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第百四十一話:魔術師の忌める地、ヘレ氷原

 梟熊(アウルベア)との睨み合いが続く。

 お互いに浅いとは言えない傷を負っている為、慎重に立ち回らざるを得ない状況だ。


 「ホー、ホーッ!」

 「あからさまな挑発…、魔術が使えるなら討って出るところだけど…」

 

 梟熊は此方を誘い出そうと両腕を大きく広げ、仁王立ちをしている。

 此方が動き出せば奴も動き出す、狙いは見え見えだ。

 だが此方には動き出す理由はない。お互い傷を負っているのは間違い無いが、此方は複数箇所の打撲に対して、奴は背中からの決して少なくない出血だ。

 少なくとも血が止まっていない以上は此方から動き出さなくても、奴が弱るのを待っていればいい。

 自ら回復する手段が無い今、リスクは最小限に抑える方が得策だろう。


 「…ホー、…ホォォォーッ!」

 「…来るッ!」


 此方に攻めてくる気配が無いと悟った梟熊が遂に痺れを切らし討って出る。

 青い血液を滴らせながら四足歩行の体勢となり、その巨体を揺らしながら猛スピードで迫って来ていた。


 「…そこだっ!返り討ちにしてやるっ!」

 「…そこはいかんっ!すぐに躱せセオドアッ!」


 頭を突き出してきた梟熊の額を狙って、剣を振り被り迎え討つ。

 しかし、今まで静観を決め込んでいたライアンは俺の狙いを看破すると遂に沈黙を破り、回避する様に叫んでいた。

 ライアンの制止があったものの最早止まれず、振り被った剣を梟熊の額へ打ち込むと、剣は梟熊の額の皮を切り裂いたが、頑丈な頭蓋に阻まれると、その衝撃が剣を伝って俺の両腕を痺れさせた。


 「…硬ッ…!」

 「…ッ、ホォッ!」

 「ぐあっ…!」


 額へ剣を打ち込まれた梟熊は一瞬だけ怯み脚を止めたが、すぐに体勢を整えると再び頭突きを繰り出してくる。

 硬い頭蓋に剣を弾かれて怯んでいた俺は回避が間に合わず、直撃こそ避けたものの脇腹に体重の乗った頭突きを受けて大きく弾き飛ばされ、雪の上を転がされていた。


 「ぐ…ううっ…!なんて硬さだ…、それに殆ど勢いが死んでてこの威力…、何本か肋をやられた…!」


 どうにか立ち上がるも肋は元より、全身の骨が軋み悲鳴を上げる。

 襲い来る痛みに耐えながら剣を構えると、既に梟熊が再度の突進を仕掛けて来ようと迫ってきていた。


 「ホォォォーッ!」

 「…トドメのつもりか!…そいつはどうかなっ…!」


 頭を突き出し迫る梟熊、真正面から受けてはもう伏せぎ切れはしないだろう。

 しかし、今俺は奴よりも深刻なダメージを負っており、もう幾らも動けはしない事はわかっていた。

 ここで決めなければもうチャンスはない、いずれ追い詰められて仕留められてしまう。


 「避ける余力も無い…だったらっ!」


 迫り来る梟熊に俺は向かっていくと、奴は頭を突き出したまま頭突きを仕掛けてくる。


 「飛び越えるのは無理でも…、倒れるのは簡単だ…!」

 「ぬう、考えたな…!」


 迫ってくる巨体に向かいながら、俺は足から滑り込む。

 梟熊の巨体から繰り出される頭突きを潜り抜けた俺は奴の腹からしがみつく。


 「ホーッ!…ホーッ!」

 「…くっ、暴れるなッ!」


 腹にしがみつかれた梟熊は立ち上がり両腕を振り回して俺を振り落とさんとする。

 ここで振り落とされれば、その巨腕が俺を踏み潰してしまうだろう、俺は必死にしがみ付いた暴れる梟熊の腹を離さずにいた。


 「…ホォォォーッ!」

 「…わわっ、でもその瞬間を…待ってたんだっ!」


 しがみ付いて離れない俺を押し潰そうと、梟熊は両腕を振り回すのをやめて倒れ込もうとする。

 しかしそれこそが俺の狙いだった。

 倒れ込んでくる梟熊の体から離れ、直ぐに体を入れ替えると、梟熊はその巨体で地面の雪を押し固める。

 そして隙だらけとなった背中に俺は組み付いた。


 「ホォォォーウ、ホホォーウッ!」

 

