しかった。
ちゃんと、楽しかった。
視線を、横に向ける。
窓がある。
カーテンの隙間から、光が入っている。
少しだけ、眩しい。
手を伸ばして、少しだけ開ける。
外。
空。
風に揺れる、木。
遠くの建物。
静かな景色。
きれいだと思う。
でも。
少しだけ、遠い。
ヒカリは、そのまましばらく眺める。
何も考えずに。
ただ、見ている。
それから。
小さく息を吐いた。
「……今日も、やろう」
誰に言うでもなく。
そう呟く。
視界の端に、昨日の数字が浮かぶ。
増えていたフォロワー。
流れていたコメント。
全部。
ちゃんと覚えている。
「一万」
小さく、言葉にする。
重い数字。
でも。
嫌じゃない。
やってみたいと思った。
その気持ちは、変わっていない。
もう一度、窓の外を見る。
空は、同じまま。
何も変わっていない。
それでも。
昨日と同じじゃない気がした。
ヒカリは、少しだけ笑う。
それから。
ゆっくりと、目を閉じる。
一瞬の暗闇。
次の瞬間。
視界が、開ける。
色が戻る。
音が増える。
空気が動く。
「……ただいま」
小さく呟く。
返事はない。
でも。
ここが、自分の場所だと分かる。
それで、十分だった。




