第百四十話:狩るか、狩られるか
見ず知らずの土地へと流され、その地に住んでいた老人に救われた俺は、彼の棲家としている小屋に運び込まれてから既に三日が経っていた。
「…起きておったか、もう歩けるとはな」
体力がある程度回復した俺はどうにか小屋の中を自由に歩ける程にはなっており、老人は外から仕留めた魔物と焚き木を持ち帰って来ると、既にベッドから起き上がっていた俺の姿を見て少しばかり驚いた表情を見せていた。
「…ええ、なんとか」
「…ふむ、若い者は回復が早いな。…しかしまだ本調子とは言えんのだろう? 今は無理をせず身体を休ませおけ。…少なくとも、この小屋の外には出ぬ事だ」
老人はそう言いながら獲ってきた獲物をテーブルに置いて揺り椅子に腰掛けると、小さくなっていた暖炉の火に焚き木を焼べ直していた。
疲れているのか、焚き木を焼べた後、老人は身体を揺り椅子に完全に預けたまま目を瞑る。
「…動けるのであればすまんが…テーブルの上の殺人兎をまな板に置いてはくれぬか?」
「わかりました。…捌いておきましょうか?」
「そうか、できるのであれば頼む。皮は別に使うのでな、残しておいて欲しい」
老人はゆっくりと立ち上がり、そう言い残して再び小屋の外へ出る。
老人が小屋の外へ出て行くのを見送った後、二羽の仕留められた殺人兎の耳を持って台所に行き、立ててあるナイフを取ると、俺は真っ白な腹にその刃を通した。
ーーー
殺人兎の解体を終え、肉と皮を洗い終えるが老人はまだ戻ってこない。しかし、外からは斧を叩きつける様な音が聞こえている為、すぐ近くで薪にする木を切っているのだろう。
部屋の中をよく見るとテーブルには先程解体した殺人兎とは別にニンニクの様な見た目をした植物など、野草が詰められたポーチが置かれており、台所の鍋には既に下拵えされた芋や人参の様な野菜が入っている。
「…シチューか、なんでもあのお爺さんにやらせるのは申し訳ないし手伝うか…」
一人言を呟いて俺はポーチから野草を取り出すと調理を始めていた。
戸棚にはいくつかの調味料も蓄えられており、必要な食材は一通り揃っている。
シチューは昔カルマン村にいた時に母やアリーシャに教えて貰った料理であり、カルマン村から出た後もクリスと一緒に何度も作った料理だ。
手際良く調理を進め、食材を煮込み始めるとすぐに鍋から芳しい香りが小屋の中を満たし始める。
すると、老人も外で行なっていた作業を終えて小脇に切り終えた薪を抱えて戻ってきた。
「ほう、シチューか。…すまぬな」
「いえ、既にいくつか準備がされたんで俺の方で勝手に。…問題ありましたか?」
「いや、構わんよ。むしろお陰ですぐ食事にありつける。では儂は完成を待つとしよう」
老人はそう言って再び揺り椅子に座ると腰に下げた剣の手入れを始める。
見た目は細身の長剣の様だが、大柄な老人からすればダガーナイフの様に見えてしまう。
程なくして鍋がふつふつと煮えたぎり出来上がりを告げると、木製の皿に装い老人の座る揺り椅子の前のテーブルに置く。
「お待たせしました、お口に合うかわかりませんが…」
「ほお、美味そうだ。では頂くとしよう」
老人は添えていた木製のスプーンを取り、シチューをゆっくりと口へと運ぶと、じっくりと味わいながら咀嚼する。
目を閉じたまま頷く様を見る限り、とりあえずは問題は無さそうだ。
「うむ、美味い。他人の作る料理など、もう二十年以上も口にしておらんかったからな」
「お口に合った様でなによりです。…ところでいくつか聞きたいことがあるんですが…」