 おんぶされる様な体勢で俺が組み付くと、梟熊はあからさまに嫌がり振り落とそうと腕を伸ばすが、その巨体故に奴の腕は背中までは届かない。

 剣を逆手に持った俺はその切っ先を隙だらけの背中へと突き立てた。


 「ホォ゛ォ゛ォーウッ!ホォ゛ォ゛ォーウッ…!」

 「…効いてる…!喰らえッ喰らえェッ!」


 剣を突き立てる度に梟熊は激しく暴れるが、背中の羽毛をしっかりと掴んだ俺の左手は離れない。

 次第に梟熊は暴れるのをやめると動きを止めて首を垂れていた。


 「…ハァ…、トドメだっ…!」

 「…ホッ…ォ゛ォ…!」


 両手で剣を持ち、目一杯の力を込めて梟熊の首筋に切っ先を突き立てると梟熊は短い鳴き声を上げながら頭から雪に突っ伏してしまう。

 倒れ込んだ梟熊は僅かに藻掻こうと右前脚を動かすが、直ぐに力尽き、二度と動く事は無かった。


 「ハァ…ハァ…、…勝った…、生き残った…!」


 梟熊の頸に突き刺した剣を引き抜いた俺は知らず知らずの内に右手で拳を作り、天に向けて突き上げる。

 するとその背後からゆっくりと手を打ち鳴らす音が響いてきた。


 「…見事、見事。満身創痍ながらよくぞ倒したものよ」

 「…ライアンさん、やりましたよ!…痛っ…!」

 「うむ、しかと見届けたぞ。…だがお主の傷も浅くは無かろう、まずは一旦小屋へと引き返すとしよう」

 「…はい!」


 ライアンは縄を取り出すと仰向けにした梟熊の両腕に括り付け、小屋まで引いていく。

 彼は俺に対して梟熊の上で横になっていても構わないと話すが、無事に帰るまでが狩りだとして自らの足でライアンについて行った。


 ーーー


 「っ!…痛たたた!」

 「ほれ、少しは我慢せい」

 「…ーッ…!」


 小屋に戻り、俺はライアンが摘んできた薬草を使った治療を受けていた。

 ライアンがすり潰した薬草を染み込ませた布を貼り付ける際、少し叩く様に貼り付けてきた為、俺はその度にもんどりうっていた。


 「ほれ、最後の一枚だ」

 「あぁッ…!」

 「後はしっかり食ってしっかり休む事だな。まぁ実質、一度は死んでおった所だが直ぐに対応して倒せたあたりはS級越えと言うだけはあるかの」

 「オゥフッ…!…ど、どうも…」


 ライアンに最後の一枚と言われながらおまけの平手打ちを背中に見舞われ、俺は涙を滲ませて悶絶していた。


 小屋の中をのたうち回っていると部屋の隅にふとあるものが目に映る。

 神棚、その様にも見えるが、そこには精巧な剥製の様に姿勢良く胸を張る鷹が止まり木に立っている。


 「──ッ…、…何だあれ…?」


 美しい鷹の姿に目を奪われ、見つめていると微動だにしなかった鷹は突然此方に首を回し、鋭い眼光で睨み付けて来る。


 「…うわっ、こっち見た!?」

 「クェーッ!」


 此方を向いた事に驚きつい声を上げると睨み付けてきた鷹は四枚もある翼を広げて威嚇する様な鳴き声を上げながら襲い掛かってきた。


 「クェッ、クェーーッ!」

 「…!うわわっ、痛ッ!」


 鋭い嘴と蹴爪を剥いて襲いかかられ、先程まで床でのたうち回っていた俺は大した抵抗もできずにおり、小さな傷をいくつもつけられていた。


 「こらこらタニス、そやつは敵でも獲物でもない、やめるのだ」

 「…クェ」


 タニスと呼ばれた鷹の魔物は制止に応じて俺への攻撃の手を止めると、ライアンの太い腕へと止まる。

 

