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Short

「こんヒカ、こんユイ、こんコハク〜!」


 


ヒカリが元気よく手を振る。


 


少し遅れて、コハクが前足を上げる。


 


 


《こんヒカ》

《こんユイ》

《こんコハク》

《定着してきたな》


 


 


「おー、揃ってきたね」


 


ヒカリが嬉しそうに笑う。


 


 


ユイも、小さくうなずく。


 


 


「……なんか、ちゃんとしてきた感じする」


 


 


「でしょ?」


 


 


ヒカリは少し得意げだった。


 


 


視聴者数――141。


 


 


前回より、少しだけ減っている。


 


 


でも、空気は悪くない。


 


 


 


「で、今日はね」


 


 


ヒカリが少しだけ声を落とす。


 


 


「配信じゃなくて、“外”も意識しようかなって」


 


 


《外?》

《どういうこと》

《コラボ?》


 


 


「違う違う」


 


 


ヒカリが手を振る。


 


 


「ClipTokとか、Streamiaのショート!」


 


 


《あー》

《確かに》

《それ大事》


 


 


 


「ねえユイ、やろ」


 


 


「……今?」


 


 


「今」


 


 


 


ユイが、少しだけため息をつく。


 


 


「……こういうの、苦手なんだけど」


 


 


「大丈夫大丈夫、すぐ終わるから!」


 


 


 


コハクが、二人を見ている。


 


 


 


「じゃあまずさ」


 


 


ヒカリが考え始める。


 


 


「コハクとシンクロ動画いく?」


 


 


 


「……シンクロ?」


 


 


 


「こうやって」


 


 


ヒカリが手を上げる。


 


 


コハクが、少し遅れて同じように前足を上げる。


 


 


 


《それいい》

《バズりそう》

《もうやって》


 


 


 


「ね?」


 


 


ヒカリが笑う。


 


 


 


「じゃあ、撮るよー!」


 


 


 


録画開始。


 


 


 


「こんヒカ、こんユイ、こんコハク〜!」


 


 


ヒカリが元気よく言う。


 


 


 


……コハク、動かない。


 


 


 


「え?」


 


 


 


もう一回。


 


 


 


「こんヒカ、こんユイ、こんコハク〜!」


 


 


 


……やっぱり動かない。


 


 


 


《草》

《なんで今》

《配信だとやるのに》


 


 


 


「コハクー!」


 


 


ヒカリが笑いながら呼ぶ。


 


 


 


少し遅れて。


 


 


 


コハクが、前足を上げる。


 


 


 


「遅い!」


 


 


 


《ラグ草》

《自由すぎる》

《それもいい》


 


 


 


ユイが、少しだけ笑う。


 


 


 


「……タイミング、難しいね」


 


 


 


「ね」


 


 


 


ヒカリが笑う。


 


 


 


「じゃあ次、ユイのやつ撮ろ」


 


 


 


「……私?」


 


 


 


「FPSワンシーン!」


 


 


 


「それは……まだいい」


 


 


 


即答だった。


 


 


 


《逃げた》

《ユイ回避》

《レアなのに》


 


 


 


「えー、絶対伸びるのに」


 


 


 


「……恥ずかしい」


 


 


 


少しだけ視線を逸らす。


 


 


 


ヒカリは、少しだけ考えて。


 


 


 


「じゃあさ」


 


 


 


声を少し落とす。


 


 


 


「私と一緒にやる?」


 


 


 


「……え」


 


 


 


「一人じゃなくて、二人で」


 


 


 


 


少しだけ、間。


 


 


 


ユイは、ゆっくりとうなずいた。


 


 


 


「……それなら」


 


 


 


 


録画開始。


 


 


 


ヒカリが軽く歌う。


 


 


 


その後ろで、ユイがワンシーンだけプレイする。


 


 


 


短い。


 


 


でも。


 


 


ちゃんと“二人”だった。


 


 


 


《いいじゃん》

《これ好き》

《バランスいい》


 


 


 


ヒカリが満足そうに笑う。


 


 


 


「よし、これ上げよ!」


 


 


 


「……うん」


 


 


 


コハクが、その様子を見ている。


 


 


 


静かに。


 


 


 


三人の距離が、少しだけ近づいた気がした。


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