「食べながらで構わぬだろう? お主も食べるがいい、食う事は即ち生きる事だ」
老人に促されて俺も台所にある椅子をテーブルに持っていき、シチューを食べ始めた。
「じゃあまず、ここは一体どこなんですか? 大魔大陸の東の果て、そう言ってましたけど…」
「ここは大魔大陸はルミネシアの辺境、俗に"閉ざされた地"だとか"魔術師の忌める地"だとか呼ばれておる、ヘレ氷原という陸の孤島だ。陸路は風雪に蝕まれた天蓋の様な鼠返しの崖に囲まれておる、海岸はあるが複雑な岩礁地帯で大きな船では近づけんし、小舟で近づこうにもあの辺りは海王種の寝ぐらとなっておる。近づこうものならあっと言う間に沈められよう」
「脱出は…」
「一つだけ外へ繋がる洞窟がある、…が、そこは強力な魔物の巣となっておってな、儂はここを出るつもりは無いし、お主もしばらくはここを離れられんだろう」
ここはルミネシアの東端に位置する平原であり、老人はこの地に一人、密かに暮らしていたらしい。
老人の話によると、かつては罪を犯した魔術師をここに封じたのだとか、今では忘れ去られた地であると共に冒険者達には強力な魔物が跋扈する地として恐れられているそうだ。
「…こんな場所に一人でいるお爺さんは一体何者なんですか?」
「ふふ、儂か? …儂はライアン、なぁに、ただの酔狂な隠居の爺よ。…ふう、童よ、美味かったぞ。…して童、名はなんと言う」
ライアンは俺に正体を訊かれると、小さく自嘲しながら答え、シチューを食べ終えた食器を置いて俺の名前を尋ねてきた。
「セオドアです、セオドア・ホワイトロック」
「ふむ…、セオドアよ、儂ももう一つ聞きたいことがある。海から流れ着いた事を考えると罪人ではなかろう、冒険者だと見受けるが何があった?」
俺はライアンの問いに答える形でこの場所に至るまでの経緯を話す。
アトラシアから旅をしている事、六人の仲間と一緒にいた事、ガルムからルミネシアまで船旅の途中で帝烏賊との戦いの最中、弱った帝烏賊ごと黒い海竜に海に引きずり込まれ辛くも逃れたものの漂流し、この地に流れ着いた事、その全てをライアンに打ち明けた。
「…成る程な。セオドアよ、お主を帝烏賊ごと海に引きずり込んだ魔物だが、恐らくは漆黒の海竜、またの名を"黒き嵐"と言う。嵐と共に現れては幾つもの船を沈めてきた魔物よ。挑んだ者は数知れず、だが誰一人として生きて帰ってきた者はおらん。そんな化物と遭遇して生きて帰ってきたお主は運に恵まれておる」
「…ですが、仲間と逸れてしまいました。何とか合流しなければ。もし無事ならば今頃ルミネシアに着いている筈です。何とかその洞窟を抜けないと…」
「…無理だな」
ライアンは顔を伏せ、覗き見る様にして俺の言葉を遮る。
低く涸れた声、だがはっきりと力強く告げられた言葉に俺は何も反論できずにいた。
小屋の中を沈黙が流れ、俺は口を開く。
「…どう言う、意味ですか?」
「力不足、加えてまだ回復しておらぬその身体では到底無理だろうな。話を聞く限り、その帝烏賊は恐らく幼体だろう、成体の帝烏賊ならば大魔術ですら奴の大津波を完全に防ぐ事など不可能だ。そもそも成体の帝烏賊などS〜S+程度の冒険者たかだか七人、太刀打ち出来る様な相手ではない。その程度の実力であの看守の洞窟を抜けるなど片腹痛いわ」
ライアンは顔を抑えて俺達の事を嘲笑う。
しかしながらライアンの言葉は何故か疑う事は出来ない程に信憑性を帯びており、到底嘘を話しているとも思えなかった。
