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第百四十三話:百獣皇子、雪山に挑む。前編

 ティムナトの街でレオに声をかけてきた男はマクニール・フォンブライトと名乗り、高価な魔導器や装備、稀少な魔石や魔物の素材を取り扱う大店を構える商人だった。

 マクニールは直ぐにレオの素性を凡そで見抜いており、あまり外で自身の素性を人々の往来でべらべらと話される事を嫌った彼は場所を移す事を提案した。

 マクニールは自身の所有する商店の中にある応接間へとレオを招き、人払いをした上で話を始めた。

 

 「さてェー…グリオネール殿下ァ、失礼ィ、レオ殿ォ。先程ォ聞いた話によるとォ、"白蛇の大顎"に向かうゥ、そう言ってましたなァ?」

 「その前になんで俺がグリオネールだってわかった? その事から聞こうじゃねェか」


 レオは革張りの椅子に腰をかけたまま、豊かな身体で悠然と茶を注ぎながら態とらしくレオの本当の名を間違えて発し、レオの目的を確認してきたマクニールに食ってかかる。


 「フフンー…、褒めェ言葉とォ…受け止めましょうゥ…。私ィー、自分で言うのもナンですがァー、勘はいいとォ、思ってましてねェ。…と、言うのは半分、実の所言えばァ…、まずゥ、獅子人種の人間などォ、ガルマリア皇家を含めてごく少数、実力至上の獣人族の社会上じゃァ例え皇家に非ずともォ…自ずと高い身分である事はァ、まァ間違い無いでしょゥ…。そして秋頃でしたかねェ、ガルマリア皇子殿下が誘拐されたとォ…、ま、世間では噂されてましてねェ。年齢やこの時期ィ、それに種族や性格ゥ。色々な側面からの推理と私自身の勘がァ、そうじゃないかとォ言ってましてねェ」


 まるで見てきたか様なマクニールの展開する推理にレオは反論のしようが無く、沈黙を固く守る。

 それを覗く様に視線を返すマクニールは静かに口元を歪ませていた。


 「沈黙ゥ…、と言う事は当たっているものとォ受け止めますがァ、まぁわざわざ偽名まで使っている以上ォこれ以上その事に触れるのは野暮、ですなァ。さてェー…話を戻しましょう、"白蛇の大顎"を目指している様ですがァ、その目的ィ、聞かせて頂いても?」

 「チッ。三年間の内に出来る限り力を付けてェ。そうするにゃ手っ取り早く言や、強ェ魔物をひたすら相手にするっきゃねェ。行く先々で話を聞きゃ、ヘレ氷原かそこだって話だから目指してるってだけだ」


 全てを見透かされている、そんな視線に不快感を覚えたレオはそう吐き捨てるが、マクニールはその事も無視して肉付きの良い二重の顎を撫でながら頷いていた。


 「…成ァる程ォ、確かにあの場所はァ、強力な魔物が犇めく場所ォ。…ですがァ、故にヨシュア王族からも出入りを制限されている場所でもあるゥ、ご存知ィありませんでしたかなァ?」

 「だったらこっそり侵入(はい)ればいいだろォが…」


 顔を緩ませて耳に纏わりつくような声で得意げに話すマクニールにレオは小指で耳の中を掻きながらぼそりと零すが、それを聞いたマクニールは失笑していた。


 「ブルァッハッハ…!まさかァ仮にも皇家の人間からその様な言葉が飛び出すとはァ驚きましたァ…。ですがァ考えてもみて下さィ、もし仮にィ…それで見つかればァ、必ずガルマリア皇帝ィ…つまりレオさん、あなたのお父上に知らされ最悪ゥ、ガルマリア皇家の汚点としてェ名が刻まれるでしょうなァ。…かと言ってェ…レオさんが素性を明かせば或いは通して頂けるかもォ知れませんがねェ…? だがそれはまた不都合と言ったご様子ゥ…違いますかァ?」

