表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王都のお一人様カフェ SOLITAIRE ソリテール  作者: yuruhuwa回路


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/190

ケントの答え

 九月のある朝、ケントが来た。


 いつもより早い時間だった。開店直後だった。


「今日、騎士団の受付に行きます」

「戻ることにしたのですか」

「試験だけ受けてみようと思って。受かるかどうかわからないし、受かっても戻るかどうかはまだわからない。でも、試験を受けることはできると思った」


 カインはコーヒーを淹れながら聞いた。


「何が、そう思わせましたか」

「先週、アレン様の本を読みました。本屋で見かけて」

「そうですか」

「英雄でも、ずっと怖かったことが書いてあった。仲間が傷つくことが怖かった、自分が力不足だと思い続けたことが書いてあった。それを読んで、俺だけじゃないんだと思った」

「そうですね」

「怖いまま、戻ることはできますか」

「できると思います」

「怖くなくなってから戻るべきではないですか」

「怖くなくなることは、ないかもしれません。ただ、怖いまま動けることが、強さだと思います」


 ケントはコーヒーを受け取った。


「試験の前に、ここに来ようと思っていました。来て正解だった気がします」

「そうですか」

「ここに来ると、頭の中が静かになる。静かな状態で試験に臨みたかった」


 コーヒーを飲んだ。


「美味しい」

「ありがとうございます」

「結果がどうであれ、また来ます。報告しに」

「お待ちしています」

「落ちたら、落ち込みに来ます。受かったら、緊張しに来ます」

「どちらでも、お待ちしています」


 ケントは立ち上がった。


 今日の服は、いつもより整えられていた。


「行ってきます」

「はい」


 扉が閉まった。


 カインは窓越しに、路地を歩くケントの後ろ姿を見た。


 背筋が伸びていた。


 最初に来たときの、肩を落とした後ろ姿とは、全然違っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