Blend
「もう一回やる?」
レイが、軽く言う。
「やりたいです」
ヒカリが、すぐに答える。
ユイは何も言わない。
でも、もう次の動きに入っている。
マッチング待機。
さっきよりも、少しだけ空気が軽い。
《もう一回きた》
《連戦》
《神回継続》
「さっきのさ」
ヒカリが、少しだけ前に出る。
「もうちょっと歌、ちゃんと合わせてみたいかも」
レイが、少しだけ視線を向ける。
「いいね」
短い一言。
でも、ちゃんと乗ってくる。
「じゃあ、次それ混ぜる?」
「混ぜる……?」
ヒカリが少し首を傾ける。
「試合中に」
軽く言う。
「音、作るから」
「え」
ヒカリが笑う。
「それできるんですか」
「やってみれば分かる」
《なにそれ》
《やばそう》
《天才きた》
――マッチング完了。
開始。
ユイが、前に出る。
いつも通り。
無駄がない。
その横で。
レイが、小さく音を鳴らす。
ギター。
短いフレーズ。
戦闘の合間に、差し込まれる。
ユイの動きと、ずれない。
むしろ。
タイミングを作っている。
「……っ」
ヒカリが、息を吸う。
乗せる。
声を。
さっきよりも、自然に。
撃つ。
音が重なる。
リロード。
間に、歌。
三つが、ひとつになる。
《なにこれ》
《えぐ》
《完成してる》
《意味わからん》
ユイが敵を落とす。
そのタイミングで、音が切り替わる。
レイが合わせる。
ヒカリが乗せる。
流れが止まらない。
気づけば。
終盤。
「右、二人」
ユイが言う。
「見てる」
レイが返す。
撃つ。
一人。
もう一人。
――チャンピオン。
「……やば」
ヒカリが笑う。
「これ、楽しい」
「いい感じだね」
レイが言う。
ユイは、少しだけ息を吐く。
「……やりやすいです」
それは、かなり高い評価だった。
レイが、少しだけ笑う。
「じゃあ、もうちょっとやろうか」
空気が、完全に噛み合っていた。




