第百八十八話:狙われた長耳種
「リアーネさん、怪我の方は大丈夫ですか?」
「…ええ、クリスのお陰でもう大丈夫よ、ありがとう。…さ、村に帰らないと…とと…」
リアーネは治療を終えると直ぐに俺達のキャンプを去ろうとするが、まだ体力が回復した訳では無く、立ち上がろうとする時に体勢を崩すと、そのまま尻餅をついてしまった。
「治療は済んでもまだ体力は戻ってない筈ですわ。今夜は一緒にいた方が懸命ですわよ?」
「アンリの言う通りだ。そんな状態で盗賊や魔物に襲われたらそれこそ命を落とす。俺達も村をを目指してるからそこまででも一緒に行った方がいい。迷惑をかけると思ってるんなら心配しなくていい、別に報酬を求める気もないし、困った時はお互い様だ」
俺とアンリエッタにそう言われ、リアーネはキャンプを離れるのを諦めた様だ。
彼女は腰に挿していた細剣を置くと、そのまま脚を伸ばし、肩を落としていた。
「…じゃあお言葉に甘えるとするわ。何から何まで世話になるわね」
「気にしなくていいさ。怪我してる人間を放っておける様なタイプじゃない」
「仮に盗賊や魔物が襲ってきてもアタシ達が蹴散らしてあげるから、リアーネ、アンタはゆっくり休んでなさい」
「…ええ、そうさせてもらうわ」
リアーネはそう言って俺達に背を向けて横になる。
目を閉じてはおらず完全に警戒を解いた訳ではないだろうが、一旦は信用してくれた様だ。
「…額当ても一旦外しましょう。それじゃあ中々寝れませんよ」
クリスがリアーネの額当てに手を伸ばす。
するとリアーネは慌てて逃れ、クリスの手を振り払った。
「…触らないでっ!」
「え…? リアーネさん?」
興奮した様にリアーネは両肩を上下させてクリスを睨みつけていた。
どうやら額当てには触らないで欲しい様だが、それにしては余りに彼女の反応は過剰と言える。
「リアーネ、大丈夫よ。別にクリスもあなたをどうにかしようなんて…」
「わ、わかってるわ…。ただ、これには触らないで頂戴」
額当てを抑えたリアーネは少し落ち着きを取り戻しながら、クローディアとクリスに額当てに触らない様に頼んでいたが、俺は彼女の過敏なまでの反応に何か違和感を覚えていた。
その額当てはお世辞にも高価なものではないと言える。正直、街の防具屋でも安価で売られている無骨な鉄製の額当てであり、とても大切に扱われている様にも見えない。
むしろその額当てで何かを隠している、その様に俺の目には映っていた。
「ただの鉄の額当てでそこまでしなくてもいいでしょうに」
「いや、そうじゃないよマリオン。彼女にとってその額当ては大事なものさ、僕にはわかってる。僕も半長耳種だからね、リアーネがその額当てをクリスに触らせない理由がわかるんだ。…リアーネ、君は長耳種だろう? でも安心してくれ、ここにいる皆はそういう人じゃない、弓を持った僕がここにいる事が何よりの証拠だ」
フォルクは興奮するリアーネを宥める様に優しい口調でそう話しかける。
すると、リアーネは小さく頷いて、ゆっくりと額当てを外し、長い金髪の中からフォルクのものよりも長く細く尖った耳が左右にピンと立っていた。
「半長耳種のフォルクもそうだけど里の外で長耳種を見るなんて珍しいわね」
クローディアはこう言っているが、長耳種との遭遇は本当に珍しい事だ。
俺達はこれまで長い事旅をしているが、その間長耳種や半長耳種とはフォルクを除いて誰一人会った事は無い。
フォルクの話ではそもそも長耳種や半長耳種の大半はその生涯を故郷のあるグリモア大森林の中で終えるらしい。
一部の変わり者が里を離れて生きると言う話で、それでも普通はあまり人目に触れない様に生きるらしく、フォルクも自身をその変わり者の中でも特に変わった者だと自嘲していた。
