表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王都のお一人様カフェ SOLITAIRE ソリテール  作者: yuruhuwa回路


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/187

タリアの黒馬

 タリアが来たのは、二月の晴れた日だった。


「新しい馬、迎えました」

「そうですか」

「黒い牝馬。二歳です。まだ全然懐いていないけど、目が良かった」

「どんな目ですか」


 タリアはコーヒーを一口飲んで、考えた。


「諦めていない目。若くて、怖いものもあるのに、逃げていない目」

「ノワールさんの目に似ていましたか」

「似ていなかった。全然違う。ノワールはもっと落ち着いた目をしてた。でも……良い目だと思った」

「名前は決めましたか」

「ルーシー、にしました。ノワールの娘みたいな感じで。血は繋がっていないけど」


 カインは静かに聞いていた。


「ノワールのことは、まだ思い出しますか」

「毎日思い出す。でも前は重かったものが、最近は少し軽い。ルーシーと一緒にいると、ノワールのことを思い出しながら、ルーシーを見ている。それが自然になってきた」

「それは良いことですね」

「こういうもんなんですかね。失うことと、新しく出会うことが、一緒に来る」

「一緒には来ないかもしれませんが、新しいものが来たとき、失ったものが意味を持ち始めることはあると思います」


 タリアはしばらく考えた。


「……ルーシーに、ノワールみたいになれとは思っていないんです。ルーシーはルーシーで、全然別の馬になっていい。でも、ノワールが教えてくれたことは、ルーシーに関わるときに使えると思って」

「受け取ったものを、次に渡す」

「そう。ミレイア様が言ってたこと、剣聖と弟子の話、そういうのと同じかな」


 カインは少し目を細めた。


「お客様の話が、お客様の間でつながることがあるのですね」

「あなたが橋渡しになってるんですよ。直接話してはいないけど、ここに来ることで、なんかそういうものが伝わる気がする」

「私は何もしていませんが」

「ここにいることが、してることなんじゃないですか」


 タリアはコーヒーを飲み干した。


「来月、ルーシーが少し馴れたら、王都の外に連れ出そうと思ってます。また話しに来ます」

「お待ちしています」

「ノワールの話も、もう少ししていいですか。若い頃の話」

「ぜひ」

「じゃあ次回に」


 タリアは立ち上がって、外の光の中へ出ていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