ケントの結果
十月の初め、ケントが来た。
少し、落ち着いた顔をしていた。
「試験、落ちました」
「そうですか」
「体力試験は通ったんですが、面接で引っかかりました。まだ戻る準備ができていないと判断されたようです」
カインは黙って聞いた。
「落ち込んでいないわけじゃないです。でも、判断が正しかったのかもしれないとも思っています。面接で、仲間を失ったときのことを話してほしいと言われて。話したら、声が震えた」
「その震えが、まだ準備ができていないということでしたか」
「そう言われました。でも、面接官は、声が震えることが悪いとは言わなかった。今は別の回復の仕方があるかもしれないと」
カインはコーヒーを持ってきた。
「それを聞いて、どう思いましたか」
「最初は悔しかった。でも、帰り道に考えて、正しい判断だったと思うようになりました。アレン様の本を読んで、動けると思ったけど、思えることとできることは違った」
「それは大事な発見ですね」
「次は来年、また受けようと思っています。それまでに、声が震えないくらいに整理する」
「来年まで、ここに来てください」
「来ます。毎週来ます」
ケントはコーヒーを飲んだ。
「カイン、失敗したとき、どのくらいで立ち直りましたか」
「一年以上かかりました」
「一年以上」
「ただ、立ち直るまでの時間が長いことは、悪いことではないと思っています。それだけのことが起きたということですから」
「今もまだ途中ですか」
「今もまだ途中だと思っています」
ケントはそれを聞いて、少し目を見開いた。
「途中のまま、ここにいられますか」
「もちろんです。途中の方のための店ですから」
ケントは少し、笑った。
最初に来たときから、また少し変わった顔だった。