だが直ぐに彼の表情から笑顔が消えると、ある問い掛けを始めた。
「セオ、…何故普通は長耳種や半長耳種が人目を避けて生きるか知ってるかい?」
「…いや。…そうだな、閉鎖的な社会を形成してるから、とかか?」
「まぁ、それもあるかな。でも一番の原因は…」
「…魔族の中でも人族と近い姿をしてるから。そして、人族に見立てると容姿に秀でているからよ」
「…奴隷、ですわね」
彼ら長耳種、半長耳種の俺達人族との違いはまず何より長命である事、そして容姿に於いては耳の形が異なると言う事だけだ。
耳さえ隠せば、痩躯の人族と大して変わりは無く、その容姿は美術品のような美しさと言える。
そして人族の一生の間にその美しさが陰る事もないが故に心無い一部の富豪が側に置きたがると言う。
「リアーネ、背中を見せて貰ってもいいかい?」
「…フォルクハルト、貴方になら見せてもいいわ」
「ああ勿論。悪いけどみんな、テントの中に入らない様にして貰えるかな?」
「わかった。皆、少し離れてよう」
俺達はフォルクとリアーネの要求通りにテントから離れる。
テントに映る影から彼がリアーネの背中を確認すると、すぐに彼も外に出てくる。
リアーネはどうやら当時を思い出して、顔を押さえて涙を流している様だ。
「…やっぱり背中に大きな烙印が押されてたよ。逃げてきたのか、解放されたのかは判らないけど…、多分心に深い傷が残ってる筈だ」
リアーネの背中にあると言う烙印は自分が奴隷であったという事を証明する消せない烙印だ。
俺達に見せたくないと言うのは俺達が人族であるから、そしてフォルクにだけ見せたのは同郷である為、彼の事だけは信用して、と言う話だろう。
「…貴族の生まれである私が言うと嫌味とはなりますが、心が痛みますわね」
「アンリ、君はそんな人間じゃない。自分をそういう奴らと一緒に言うのはやめるんだ」
「…申し訳ありませんわ」
「それを言やァ俺は皇族だ。まァガルムスじゃ奴隷ッてなァ、犯罪者がなるモンでな。だが…他所じゃ自由を金で無理矢理買われるってか…、胸糞悪ィ話だぜ」
「僕がマクシミリアン帝国にいた時は人族は勿論、獣人族も、当然魔族も、貴族に飼われた奴隷達を何人も見てきたよ。…僕自身も何度か奴隷商に狙われた事があったかな。ただ、それを退けたり、逃げる技術はあったし、傭兵ギルドに所属してからはそんな事も無くなったけどね」
剣と魔法の世界と言えば聞こえはいいが、この世界の暗い部分に目を向ければこういった問題も存在するのも事実だ。
「長耳種ってことはリアーネの目的地はグリモア大森林にあるっていうフォルクの故郷になるよな?」
「ああ、そうなるだろうね。無事に送り届けてあげたい所だけど、今日はリアーネに嫌な事を思い出させてしまっただろうし、明日改めて彼女に聞いてみるとして、今はそっとしておいてあげよう。ダビデ領にいる間の野営は僕とレオで交代で警戒にあたるよ。月や星の光も届かないから夜目が利いても流石に何も見えないからね」
「わかった。じゃあ後は頼んだ」
「ああ、おやすみ」
全員に呼びかけて早い内にテントで休み、俺達は次の朝を迎えた。
朝とは言っても常夜の地であるダビデ領ではよくはわからないが。
一晩過ごしてリアーネも落ち着いたようで、フォルクは彼女に目的地を訊ねる。
「リアーネ、君が目指してるのは水精の大水郷、そこにある僕達の里で間違いないね?」
「ええ…、でも一度村に戻ってギルドの仕事は報告しないと」
リアーネは路銀を稼ぐ為にギルドの依頼を請け負っており、その途中で俺達は彼女を保護していた。