 「すまぬな、此奴はタニス。斬空鷹(スラストホーク)と言う種でな、言わば儂の相棒とでも行った所だな」

 「クェ!」


 何処か誇らしげに胸を張るタニスが鳴き声を上げる。

 どうにも俺はタニスから下に見られている様だ。とは言え今はやり返す気力も体力も無い。

 痛みを訴える身体を引きずる様にして起き上がるとライアンはタニスを巣箱へ戻し、台所のナイフを手に取った。


 「今日の所は儂が食事を準備しよう、お主はゆっくりと休んでおれ。と言ってもその怪我では休む他無かろうがな」


 ライアンはそう言って小屋を後にすると、程なくして何かを打ち付ける音を鳴らし始める。

 

 「さて、どうしようか…、ん?」


 やる事もなくベッドに腰掛けると、直ぐ隣にある本棚に気付く。

 その中には本では無い紙の束が入れられていた。


 「手紙…と言うよりは報告書と言った感じだな…」


 古い紙束には埃がかかっており、字が霞んでいる。

 埃を払い落としてその一枚目に目を通すと、どうやらこの地域についての記述が記されていた。


 ーーー


  魔術師の忌める地、ヘレ氷原について


 ヘレ氷原にはルミネシアに棲まう魔物でも特に手強い魔物が犇めいている。

 特に良く見かける魔物としては梟熊、殺人兎(キラーラビット)銀狼(シルバーウルフ)霜犀(フロストライノ)枯木人(ウィザートレント)と言ったいずれもギルドにてA+ランク以上に指定される魔物であり、群れに遭えば一般の冒険者ではひとたまりも無いだろう。

 それ以外にも白蛇山脈にも姿を現す青龍(ブルードラゴン)氷白猿(イエティ)、そしてこの地で力尽きた者の成れの果てである血飢屍(レヴナント)なども現れると言う話であり、このヘレ氷原にはルミネシアで尤も危険な地と言っても過言ではない。

 また、これは噂話ではあるがこの地で伝承に名を残す怠惰をもたらす魔人、牛頭淑女(ベルフェゴール)が姿を現したと言う話もあった。


 さて、強力な魔物が犇めく危険な地だと言う事は前述の通りだが、では何故この地が"魔術師の忌める地"だと言われるのかについて言及したい。

 この国で暮らす人々ではまず知らぬ者はいないと思うが、この地では魔術が使えない。

 長年謎に包まれていた謎ではあったが、我々は遂にこの地から生還した冒険者と出会い、その謎を解明した。

 その冒険者は魔族、長耳種(エルフ)の女性であり、この地を訪れた時に持ち帰ったと言う岩の欠片を我々にもたらしてくれたのだが、その岩を研究するにあたり、我々は決定的な原因を突き止めたのだ。