 「ケッ、そういうこった」

 「でしたらァ、私ならばァ、お力になれると思いますが、ねェ?」

 「どういうこった、しっかり説明しやがれ」


 レオが説明を求めた瞬間、マクニールは勝ち誇る様に口元を吊り上げて笑顔を見せる。

 レオ自身からすれば全く気付いていないが、マクニールからすれば話の主導権は完全に握ったと確信したのだろう。

 相手の一挙手一投足、表情や口調から口八丁で交渉の場に引きずり込むのが商人の手口、その気にさせるのが仕事とも言える商人からすればこれ程分かりやすい相手もそうはいないだろう。


 「私ィ、これでも少しばかりこのルミネシアやハルモネシスゥ、デモンガルドでは名が通っていましてねェ。私ならばそこも合法的かつゥ…怪しまれる事無く案内出来るでしょうともォ、ええ」

 「あァ?」

 「要領を得ませんかァ? ですからァ、私に協力頂けるのであればァ…、"白蛇の大顎"ォ、ご案内しましょうともォ。如何ですかなァ?」

 「協力ゥ?」


 明らかに含みある物言いに少し威かす様に聞き返すレオだが、マクニールの余裕ある表情は崩れない。

 寧ろマクニールは既に自分のペースに持ち込んでいる事を確信している為にほくそ笑んでいるくらいだ。


 「ええ、そう協力。丁度私も先日の話ですがァ、白蛇山脈の魔物の素材を仕入れる為に同行頂いていた冒険者の方との契約が切れましてねェ。もしィ宜しければレオさん、修行のついでで結構ですのでェ、私に協力して頂ければァ…ァ幸いィ、なんですが、ねェ? 何しろ私ィ、ヨシュア王族の方と直々にィ入山の許可を得ておりましてェ、私に同行して頂けるのであればァあなたも何の疑いもかけられる事無くゥ、大手振って堂々と"白蛇の大顎"に入れるってモンですがァ、…少なくともォあなたの目的は確実に果たせる事は明白ゥ、他に何か望むのであれば可能な限り譲歩しましょうともォ」

 「…!」


 マクニールの話す要求と見返りを聞いたレオは表情を硬くする。

 明らかに怪しい裏のありそうな物言いだが、この話な中でマクニールは一枚の書面をレオに突き出していた。その書面を見てレオはマクニールの言葉を疑う事が出来なくなった為だ。


 ーーー


 マクニール・フォンブライト、並びにその同行者の白蛇山脈への入山を許可する。この書面はルミネシア連邦内、他王領の管轄区内においても認められ、尚且つ同意を示したものである。


 カナン=ヨシュア=ティムナト

 アカイア=ヘクトル=イリオス

 ガリア=カエサル=ローム


 ーーー


 入山許可証には魔導連邦ルミネシアを構成する八つの王領の内、三人の署名があり、この名前と筆跡はガルムとルミネシアが友好を結ぶ為に父ティグリオンが交わした書面にあった九人の連邦の代表する人物の物に相違無い。

 甘言とその証拠、両方を突きつけられたレオは首を横に振り突っぱねる事は出来ずにいた。


 「どうやら、わかって頂けましたかなァ? 何ならァ三年間、私も共にこの街に滞在しィ、全面的にあなたをサポート致しましょうともォ。滞在にかかる宿、食事、治療、そして補償ゥ。全てこちらで用意、手配させて頂きますゥ。勿論、討伐した魔物の素材についてはァ、私が引き取らせて頂きますがァ…悪い話では無いとォ、思いますがァ、ねェ?」


 レオにとって、マクニールに話は魅力的な話に他ならなかった。

 入山に規制のある白蛇山脈にマクニールの同行という条件はあるものの、それ以外は全てをマクニールが保証すると言う話だ。

 食料や宿の手配も自力では無駄な時間を費やすだけ、レオはひたすらに強敵となる魔物と戦い続けると言う欲求を満たすにあたり、これ以上無い好条件なのは疑う余地もない。

 加えてその中で大怪我でもしようものならその治療も優秀な治癒魔術の使い手がいなければそれだけ時間を費やしてしまう。


 「…いいだろう。だが俺も皇子だ、少々わがままが過ぎるかも知れねェが…それでもいいんだな?」

 「ええ勿論ですともォ。その若さで獣人族の帝国兵士達をォ、腕っ節一つで纏め上げた実力ゥ、それにガルマリア皇家の名を借りれると言うのならばァ、私にとってはそれだけでも十分、いやァ十二分と言えましょうともォ」