採取を依頼された薬草については既に集め終わっていたらしい。
直ぐに里に帰るのならば報告を無視していてもいいのだろうが、請け負った以上は報告をしに行きたいと言うのは彼女の性格故か。
「律儀ね…、薬草採取ぐらいなら別に放棄しちゃってもいいのに。…だったらとりあえずその村に行って報告を済ませてからリアーネを里に送ればいいかしら」
「貴方達の手を煩わせる訳にはいかないわ…。大水郷まではかなりの距離があるから何十日とかかるわ、助けてくれたのは感謝してるけどそこまでは頼めないわよ…」
「それについては大丈夫さ。クローディアの魔術なら今すぐにでも君を里まで連れていける。村に着いたらギルドに報告を済ませてすぐに彼女が君を里まで連れて行く、それなら君も安心できるだろうし、僕達に迷惑をかける事も無い、そうだろう?」
「ええそれなら…、でも里までの距離を一日で移動なんて…、本当にそんな事できるの?」
リアーネはすぐに着くのならと、頷きはしたが、そんな事が本当にできるのかと懐疑的な反応だ。
正直無理もない話ではあるが、俺も看守の洞窟からテラービブの街までを一瞬で移動していなければ到底信用できなかっただろう。
「ええ勿論、なんなら試しにテラービブのギルドにでも行ってみる? 私の縮地門は一度行った事のある場所ならどこでも行けるの。さすがに行った事ない場所までは無理だけどね」
「じゃあ長耳種の里へも?」
「そう、フォルクと一緒にね。だから縮地門で直接行けるわ」
クローディアが笑顔を見せながら、リアーネにそう告げると彼女もまた笑顔を見せ、涙を湛えていた。
彼女がどれだけの間奴隷である事を強要されてきたのか、そこを抜け出してどれだけ旅をしてきたのかはわからない。
だが彼女の涙が相当の長きに亘り故郷を夢見てきた事を語っていた事は想像に難くはなかった。
「リアーネ、君の事は俺達が責任持って故郷まで送り届ける。人族の言葉を信用できないとは思うけどこの剣に誓って、俺達は君を守ってみせる」
「フォルクの仲間ですもの、信じるわ。…お願いするわね」
「ああ、必ずだ。さあ、先ずは村まで急ごう!」
野営を終え、荷物を片付けて俺達は元の街道へと戻っていった。
ーーー
街道を進む途中、何度か盗賊や魔物に襲われながらもそれを退け、薄暗い街道を進み日暮れが訪れる前には彼女が依頼を請けたギルドのある村を視界に捉えていた。
「あれがそうか…」
辺りは相変わらず薄暗いが、その中にぽつりと村が浮かびあがる。
松明や篝火に加えてこの地に自生する花が村にある建物を照らしており、決して明るいとは言えないがそこに確かに村は存在していた。
「セオ」
「どうしたんだ?」
フォルクはそばにやってくると俺の服の袖を掴み耳打ちしてくる。村についての話だろうか。
「セオ、見えていないとは思うけど多分尾けられてる」
「尾行…?」
「ああ。少し離れてるから自信はなかったんだけど、僕達が足を止めたと同時にぴたりと足音が止まった。間違い無いと思う」
「リアーネの追っ手か…?」
「わからない。…けどずっと付かず離れずの距離を保ったまま僕達の様子を伺ってるよ。レオ、君は見えてるかい?」
レオは後方を振り返り、じっと目を凝らす。
更に顔を前に突き出して凝視し続けていると何かを見つけたのか顔色を変えていた。
「…黒ずくめだが何とか見えるってとこだが…向こうからは見えてるんだろうな、ずっとこっち向いてるぜ」
俺もレオと同様に背後を見るが流石に何も見えない。
だが彼らの話を聞く限り、俺達を尾行している何者かは確実に俺達の様子を伺っている様だ。
「逆にこっちから接近するのは…」
