第5話 村人の土下座と山賊へのざまぁ!
ラシア山麓を目指す旅の途中、私たちは小さな村に立ち寄った。
「ここのオムライス、美味しいらしいよっ☆」
ノノが看板を指差してハシャいでる。
お店に入って席につくと、厨房から無精ひげの男が顔を出した。
「Sランク冒険者の制服... もしかして、サラマンダーの件で?」
「はい。」
他の席から声が聞こえてきた。
「おいおい、ギルドは正気か?あんな小娘どもを送り込むなんてよぉ。女にサラマンダー退治なんざできるかっての。」
他の客席からも、私たちへの文句やくすくすした笑い声が聞こえてくる。
「お客さん、悪いな。サラマンダーのせいでみんな荒れてんだ。なんか食ってくかい?」
「やめた!こんなとこで食べたらお腹壊れる!」
ノノがぷりぷり怒って立ち上がる。
仕方なく、私たちはそのままお店を出た。
「待ってくれ!」
呼び止められて振り返ると、さっきの店主だった。
「腹、減ってんだろう?もしよければ食ってくれ」
そう言って、大きな葉っぱの包みを渡してきた。
「いつもはこんなんじゃないんだ。村が落ち着いたら、また来てくれよ」
軽くお礼を言って、村を出た。
「リナ、それ何だったの?」
包みを開けるとおにぎりが6つ入っていた。
私たちがお店を出た後、急いで作ってくれたんだ...。私たちのために。
2人で食べながら、山麓を目指す。
「美味しいね、ノノ」
「やるじゃんアイツ」
なんだかいつものごはんより、少しだけ美味しく感じた。
少しすると、後ろでかすかに怒鳴り声が聞こえた。
えぇ!?村が襲われてる!?
「ノノ、あれ...」
「山賊でしょ。リナに酷いこと言ったから、バチがあたったんだ!べー!」
そう言ってノノは舌を突き出す。
たしかにムカついたけど、山賊に襲われていい理由にはならない。
それに―
「おにぎり、くれたから。助けに行かないと!」
「うーん、しょうがない!おにぎりの分しか助けないよ!」
村の中には怒鳴り声と悲鳴が響いている。
「オラァ!さっさと出すもん出せ!」
「ひ、ひいいい!誰か助けてくれえええ!!」
一目散にあの料理店に向かうと、今まさに襲われそうなところだった。
「へへっ、手応えのねぇ連中だぜ!さっさと金出しなァ!」
「リトルファイア!」
「なに!?うわああああああ!!」
山賊の服が焼けて吹き飛び、地面に這いつくばってピクピクしてた。
人間に魔法を撃ったのは初めて...。
山賊とはいえ、炎魔法はちょっとやりすぎかな...?
「さ、さっきの...。ありがとう、おかげで助かったよ!すまないが、村のみんなも、助けてもらえないか...?」
店主の震えた声に、無言で頷く。
「リナは優しいね〜。ま、リナに感謝しなさいよ!」
悲鳴の方へ走る。
すごい...!私が走ってる...!こんなに速く!
「なんだあの小娘!やっちまえ!」
山賊の暴言に、雷魔法で返事する。
「リトルサンダー!」
山賊は電池が切れたように倒れ、地面でピクピク痙攣する。
「やっちゃえー!リナー!」
ノノは私に追い付けなくて、遠くから応援してる。
「うん!がんばるよ!」
私は山賊たちを次々に撃った。
「うわあああああああ!!」
「なんだあのガキ!!ぐああああああ!!!」
「集まれ!やっちまぐわあああああああ!!」
「おい、やべぇぞ!ぴやあああああ!!」
今度は山賊たちが悲鳴を上げ、村人からは歓声が上がる。
「た、助かった...!」
「あの子だ!さっき店にいた!」
「本当にSランク冒険者だったのか!?」
山賊を倒し終えると村人が集まって来て、称賛の声を上げた。
よかった。建物は散々で軽く怪我をした人もいるけど、重傷者はいないみたいだ。
「ありがとう!!本当にすごいわねぇ!!」
「なんて魔法だ!あんなの初めて見た!」
「これがSランク冒険者の力か!!!」
中には、あの時バカにしてきた男たちもいた。
私に近付いてきて、何をするのかと思ったら揃って土下座してきた。
「すみませんでしたぁ!!!まさか本当にSランクだったなんて!!!」
「ごめんなさい!!助けてくれてありがとうございます!!!」
地面に頭を擦り付けながら、口々に謝罪と感謝を叫んでいた。
「ざまぁないわね!おにぎりに感謝しなさいよね!」
土下座した男たちが一瞬、きょとんとすると、
「おにぎり様ありがとうございます!!」
「感謝いたします!!おにぎり様!!」
「おにぎり様バンザイ!!!」
口々に叫び始めた。
「ふふっ」
あんなにムカついてたのに、思わず笑ってしまった。
「うわぁ...。何言ってんの?コイツら...」
ノノはドン引きしていた。
村人に縛り上げられた山賊たち... 中でも裸の男を見ていった。
「あなたたち、次に悪いことしてるとこ見かけたら、もう許さないからね!」
「ひいいいっ!ごめんなさい!」
「ざまぁ☆悪いことするからこうなるのよ、反省しなさい!」
よし、一件落着。
「それでは私は、サラマンダーの討伐に行きます」
「ありがとう。帰る時は店に寄ってくれ。ご馳走させて欲しいんだ」
店主にニコッと微笑んだ。
私たちは歓声に背中を押されて、村を出発した。
やなこともあったけど、良いことをして気持ちよかった...!
サラマンダーを倒して、もっと褒めてもらおう!
次回: サラマンダーを倒してオッサンにざまぁ!