「ではどうすれば?」
「…暫くはこの地に身を置くしかあるまい。幸いこの小屋は魔物の忌み嫌う結界の中にある、ここにいれば少なくとも死ぬような事はあるまいて。まぁこの地で己を鍛え、じっくりと力を蓄えて看守の洞窟を抜けられる力を身につける事だな。儂がお主を拾ったのも、お主がこの地に流れて来たのも何かの縁だろうて、二十年近く一人で棲んで儂も退屈しておった所だし老い先も短かろう。お主を鍛えてやるのもまた一興かも知れぬな」
ライアンはその太い腕を組み、俺の問いに答える。
老い先短いと言う話は冗談にしても、その言動はライアンが歴戦の猛者である事を物語る様だった。
「さて、と…外も暗くなりつつあるし、吹雪いてきておる。今日の所はもう休むがよい」
「…わかりました」
しばらくはここから出る事は出来ないと逡巡していた俺をライアンが顎でベッドへと促す。
納得は出来ないが嘘も誤魔化しも無いライアンの言葉を聞いて、俺は明日、自らの手でそれを確認しようと考えながらベッドへ身体を埋めていた。
ーーー
「さて、整理はついたか? 身体の方も相当に回復してはおる様だな。…そら、着るがいい」
翌日、ライアンが狩りに出掛けると聞き、俺もそれに同行しようと腰をあげる。
ライアンも俺がそうするだろうと予見していたのか、魔物の毛皮を用いた防寒着を投げ渡してきた。
「己の目で、身体で感じなければ納得いかぬ、昨晩のお主の眼がそう言っておったよ。…ついて来るがいい、この地の厳しさを身を以て感じさせてやろう」
「…ええ、お願いします!」
「うむ、よい返事だ。死にたくなくば儂の側から離れるでないぞ」
ライアンから渡された防寒着に袖を通し、彼に続いて小屋を出る。
周囲は一面の銀世界で真っ白な大地が眼前に広がっていた。
小屋の階段を下り、雪の上に降り立つと、足首の下まで足が埋まってしまう。
「おお、忘れておったわ、少し待っておれ」
ライアンは雪に足を埋めた俺を見ると、そう言って物置に身体をねじ込むと何かを探し始める。
「…確かここに…、おお、あったあった」
物置からライアンが靴の様な物を取り出すと、積もった埃を払い落とす。
「少しばかり大きかろうが雪鼠の毛皮で作られた雪靴だ、幾分は歩きやすかろうて」
渡された雪靴に履き替えるとややサイズが大きく、多少の歩きにくさはあるが足が殆ど雪に埋まらずに済む為、普通のブーツに比べればかなりマシだ。
俺はせめて足首だけでもしっかり固定出来る様、革製の靴紐を固く結ぶ。
「では行くか。雪靴に履き替えたと言えど、まだ雪の上は慣れておらんだろうから儂の足跡を辿るといい」
準備が済んだ事を確認したライアンは雪の上を踏み固めるように前に進んで行く。
俺はライアンの踏み固めた雪の上をなぞる様に彼についていった。
暫く雪原を歩くと、少しずつ木が現れ始める。
そのどれもが雪に覆われており、雪の純白、陰影が色付ける灰色や黒、完全なモノクロームの世界は何処までも続いている様に見える。
「…殆ど同じ風景…よく迷いませんね」
「ふふ、迷ったとも、それで何度も死にかけたがな。だが何年もそうしている内に僅かな景色の違いにも気づける様になった」
初めてここに訪れた頃の事をライアンは話しているのだろう、何度も何度も自身を危険に晒して身体をこの地の環境に順応させていったと言う事か。
話をしながら、追従しながら、二人以外はモノクロームに染まった世界を進んでいくとライアンはふと足を止める。そしてその右手は腰に挿してある剣に手をかける。