 単刀直入に言えばその岩を構成する物質には細かい反魔石が大量に含まれていた。

 反魔石とは生物全てが持つ魔素の流れを正す力を持った魔石であり、これに触れた者は悉く魔力を練る為に魔素を留める事が出来なくなる。

 これはあくまで仮説ではあるが、ヘレ氷原の地層には大量の反魔石が埋蔵されており、触れておらずとも生物に対して干渉する程にまでなってしまっていると考えられる。

 しかしながら、この地において魔術が全く使えない訳では無いと言う仮説も立った。

 他の地にて採掘された反魔石を用いて研究を進めていると、反魔石の力は魔素を留めたりする力にのみ作用する為、他の物質に魔素を流す事自体は可能なのだ。

 故にこの反魔石を身につけたまま魔導器やスクロールの使用を試みた所、物質においては反魔石の力は作用せず、これらについては問題無く使用する事ができたのだ。

 とは言え、スクロールについては使い捨てであり、人造魔導器についてはルミネシアの技術の粋を集めた所で鍛錬を重ねた魔術師のそれには遠く及ばない。

 この地の魔物に対抗できるとすれば深い迷宮の奥底に眠る魔導器で無ければ太刀打ちするのは難しいだろう。


 ここまでこの地に於ける二つの脅威について述べたが、最後にこの地を出る際に避けては通れぬ三つ目の脅威について説明したい。

 この地と外を結ぶ唯一の抜け道である看守の洞窟についてだ。

 "氷獄"とも呼ばれるこの地から出ようと試みる者の最大の障害となり、そう呼ばれる所以でもある洞窟で、当然ながらここも反魔石の力が働いている。

 しかし最も厄介なのがこの洞窟を徘徊する"看守"、魔物の"氷塊巨人(フロストギガント)"の存在だ。

 宝石とも見紛う様な美しい氷の鎧を纏ったこの魔物は巨人の名に恥じぬ圧倒的な攻撃力と防御力を持っており、生半可な冒険者では傷一つつける事も適わず、それでありながら脱獄者を発見すると次々と洞窟内を徘徊する同族を呼び寄せる特徴を持つ。