 マクニールはそう言って手を差し出す。

 レオはまだマクニールの腹の中を探りかねているが、契約を自ら承諾した手前、躊躇いながらもその手を握り返した。


 「さて、んじゃァ早速わがまま言わせて貰うが、これからもう"白蛇の大顎"に行きてェトコなんだが構わねェよな?」

 「ふふ…、そう来ると思っておりましたともォ」


 マクニールが手を叩くと商店の従業員らしき男が応接間に入ってくる。


 「お呼びで」

 「ズールゥ、紹介しておくゥ。この方ァ、ガルムス大陸から来られたァ冒険者のレオ・レオリアさん。今回契約して頂いた方でェ、こちらから全面的にサポートする事になったァ。早速山へ入るとの事ォ、準備は出来ているなァ?」

 「へい、既に」


 ズールーと言う男が扉を開くとそこには大きな荷物と様々な武器や防具、防寒着が揃えられており、今すぐ入山する事を既に予想していたのか、このマクニールは指示を出していたらしい。


 「レオさん、一つだけェ、白蛇山脈の吹雪だけはァ、舐めない方がいいィ。寧ろォ魔物より厄介と言えるでしょォ。幾らその毛皮で寒さに強かろうともォ、戦闘中は兎も角ゥ、移動中だけでもォ、防寒着だけはァ、必ず身につけておいてくださいィ」

 「あァ、わかった」


 マクニールが装備を身につけている間にレオは用意されていた防寒着に袖を通す。

 それから少しして再び応接間の扉が開かれると、背中の袋にいくつもの武器を挿し、樽のようなやや不恰好とも言える、無駄に豪華な装備に包まれたマクニールが再び姿を現した。


 「さァてェ、お待たせしましたァレオさん。ではァ早速行きましょうかァ」

 「…お、おう」


 マクニールの商店から白蛇の大顎へと向かう途中、ティムナトの街の大通りを行く中、通りがかる人達は皆一様にマクニールの装備をみても何一つ不審がる事もなく挨拶を交わしてくる。

 マクニールも彼らに対して小さく手を振りそれに応じていた。


 「…人気者だな」

 「ええェ、それだけ街の発展に貢献してきたァつもりですからァ」


 マクニールはにこやかな表情をそのままに人々に手を振りながらレオに応える。


 「昨今の商人はァ何でも金で解決しようってェ輩が多くゥ、嘆かわしいばかりでしてねェ。金の力もォ、確かに大事じゃありますがァ…、本当にいいモノは自分の眼でェ、手でェ確かめたいってェのが信条でしてねェ。冒険者の力も多少は借りますがァ…可能な限り自分の足で白蛇山脈に入る様にィ、としていたらこんな事になってた訳でしてねェ」