「…魔物、ですか?」
「アレだ。一見岩に見えるだろうがな」
ライアンが顎で促した岩の様なものへ視線を移す。
岩に見える、とは言うが当にその通りで遠くからでは雪が降り積もった岩の様にしか見えない。
「さて、記念すべきヘレ氷原初めての戦闘だ。死んでくるつもりで行くがいい」
「死んでくるって…。…いえ、じゃあ…行ってきます…!」
ライアンに背中を押されて俺は銀の直剣を抜き、岩の様に見える魔物に近づく。
すると多少の黒が挿した身体は一瞬で白くなると背景の雪に溶け込み、遠近も位置も見失なってしまった。
「消えた…!?」
先程までそこにあった岩の様な姿は降り積もった雪に同化し、目を凝らしてもよくわからない。
出来得る最大限の警戒をしたまま、その岩の様な姿があった場所へ近づくと、遂にその魔物が動きを見せた。
爆発でも起きたかの様な轟音が上がると同時に立ち上った雪煙が視界を奪い、益々魔物の姿を見失う。
その時、後方にいるライアンから声がかかった。
「セオドア、後ろだ!」
ライアンの声に後ろを振り返るとそこにはライアンの姿は無く、巨大な雪塊、否、魔物の姿がそこにあった。
「速いっ…!いつの間に…っ!?」
咄嗟に後ろに飛び退くと、爪の生えた丸太の様な太い腕が目の前を掠める。
雪の上に倒れこみながら手を伸ばし、手に魔力を練ようとした瞬間、ある異変に気付いた。
魔力を練ろうとした手に魔素が滞留したかと思えば直ぐに霧散し、再び身体の中を循環し始める。
「なっ、魔術が使えないっ…!?」
放とうとした魔術が不発に終わると、襲いかかってきた魔物が首を下げる。
見開かれた眼は猛禽類の様な鋭い眼光を宿しており、その眼に睨みつけられた俺は一瞬、身体を動かせずにいた。
そして再び振り上げられた魔物の巨腕を目にして"やられる"、そう感じ、せめて致命傷を避けるべく手にしていた剣を手放して両腕を交差させ、頭を保護する様に防御の体勢をとる。
「……、…?」
魔物が振り上げた腕がいつまで経っても振り下ろされず、恐る恐る腕の隙間から魔物がいた方向を除き込むとそこにはライアンの背中が目に飛び込んできた。
直ぐに立ち上がって間合いを取ると、ライアンは魔物に剣を向けて制止していた。
魔物は白くきめ細かい羽毛を持つ梟の頭を持つ熊の様な姿であり、剣を向けるライアンを前に動けずにいる。
「此奴は梟熊、岩に成りすまし、音も無く雪に紛れ、獲物を狩る森の番人とも言われる魔物よ。儂がいなければお主は今頃挽き肉にされとった。だがこれでこの地に跋扈する魔物の中の下と言った所だ」
ライアンの剣と目線は腕を振り上げた梟熊を釘付けにしている。
そこには絶対的な力の差が存在しており、彼の背の後ろにいる俺も如実に伝わってきていた。
「さて、仕切り直しだ。魔術に頼ろうとするな、己が剣で梟熊を斬り伏せてみせよ」
ライアンが剣を引き、睨みを効かせたまま梟熊の背後に回る。
あくまでも俺と梟熊との一騎打ち、俺はかつて故郷で叩き込まれた狩りの基本を思い返していた。
「まずは魔物の特性やその動きを見極めろ──、だったっけな…」
突然の急襲に面食らった先程とは違い、今度はしっかりと梟熊の姿を捉えた状態で剣を構える。
確かに白い羽毛はこの雪の上では保護色となり捉え辛い、それに加えて足音を立てない為見失なった時は恐ろしいが、この魔物は自重がかなりあるのだろう、よく見ると移動したあとに深い足跡が刻まれていた。
「ホー…ホー…」
