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王都のお一人様カフェ SOLITAIRE ソリテール  作者: yuruhuwa回路


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184/197

シルヴィアの四年目

 十一月の半ば。


 シルヴィアが来た。


 今日は花ではなく、小さな箱を持ってきた。


「これ、花屋の新商品です」


 箱を開けると、ハーブが入っていた。


「ドライハーブです。ラベンダーとカモミールを混ぜました。ここのハーブティーに使えるかと思って」


 カインは受け取った。


 香りを確かめた。


「良い香りですね」

「ドグマが乾燥の作業を手伝ってくれました。力仕事は得意だから、プレス機を使った作業が向いていて」

「そうですか」

「来週から店で売ります。でも最初にここに持ってきたかった」

「ありがとうございます。使わせてください」


 シルヴィアは席に着いた。


「四年経ちました、花屋が」

「そうですね」

「最初は三ヶ月続けばいいと思っていた。それが四年になった」

「続きましたね」

「続いた理由は、ドグマがいたことと、ルーカスが来るようになったことと、ここに来られることだと思っています」

「私は何も」

「ここがあった、それだけですが、それが大きかった」


 シルヴィアはカインを見た。


「カイン、あなたは花屋を始めた私のことを、どう思っていましたか」

「最初は驚きました」

「なぜですか」

「仕事を辞めた翌日に来て、花屋を始めると言って。決断が早いと思いました」

「でも、変だとは思わなかった?」

「変だとは思いませんでした。あなたに向いている気がしました」

「なぜですか」

「一人でやれる仕事で、手先が器用で、生き物を育てることに向いていると思いました」

「なんで向いていると思ったんですか」

「ここに来るたびに、店の花に目をやっていました。それを見て、そう思いました」


 シルヴィアはしばらく黙った。


「……気づいていたのか」

「花に目をやる人間は、花が好きな人間です」


 シルヴィアはハーブティーを飲んだ。


「カインは、いろいろ見ているんだな」

「それが仕事ですから」

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