「俺で漸く見えるくらいだ、向こうもこっちを見てるってんなら近づいても逃げられるだけだな」
「魔術で追い払ってみるってのはどうでしょう?」
「…クリス」
俺達が話していたのを聞いていたクリスが魔術を使って撃退する事を提案してくる。
「だがよ、お前じゃ見えてないだろ。それでどうやって狙うんだ…?」
「レオさん、眼になってください」
「あ?」
「だいたいの位置が判れば後は私で魔力を調整します」
「…お、おう」
クリスがレオにおぶさり、指を真っ直ぐに伸ばすとレオが尾行する人物の方向を向く。
「クリス、もう少し上だ」
「こう?」
「ああ、行き過ぎ、あと少し下…そこだ」
「距離はどれくらいあります?」
「んー…暗くてよくわからねぇが…だいたい百三十…いや、百五十メテルってとこか…」
「じゃあこのくらいの誤差があるとして…、角度よし、行きます!」
クリスは角度を決めると伸ばした手を広げ、魔力を練り始める。
傍から見ている限りでは通常の三倍から四倍くらい、属性は土属性の橙の光がその手に帯びる。
「石散弾!」
クリスが手から石飛礫を生み出し暗闇の奥へと撃ち放つ。
本来ならば多くても八粒ほどの礫だが、過剰に練った魔力から生み出された石の礫は数えられない程の数で、更にその礫を通常よりも広い範囲で撃ち出していた。
「…!!」
数秒遅れて石飛礫の着弾音が闇の中から響いてくるが、フォルクとレオは更にその奥から別の音も聞き取っていた。
「手応えはありましたが…」
「ああ、土の音以外に血が落ちる音が聞こえたよ。致命傷かどうかはともかく当たってる筈だ」
「ま、これで引き返してくれりゃ十分だ」
「よし、じゃあ村に入ろう」
クリスの魔術が尾行者を捉えたのを確認し、俺達は村へと向かう。
程なく村へ到着すると、住人以外にも冒険者や商人、或いは盗賊と思しき人々が通りがかる俺達を横目に見ていた。
「何か嫌な雰囲気だな」
「まぁ流石に村中じゃ仕掛けて来ねェとは思うが…」
「リアーネもアリーシャのフードを被せてるから大丈夫とは思うけど…」
「とりあえずはギルドへ急ごう。念のため警戒は解かないではおくけど」
「…賛成だ。正直なところ、かなり怪しいからね」
リアーネの案内に従って直ぐにギルドへと急ぐ。
その間にも、住人達の視線は俺達へと向けられており、どこか奇妙にすら感じていた。
「…ここだな。さっさと報告を済ませてリアーネを里に連れていこう。じゃあ行くぞ」
扉を開きギルドへ入ると中の酒場は満席だった。
客の大半が冒険者だが、ちらほらと盗賊の様な者もいた。
彼らは他の街のギルド内の酒場で騒ぐ冒険者達と同様に飲み食いしながら談笑しているが、その視線は時折此方に向いているのがわかる。
「おやぁ…リアーネさん。そこの方達は仲間かい?」
「…いえ、この方達は私が盗賊に襲われた所を救ってくれただけです」
「…そうかい。依頼の報告だね、薬草はこれか…確かにじゃあこれが報酬の銀貨だ」
「ええ、ありがとう…」
無事に依頼の報告が終わり、リアーネがギルドマスターから報酬を受け取る。
後は彼女を送るだけだが、ギルドを後にしようと振り返ると、別の冒険者達が入り口に押しかけてきており出るに出られない。
更に酒場で騒いでいた冒険者達も続々と席を立っていく。
「…ああ、それとリアーネさん、貴女にみんな用があるそうだよ」
「リアーネ、伏せろッ!」
ギルドマスターの男はカウンターから棍棒を取り出すと、報酬を受け取ったリアーネに向かって突き出してくる。
それに気付いた俺は彼女に覆い被さる様にして押し倒し、男の突き出した棍棒を回避した。
「チッ、こいつら全員リアーネ狙いだぞ!」
「逃げ場がありませんわね、前も後ろも囲まれてますわ!」