梟熊が小さな鳴き声を上げながら腕を振り、地面の雪を巻き上げる。
狙いは当然目眩し、巻き上げた雪が視界を塞ぐが冷静に振り払い、その先にある足跡を追うと梟熊が側面へと回り込もうとしているのが見えた。
「強敵だと思ったら逃げるか、慎重に攻めろ。確実に体力を削って弱らせていけ──、そこだっ!」
「ホーッ!?」
雪に紛れようと、その事ばかりに気を取られていた梟熊は完全に虚を突かれた形で斬りかかってくる俺に驚き戸惑っている。
避ける事も受ける事も出来ずにいた梟熊の肩にいくつかの切創を与えると、純白の羽毛と雪に青い血が流れ、その姿をはっきりと視認出来るようになった。
斬りつけられて傷を負った梟熊は慌てて腕を振り回すが、直ぐに間合いを取っていた俺には届かず、さらに腕を振り終えた直後にまた一太刀を浴びせて新たな傷を与える。
「ホー、ホーッ!」
「魔物は基本的な狩りの動きが通用しなくなると動きを変える、しかしその動きは決して多彩ではない──、だったな…っと!」
手傷を負った梟熊が此方を向き、四足歩行で走り込んでくる。
そして大きく跳躍すると両腕を広げて此方へと飛び込んで来た。
大きく飛び退いてのしかかりを回避すると、梟熊は雪の中に沈み、うつ伏せとなって両手足をバタつかせている。
「ホー!ホー!」
「今だッ!」
雪に埋もれ動けない梟熊の背中に剣を突き立てる。
だがそれでもなお梟熊は弱る様な素振りは見せず、漸く身体を起こし、雪の中から這い出てくる。
「剣の入りが浅い…、分厚い頑丈な毛皮で守られているのか…」
剣を突き立て確かな手応えを感じてはいたが、梟熊の出血はそれ程多くはない。当然、急所となり得る位置を狙って剣を突き刺していたが梟熊の分厚く頑丈な毛皮がそれを阻んでいた。
「ホー…!」
梟熊が顔を上げて大きく息を吸い込み始めると、ただでさえ大きな胸が倍程に膨らみ、小さく揺れ始めている。
何をするかもわからない俺は剣をかざして防御の態勢を取り、梟熊の一挙手一投足に注意を注いだ。
「…ホホオオォォォッ!」
梟熊が叫ぶ様な声と共に胸を膨らませた息を吐き出す。
特別な力を使っている訳ではないが、一気に吐き出された息は地面を覆う雪を抉り、猛スピードで此方へと接近していた。
「うわっ…!」
回避が遅れ、梟熊の吐いた暴風の吐息に巻き込まれた俺は風に巻き上げられ、錐揉みしながら吹き飛ばされる。
暴風の吐息の中はまるで空気を固めて出来た砲丸が荒れ狂う様で、直撃に巻き込まれた俺の体は打撲による痛みに軋んでいた。
「ゲホッ…この威力で…魔術じゃないのかっ…!」
腹から滲み上がってきた血を咳と共に吐き出した俺は剣を杖代わりに立ち上がり、梟熊を睨みつける。だが、梟熊の表情にも余裕は無かった。
梟熊の足元の雪は青黒く染まっており、今尚も夥しい量の青黒い血が滴り落ちている。
どうやら俺が与えた背中の傷は一見浅く見えていた様で、梟熊も背中の筋肉を隆起させて血を流さない様にしていたが、先程の吐息によって塞いでいた傷が開いたのだろう。見た目にも一回り程小さくなった様に見える。
とはいえ、此方もたった一度の暴風の吐息で看過できない程の傷を負っている。
治癒魔術も試そうとしたがやはり魔素を魔力に練り上げる事はできず回復は不可能、今この状態では巨腕の一撃は勿論だが、暴風の吐息もこれ以上の直撃を貰う事は即ち致命傷となる。
「お互い余裕は無し、…狩るか、狩られるか…だな」
唇に付着した血を舌で拭い、俺は構えた剣の切っ先を梟熊の喉元へと向けていた。




