気に掛けてくれていたやつがクラスに居るとは
「──といった感じですね......あまりまとめられなくて、分かりにくいかとは思いますけど......」
昇降口が視界に入った頃に語り終えた俺は、隣で歩幅を合わせながら歩いてくれた担任に視線を向けた。
担任は、俺の視線に気付いた素振りを見せ、口を開いた。
「......そのような関係でしたか。心苦しい思いをされていたとは......大変ですね。佐野さんもですが、柳川さんも土を越しているんですよね......私も郷戸先生のようにビシッと叱れたら良いんですけど、なよなよしていて舐められてばかりで......涼更くんにお力添え出来れば良いのですが、中々......」
この担任、教職に就いて5年も経っていないらしいので仕方ないのは仕方ない。
あの教師のようであればと言うが、担任が郷戸のような鞭をしならせたかのような激しい罵倒や毒舌を吐いていたら、現在以上にグレただろうと確信する俺。
郷戸とは、生徒指導の教師だ。
「あっアハハ......そうで、すねぇー。......って、柳川出してなかったですよね?」
「ちらほらと数人の生徒から挙がっててね、彼女の名前が。詳しく知りたいでしょうけど、教えられないの。こればっかりはごめんね、涼更くん」
「そう、ですか......」
担任に送り届けようかと言われたが、これ以上迷惑を掛けるのも気が引け断り、帰宅した俺だった。