 そうやって徐々に追い詰めると、一斉に極寒の吹雪を吐き出しては一瞬で脱獄しようとする者を氷漬けにし、粉々に粉砕してしまうと言う魔物である。

 また、この氷塊巨人達には"獄長"と呼ばれる群れのリーダーが存在するようで彼らとは区別して"氷鎧巨人(ヨトゥン)と呼ばれている。

 実際に出くわした者がいない為、真偽の程は定かではないが、仮に本当だとすればSSランクはくだらないであろうと言うのがギルドの見解だ。


 ーーー


 「…なるほど、道理で魔術が使えないわけだ…」


 俺が手に取った書類にはこのヘレ氷原についての記述があり、読み終えた後に直ぐ魔力を練り、その内容について確かめていた。

 その直後、台所からライアンが顔を覗かせ、書類を読む俺に気付く。


 「ほう、その書を読んだか」

 「ええ、一通り。まだ数枚ありますけど、残りはどうにもライアンさんへの手紙だったのでそこは読み飛ばしてます。すみません、勝手に読んで」

 「ふむ、そうか。まぁよい、こちらも説明する手間が省けたと言うものだ。さて、そろそろ食事の準備が済む、手伝ってくれるか?」

 「ええ、勿論」


 ライアンは食事の準備が間も無く済む事を知らせに来ていた。

 今日の夕食は梟熊の心臓ステーキで、ライアンの話では傷の治りを早めるとの事だ。

 更に付け合わせとして薬草をふんだんに使ったサラダが用意されている。

 謂わば療養食と言うべき献立ではあるが、充分と呼べる程ボリュームのある食事だった。

 また、食事の途中でライアンは梟熊の一枚肉を切り出してタニスに与えると、あっという間に平らげてしまった。


 食事を終えるともう外は薄暗くなっており、また雪が舞い始めている。

 俺もライアンも装備の手入れを早々に済ませると、すぐに眠りに就いていた。


 ーーー


 翌日、目を覚ましてすぐにベッドを出ると、既に打撲による痣も、折れていた肋骨も殆ど痛みが無い事に気付き、自身の加護の力を加味しても治りが早い事に驚いていた。


 「梟熊の心臓って本当に効くんだな…」


 揺り椅子でまだ眠りに就いたままのライアンを起こさない様に暖炉で小さくなった火に薪を焼べ、まな板の上に切ったままにしてあった梟熊の肉をタニスに与える。


 「おはようタニス」

 「クェ」


 タニスが顔色も変えずに肉をついばみ始めるのを見届けてから、防寒着を着込んで外に出る。

 そして昨日読んだ書類の内容の一つを確かめていた。


 「反魔石が物質に作用しないんだったら…」


 銀の剣を抜いた俺は魔素を剣へと送り込む。

 流石に竜人の剣程までは行かないが、父から貰ったこの剣は魔素との親和性が高くまた手に馴染む。

 身体の一部の様に扱える剣である為、剣に魔力を込める事など訳はなく、直ぐにその検証は完了する。


 「…よし、これなら!」

 「…朝から精が出るな。…魔力付与(エンチャント)ではないな…、お主、魔剣士だったか」

 「あ、おはようございますライアンさん。魔術は駄目でしたけど剣を介せば魔素を使った戦いも可能みたいです!」


 小屋から様子を覗きに来たライアンに剣から逆巻く炎を放つのを見せると、彼は感心した様にその白い髭を撫でていた。

 様子から察するに、剣に魔力を込めて扱う技術自体はこの大陸ではそう珍しい技術ではないのだろう。ライアンもさほど驚く様子もなく、俺が剣を振るう様子を眺めていた。


 「ハッ!タァッ!セイッ!フッ!ハァッ!セヤァッ!」

 「…ほう、器用だな」


 ライアンが特に興味を示したのは俺が異なる属性の魔力を剣に纏わせて繰り出す姿を見ての事だ。

 俺は自ら闇と光を除く六つの属性を剣に載せる事ができるが、複数の属性を次から次に変えられる者はそうはいないのだろう。


 「セオドアよ、一通り済んだら戻るがいい…。少し話がある」

 「わかりました、すぐに行きます」


 ライアンがそう言って小屋に引っ込むのを見届けた後、最後に再び剣から炎を放ち剣を鞘に納めると、すぐ様小屋へと戻った。


 「戻ったな」


 ライアンは揺り椅子に座ったまま此方に振り向くとテーブルの対面にある椅子へと促す。

 テーブルの上には古い羽根ペンとインク、数枚の紙が置かれていた。


 「お主、確か最初に海で仲間と逸れたと話しておったな?」

 「はい。恐らく今頃は俺を探していると思います」

 「ふむ、タニスが戻ってきた今なら手紙も出せる。お主もしばらくはここから出られはせん以上、手紙で仲間達に報せておくのもよかろうと思ってな」

 「…!助かります!」


 俺は早速ペンを手に取り、紙の上に走らせる。

 海上で起こった事、何日も漂流した事、ヘレ氷原の事、そこでライアンに出会った事、暫くはパーティーに戻れない事。まずは今現状で身に起こった事と俺を取り巻く状況を書き起こす。

 

 「少しばかり外す、書き終えたらそこの筒に入れておくがいい」

 「…はい」


 ライアンはそう言って席を立つと、外で快音を鳴らし始めていた。

 更に仲間達に向けたメッセージとクリスへ向けた個別の手紙を綴り、丁寧に折るとライアンに指示された筒へと入れる。

 既に一枚の手紙が筒の中へと入れられていたが、恐らくライアンの手紙だろう。

 中身を開く事無く筒の蓋を閉じると薪割りを終えたライアンが戻ってくる。


 「もうよいのか?」

 「ええ、伝えるべき事は全部書きました」

 「わかった。…今の時期、船が入る港街はテラービブぐらいだな…」


 ライアンは筒の中から最初から入れてあった手紙を取り出すと、一文を書き足し再び筒の中へとしまい、その筒をタニスの脚に括り付ける。


 「ではタニス、頼んだぞ」

 「クェッ!」


 タニスはライアンに返事を返すと直ぐに四枚の翼を広げて飛び立ち、あっという間に雪空の向こうへと消えてしまった。

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