 「んじゃあアンタも戦えるって訳かい」

 「勿論、幾ら商人と言えどもォ、最後に身を守るのはァ自分の身一つですからァ」


 そんな話をしている内に街を抜け、それから一、二刻程歩くと遂に白蛇の大顎、その入り口となる門に辿り着くと、その門にある見張り台の上から一人の兵士が降りてくる。


 「ああ、どうもマクニールさん。…おや、そちらの方は?」

 「新しく雇ったァ冒険者さんですよォ、直ぐにでも仕入れ現場を目にしたいとォ仰るモンでねェ」

 「ハハハ、成る程、中々血の気の多そうな方だ、じゃいつも通り入山手続きはこっちでしておきますよ。…まぁ冒険者さんも、死なんよう気をつけて」


 気さくに話す兵士ではあったが、その言葉尻は嫌に重みのある口調であり、レオは思わず拳を握りこむ。


 「この所はァどんな感じでしたかなァ?」

 「幾分は落ち着いちゃあいますが、夜は荒れ気味ですね。無理はせんようにしてくださいよ」

 「なら今日は日帰りィですなァ。では、また後程ォ」


 兵士の見送りを受けながら、二人は雪原の中へと行く。


 「さっき何の話をしてたんだ?」

 「天気、ですよ。今回はァ山中まで入る予定はありませんがァ、一応は、ねェ。とォ言ってもォ、山の天気はよく変わりますからァ、当てにはなりませんがねェ…っとォ、お気付きでしょうがァ早速出ましたねェ」


 雑談をしながら先へ進むと、マクニールは足を止めて背中に背負う数々の武器から鉤爪型の武器を取り出して身に付ける。

 既にレオもその存在に気付いており、両手の指を鳴らしていた。

 傍目には良く見えずともレオは嗅覚で、マクニールは経験からその存在を察知しており、多数の雪玉の様にすら見える物体が蠢いていた。


 「雪鼠(スノウラット)ォ…、この辺りの代表的な魔物ですなァ。性質は極めて凶暴ォ、もとい貪欲ゥ…と言ったトコですかねェ。この規模の群れならァ手を出さないに越した事はァありませんがァ…」


 マクニールが説明している途中にも関わらず、レオは既に防寒着を脱ぎ捨てて飛び出し、その爪で早速一番近くの雪鼠を引き裂き死に至らしめていた。


 「キィー!キィー!」


 群れの仲間がやられた事でいきり立つ雪鼠達、その数は五十を下らない。


 「小手調べって奴だ、マクニールさんよ、ここは俺にやらしちゃくれねェか?」

 「…構いませんがァ、一匹一匹は弱くともォ数の暴力にはお気をつけをォ」


 マクニールがそう言って武器を構えたまま、三歩ほど下がると雪鼠達は群れを襲うレオに狙いを定め、雪玉の様に身体を纏めて一斉に飛びかかる。


 「うおおッ!?」


 一匹一匹はせいぜいレオの握り拳より一回り程小さい小型の魔物であり、レオの爪で簡単に引き裂ける程脆弱な魔物だ。

 しかし、人と同等の大きさの魔物ならばせいぜい一斉に攻撃を仕掛けてきた所で三、四匹程を相手取るだけだが、この雪鼠は身体が小さいが故に、五十を超える群れに一斉に襲われた事でレオは想像以上の迫力に驚きの声を漏らしてしまっていた。


 「…なろォッ!」


 レオの爪が数匹を纏めて引き裂く。だが、雪鼠達は怯む事なくレオの大きな身体に取りついた。


 「キキッ、キィィッ!」

 「ぐっ、気持ち悪ィな…離れやが…痛ェッ!?」


 身体に取り付いた雪鼠を、更に取り付こうとする雪鼠を振り払う為に身体を揺すり、爪を振り回すが、その隙に取り付いた雪鼠がレオの腕に齧り付く。


 「キィッ!」

 「キキッ!」

 「いでででっ!…ンの野郎…、ウオオォッ!」


 齧り付かれては振り払い、雪鼠を引き裂き、また取り付かれ、そうしている内に雪鼠達の群れは少しずつ数を減らしていく。

 気がつけばレオの周囲の雪が赤と青の血の色に染められていた。


 ーーー


 「ハァ…、ハァ…、…ッキショォ…!」


 爪を振り抜き、肩で息をするレオ。

 青い血を吹き出しながら、雪鼠の群れの最後の一匹が力無く他の雪鼠達の血で青く染まった雪の上に落ちた。


 「…白蛇の大顎でのォ初戦、如何でしたかァ?」

 「ハァー…。確かに…雑魚でも数で押し寄せられると厄介だな…」


 戦闘を終えマクニールが感想を尋ねてくると、レオは大きく息を吐いて返事を返す。

 

