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Invitation

「ちょっと休憩しよっか」


 


レイが、軽く言う。


 


 


さっきまでの空気が、少しだけ緩む。


 


 


戦闘音が消えて。


 


 


静かな空間に戻る。


 


 


 


《雑談きた》

《助かる》

《ここから本番》


 


 


 


ヒカリが、ふっと息を吐く。


 


 


「さすがにちょっと疲れました……」


 


 


 


「だよね」


 


 


レイが、少し笑う。


 


 


 


ユイは、何も言わない。


 


 


でも。


 


 


いつもより少しだけ、肩の力が抜けている。


 


 


 


コハクが、その場に座る。


 


 


 


三人と一人。


 


 


同じ空間で、少し落ち着く。


 


 


 


「二人、普段からあんな感じでやってるの?」


 


 


レイが、何気なく聞く。


 


 


 


「いや、あそこまで綺麗にハマったのは初めてです」


 


 


ヒカリが笑う。


 


 


 


「だよね」


 


 


 


「でも、すごくやりやすかったです」


 


 


 


ユイが、短く言う。


 


 


 


レイが、少しだけ視線を向ける。


 


 


 


「いいね、それ」


 


 


 


それだけで、ちゃんと伝わる。


 


 


 


 


少しの間。


 


 


 


コメントがゆっくり流れる。


 


 


 


《いい空気》

《ずっと見てられる》

《神コラボ》


 


 


 


 


「さっきの、たぶん伸びるよ」


 


 


 


レイが、軽く言う。


 


 


 


「え」


 


 


 


ヒカリが反応する。


 


 


 


「切り抜き回るタイプだったし」


 


 


 


 


淡々としている。


 


 


 


でも。


 


 


 


経験で言っているのが分かる。


 


 


 


 


「……嬉しいです」


 


 


 


ヒカリが、少しだけ笑う。


 


 


 


 


レイが、少しだけ間を置く。


 


 


 


 


「そういえばさ」


 


 


 


 


軽く、話題を変える。


 


 


 


 


「大会、興味ある?」


 


 


 


 


「大会?」


 


 


 


ヒカリが、首を傾ける。


 


 


 


 


「この世界のやつ」


 


 


 


 


レイが言う。


 


 


 


 


「配信者が集まるやつで、結構でかい」


 


 


 


 


コメントが少しざわつく。


 


 


 


《あれ?》

《まさか》

《大会の話?》


 


 


 


 


「いろんなジャンル混ざるんだけど」


 


 


 


 


「歌もあるし、ゲームもあるし」


 


 


 


 


「総合で見られる感じのやつ」


 


 


 


 


ヒカリの表情が、少し変わる。


 


 


 


 


「そんなのあるんですね」


 


 


 


 


「あるよ」


 


 


 


 


レイは軽く頷く。


 


 


 


 


「上の方、だいたい出る」


 


 


 


 


少しの間。


 


 


 


 


「あの“女王”も出るし」


 


 


 


 


その一言。


 


 


 


 


空気が、少しだけ変わる。


 


 


 


《出た》

《女王》

《やばい》

《本物のやつ》


 


 


 


 


ヒカリが、少しだけ息を飲む。


 


 


 


 


名前は出ていない。


 


 


 


でも。


 


 


 


誰のことかは分かる。


 


 


 


 


この世界で。


 


 


 


一番上にいる存在。


 


 


 


 


「……すごいですね」


 


 


 


 


ヒカリが、素直に言う。


 


 


 


 


レイは、それを見て。


 


 


 


 


少しだけ笑う。


 


 


 


 


「出てみる?」


 


 


 


 


軽い言い方。


 


 


 


でも。


 


 


 


重い提案。


 


 


 


 


「え」


 


 


 


ヒカリが固まる。


 


 


 


 


ユイも、少しだけ視線を向ける。


 


 


 


 


「出れるんですか……?」


 


 


 


 


ヒカリが、恐る恐る聞く。


 


 


 


 


「普通は無理」


 


 


 


 


即答。


 


 


 


 


「でも、紹介あればいける」


 


 


 


 


一拍。


 


 


 


 


「俺の名前で通せる」


 


 


 


 


コメントが、一気に流れる。


 


 


 


《え》

《ガチ》

《やばい話きた》

《それは強い》


 


 


 


 


ヒカリが、言葉を失う。


 


 


 


 


あまりにも、急で。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


遠い話じゃない。


 


 


 


 


「ただ」


 


 


 


レイが、続ける。


 


 


 


 


少しだけ、トーンが変わる。


 


 


 


 


「条件あるけどね」


 


 


 


 


「条件……?」


 


 


 


 


ヒカリが、聞き返す。


 


 


 


 


「半年」


 


 


 


 


短く。


 


 


 


 


「フォロワー一万」


 


 


 


 


 


静かになる。


 


 


 


 


《えぐ》

《きつ》

《でも現実的》

《いけそう》


 


 


 


 


ヒカリが、ゆっくり息を吐く。


 


 


 


 


無理ではない。


 


 


 


でも。


 


 


 


簡単でもない。


 


 


 


 


ユイは、何も言わない。


 


 


 


でも。


 


 


 


少しだけ、目が変わる。


 


 


 


 


「……やる?」


 


 


 


レイが、軽く聞く。


 


 


 


 


試すような言い方じゃない。


 


 


 


 


ただ、確認するだけ。


 


 


 


 


ヒカリは。


 


 


 


少しだけ考えて。


 


 


 


 


それから。


 


 


 


笑う。


 


 


 


 


「やってみたいです」


 


 


 


 


その答えは、迷っていなかった。


 


 


 


 


レイが、小さく頷く。


 


 


 


 


「いいね」


 


 


 


 


短い一言。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


それで十分だった。


 


 


 


 


「期待してる」


 


 


 


 


軽く言う。


 


 


 


 


それだけなのに。


 


 


 


 


少しだけ、重い。


 


 


 


 


ヒカリが、少しだけ笑う。


 


 


 


 


「がんばります」


 


 


 


 


コハクが、二人を見る。


 


 


 


 


何も言わない。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


その目は、少しだけ静かだった。


 


 


 


 


配信が、ゆっくり終わっていく。


 


 


 


 


余韻の中で。


 


 


 


 


新しい目標だけが、はっきりと残っていた。


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