冒険者達は皆武器を手に、ギラついた眼で俺達を睨みつけている。
通りかかっていた時に俺達を見ていたのもこの時を狙っていたのだろう。取り囲んでいる冒険者の中には村の住人なのか農具で武装した男なども混ざっていた。
「冒険者や村人じゃ殺すわけにもいかないわよね…」
「…確かにマリオンじゃ殴っただけでも死にかねないわね」
「お前達、何のつもりだ…?」
リアーネを引き起こし、俺は剣を抜いてギルドマスターに訊ねる。
すると、ギルドマスターは右手に持った棍棒を肩に担ぎ、俺の問いに答え始めた。
「何のつもりも何も、依頼だよ。それも破格のねぇ。その長耳種の娘を捕らえろって依頼でね、ただのD級冒険者の長耳種を捕らえるだけで帝金貨三枚だとさ。こんな寂れた村のギルドで美味しい話、請けない筈が無いだろう?」
「…ここにいる全員、金に目が眩んだって訳か…!」
「君達もどうだい? 他の街でもこんな依頼、そうそう見つからない筈だ。それに、男ではあるが半長耳種までいるじゃないか、彼も出せば報酬ももっと増えるだろうさ」
ギルドマスターは俺に棍棒の先端を向けて自分達に引き入れようと勧誘してくる。
「…確かにそうだな」
「セオドア殿ッ!」
「まさか乗る気じゃないだろうね?」
「当然だろ?」
俺は剣に魔力を練りながらリアーネの方を向く。
「…リアーネ、少し手荒になる」
「…嘘」
「ハハッ、まぁそうなるよねぇ」
ギルドマスターは俺に向けていた棍棒を下ろし、勝ち誇ったように顔を上げて笑い始めていた。
「…俺達を見くびるなよ? 約束した以上、彼女をちゃんと里まで送り届ける義務があるッ!属性斬・旋風ッ!」
「「ギャアアァァッ!」」
振り向き様に剣に込めた魔力を解放し、振り抜いた剣から強力な旋風を巻き起こす。
巻き起こった旋風はギルドを半壊させ、取り囲んでいた冒険者をも呑み込み、村の外の闇の中へと吹き飛ばしていった。
ギルドマスターも旋風に巻き込まれた様で、瓦礫の山に叩きつけられて完全に伸びきっている。
「悪いけど、帝金貨三枚程度なら俺達ならその気になれば稼げる金だ。…それに金で仲間を売る程、俺は堕ちちゃいない」
取り囲む冒険者達に騎士剣の切っ先を向けて睨みつけると、先程の一撃も相まって、彼らは完全に怯んでいた。
「リアーネ、俺達の後ろにいろ!みんな、全力で暴れて構わない。相手は冒険者、高額報酬の依頼ならリスクも承知の筈だ!手荒ではあるけど身を以て味わって貰う!」
「へっ、そうこなくっちゃなァ!おっしゃあ、存分に暴れさせて貰うとするかッ!」
「…セオ、さっきの寸劇はちょっとリアーネを怖がらせたと思うよ?」
「油断させる為だし仕方ないわ、けど怖がらせた分しっかり護らせて貰うわよ!」
「クリス、セオ様は全力でと仰いましたが、村と私達を吹き飛ばさない程度にお願いしますわね?」
「わかってます、アンリさん。…ただ、容赦するつもりもありません」
「アリーシャ殿、リアーネ殿をお頼み申す。金に釣られた外道共め…、リアーネ殿に代わって拙者達が成敗致す、覚悟ッ!」
「さーて、私は看守の洞窟じゃ留守番だったしね。今回は少々暴れさせて貰おうかしら?」
「リアーネ様、私から離れません様に。セオドア様、皆様、ご武運を!」
「セオドア、フォルク、みんな…」
リアーネと彼女についたアリーシャを背にして囲み、俺達は怯んだ冒険者達と対峙する。
相手は冒険者達、別に全員が根っからの悪人という訳でもないだろうが、金に目を眩ませ、異種族とは言え人を売ろうという外道に手を染めようとした事を許す訳にはいかない。
彼らには少々痛い目に遭って貰う事にしよう。