 「…さてェ、随分とやられた様ですなァ。これをォお飲み下さいィ」


 全身に血を滲ませたレオを見兼ねたマクニールは背中に背負った荷物から青い液体が入った小瓶を取り出しレオに投げ渡す。


 「…なんだこりゃ」

 「錬金術師が生み出した霊薬ゥ、世間一般ではポーションと呼ばれる物ですなァ。今迄はァ迷宮から持ち帰られた物しかァ流通していなかったんですがねェ、最近になって漸くゥールミネシアが誇る魔導学校が精製に成功しましてねェ。ま、本物と比べるとやや効果が劣るものでェ、薬草から煮出した成分やァ酒を混ぜて補完した量産品ですなァ」

 「へェ…。酒も、か」


 レオは受け取った小瓶の蓋を親指で弾き飛ばし、中の液体を一気に飲み干す。

 するとみるみるうちに出血が止まり、小さい傷も跡形も無く塞がってしまった。


 「どうですか効き目はァ、量産品にしてはなかなかでしょォ?」

 「ああ、美味いモンじゃねェが…、まぁ悪かねェな。…っと…」


 的外れな返答に顔を顰めるマクニールだが、この時レオが白蛇山脈を見上げているのに気が付く。

 レオが何かを感じ取ったのは間違いないだろうが、マクニール自身は何かは分からずその背中を凝視していた。


 「…どうも引き返した方が良さそうだ。多分吹雪くんじゃねェか?」

 「ほォ、白蛇山脈の吹雪はァ、前兆無き吹雪ィ…とは言いますが…、獣人族の勘…ってェヤツですかねェ。わかりましたァ、直ゥぐに引き返しましょうかァ」


 マクニールは直ぐにレオが仕留めた大量の雪鼠の死骸を掻き集めて革袋に突っ込む。

 そして踵を返し、雪が散らつき始める中を自分達の刻んだ足跡を辿って門へと引き返す。

 入山口の門へ辿り着いた頃には雪の勢いも激しいものとなり、兵士の厚意で二人は門の詰所で一夜を明かした。


 レオの予想通り、夜間は一晩中吹雪いており、二人が目覚めて外を見ようにも窓も扉も開かぬ程に雪が積もっていた。

 扉から出る事を諦めた二人は荷物を手に取り見張り台の上まで出ると、そこには二人を受け入れた兵士が既に見張りに就いていた。


 「おはようございます、夜中の内に随分積もりましたが今日は晴れましたよ」


 兵士の言う通り、空を見上げると雲一つない真っ青な空が広がっている。


 「これならこのまま行けそうですがァ…、レオさん、お怪我の方はァ…」

 「ああ問題ねェ、昨日飲んだポーションのお陰だろう、もう傷も塞がってピンシャンしてら」


 跳躍や反復横飛びをして見せるレオを見たマクニールは兵士の方へと向き直る。


 「お世話にィなりましたなァ、これはァささやかながらの御礼ですゥ、取っておいて下さいィ」

 「そういうつもりじゃあ無かったんですがねぇ…、まぁ折角なんで交代で帰った時にでも家内とガキに美味いモンでも食べさせてやるとしますよ」


 兵士はマクニールから数枚の銀貨を受け取り懐へしまい込む。

 

 「さて、扉からは出られそうも無えし、ここから飛び降りるしか無えな」

 「ですなァ。ただァ、恐らくレオさんは兎も角ゥ、私は恐らく雪に埋まりますのでェ、引き上げて貰っても構いませんかねェ?」

 

 二人は見張り台の上から飛び降り雪の上に着地する。

 しなやかな動きで着地してみせるレオに対して、重装備に加えて元々肥満体型であるマクニールは着地こそ上手く着地したが、その重量故に、雪の中へと埋まってしまった。

 雪を掘り上げて手を伸ばすレオの手を取ると、そのまま一気に雪の上へと引き上げられると、マクニールは鎧や背負っている袋に付着した雪を払い落とす。


 「お手数おかけしましたなァ」

 「ああ、じゃ早速行こうかね…!」


 深い雪に腰まで埋め、二人は再び白蛇の大顎へと歩み始めていた。

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