第6話 サラマンダーを倒してオッサンにざまぁ!
ここが... ラシアの山麓...!
木漏れ日が綺麗で、揺れる葉っぱの音に癒される...。
深呼吸をすると―
草と木の爽やかな香りもする!
「リナ、なんか後ろから気配がするよ」
え?
ノノが右の眉をひそめて言う。
振り返ると、傷だらけの大きい体が木の影からハミ出てる。
「どうみてもボガートでしょ...」
「出て来なよ!裸ゴリラ!」
バレてないと思ってるのか、無視してくる。
しょうがない...。
引き返してボガートの横まで来た。
しゃがんで木の幹にぴたっと張り付いて、両手で顔を隠している。
「うっわ〜!やっぱオッサンかよ〜!ていうかアフロまでいるじゃん!ストーカーとかマジきも〜い☆」
えっ... レオンまでいる...。
ていうかなんでボガートの頭に乗ってんの...。
私と同い年なんだから、あなたもう16歳ですけど...。
「お〜いオッサン!無視するな!」
ノノが頭をぺちぺち叩く。
「うそ... まだバレてないと思ってる?」
「... みーんみんみんみんみん...」
レオンが鳴いた。セミの... フリ...?
「ツルツルツルツルツル...」
ボガートも鳴いた。アレンジっ... してきたっ―
「... ぷっ、あっはははははははは!!
ちょっ、ツボった...!
もう、バレバレなのに!
なんなのこの親子ゼミ!
「あっ、リナが笑った!」
「よかったなボウズ!」
「ボウズはお前だろ!」
ちょっ、やめてっ... 今そんなこと言われたら、笑うって...!
「あははははは!!」
「もう!何しに来たの!アフロゼミとツルツルゼミごっこするため!?」
もうっ... ノノもっ... やめてっ...!
「あははははははは!!!」
ーー数十秒後ーー
「はぁ... はぁ...」
私がこんなに笑えるなんて...。
前までの私なら、全身の骨が砕けてたかも。
ひとまず落ち着いて、2人を問いただす。
「なんでついて来たの?」
「おめぇらがサラマンダーを弱らせたら、横取りしようと思ってな!なあボウズ!」
「お...?おう!その通りだ!」
なんか怪しい...。
その時、岩場の方で大きな火柱が上った。
「まずい!」
そう言ってボガートが駆け出した。
速っ!!あの体で!?
私も走ると、あっさり追い抜いた。
さすが、全ステータス∞...!
駆けつけると、剣を持った男の人が巨大なトカゲと戦っていた。
まさかサラマンダーって、アレのこと!?
「... おっきい...。」
トカゲって言うから、もっと小さいと思ってた...。
「くそっ...!」
息を切らして必死に立ち向かっていたけど、すごい速さでサラマンダーの炎が―
「危ない!」
ゴウッ!
急に男の人が後ろに吹き飛んで、ずっと手前で火柱が巻き起こる。
この距離でももの凄く熱いっ...!!
「大丈夫か!?下がってろ!」
「ボガート!?」
火柱の中からボガートが出て来た。
男の人に気を取られて、ボガートに気付かなかった...?
あんな攻撃を受けてもピンピンしてる...。
もしかしてあのトカゲ、意外と弱い?
とにかく、サラマンダーを横取りされるわけにはいかない!私の依頼なんだから!
「リトルファイア!」
あまり... 効いてない...。
「バカ野郎!燃えてるトカゲ燃やしてどうする!?効くわけねぇだろ!!」
もう!いちいちバカにしてきて!
こうなったら意地でも炎魔法で仕留めるんだから!
「どいてて!プロミネンスランス!!」
炎の槍が出現する。
ボガートが男の人を抱えて飛びのくのと同時に、サラマンダーを貫いた。
ボガートが口の端っこに指を引っ掛けて、左右に引っ張って驚いていた。
爆風で飛んだ砂がボガートの口に入って、必死にぺっぺと吐き出している。
ふん!ざまあみろ!
サラマンダーは動かなくなっていた。
「た、助かった... ありがとう...。来てくれなければ、確実に死んでたよ...」
男の人がへたり込みながら、私を見上げて言った。
「はい、無事でなによりです」
「ひゃーっ!驚いたなあ。まさかサラマンダーを炎魔法で仕留める女がいるとはなぁ。しかも一撃で...。こりゃ良いもん見れたぜぇ」
「今更気付いても遅いっての!」
ノノとレオンが追いついて来た。
「はぁ... はぁ... 2人とも速すぎ...」
「あー!やっぱリナが魔法で倒したんだぁ!さすがリナだね☆」
ノノがボガートの周りを飛び回る。
「どーお?オッサン!わざわざストーカーしてまでついて来たのに、横取りできなくてざぁんねんでしたぁ〜!ざまぁ☆」
「ちっ、うるせぇなぁ」
ボガートがツルツルの頭をカリカリかいた。
「嬢ちゃん、そのサラマンダーはギルドに持ち帰らなきゃなんねぇんだぜ?そんな細い体じゃ運べねぇだろ!俺が運んでやろうか!?」
「横取りしようとする人に渡すわけないでしょ!こんなの自分で運べるし!」
そう言ってサラマンダーのしっぽを掴んで肩に担いだ。
「おぉう...。マジかよ...」
「リナにこんな力があったなんて...」
セミ親子は私の凄さに言葉を失っていた。
「それじゃ、私たちはギルドに帰るから!」
「ありがとう!ほんとに凄かったよ!あの魔法!君は命の恩人だ!」
男の人に笑顔で手を振って、オムライスの道を引き返す。
「やったね!リナ!これでボガートも少しは大人しくなるでしょ!」
「そうだといいけどね...」
「それじゃ、オムライス、食べに行く?」
「もちろん!」
あのレオンとボガートに私の力を思い知らせてやった!
さいっこう!!!
こんな気持ちでオムライスを食べたら、きっとすごく美味しいだろうなぁ...。
胸を躍らせながら、ノノよりも浮いた足取りで村への道を歩いていく―
次回: 村へ凱旋




