ヴィオラの友人
十月の初め。
ヴィオラが来た。
今日は少し、嬉しそうな顔をしていた。
「友人が来ました」
「こちらにですか」
「はい。昨日、一人で来たと言っていました。帰ってきて、良い店だった、と」
「そうですか」
「来るのが怖かったと言っていました。でも、来たら怖くなかった、と」
「そうですか」
「私が話した通りだった、と言っていました。一人でいながら、誰かがいる場所、と伝えたら、まさにそうだった、と」
カインは静かに言った。
「それは良かったです」
「その友人、また来るつもりだと言っていました」
「お待ちしています」
ヴィオラは紅茶を頼んだ。
席に着いた。
「カインさん、一つ聞いていいですか」
「どうぞ」
「ここに来ている人たちは、誰かに教えてもらって来る人と、自分で見つけて来る人と、どちらが多いですか」
カインは少し考えた。
「最初は、自分で見つけた方が多かったです。最近は、誰かに教えてもらって来る方も増えてきました」
「どっちの方が、良いですか」
「どちらも良いです」
「なぜですか」
「自分で見つけた方は、来るまでに何かがあった。誰かに教えてもらった方は、その誰かとの繋がりがある。どちらも、来る理由があって来ている」
ヴィオラはしばらく考えた。
「私は、雨の日に偶然見つけました」
「そうですね」
「でも偶然じゃなかったかもしれない。王都に来て一ヶ月、誰かと話したいけど話したくない、という気持ちがずっとあった。それが、丸窓の光に引き寄せられたのかもしれない」
「そう思います」
「偶然に見えて、必然だった」
「そうかもしれません」
ヴィオラは紅茶を飲んだ。
今日は、前よりずっと、長く座っていた。




