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少尉ですが何か?  作者: 背徳の魔王 人と話すうちに性格から行動パターンを読み取り。隠された本性を暴き。時に未来を予言することからリアル魔王と呼ばれ。材料と調味料の分量で味がわかるので、絶対味覚と本人が詐称する一般人
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君の名は……、

聖人アレイ。アレイク王国建国の父と呼ばれたバレンシア王、初代国王のクラウベリア。アレイク王国の始まりの物語はこうして始まった……、

プロローグ




━━120年前。



アレイク王国建国の父。バレンシア王が即位して、僅か数日で……他界したとされる謎に包まれた事件があった。



また事件には、大きな秘密が隠されていた━━。



王家の秘事ゆえ。初代国王クラウベリアによって、隠された歴史。人々に謎の事件と呼ばれた、空白の1日がある。




━━王宮図書室に。『魔王の書』と呼ばれる本が、隠されていると、噂が流れたのは━━、それから間もなくのこと……。



噂が真実ならば、『魔王の書』とは、今は亡き、西大陸の魔王ヒザンより、旧友アレクの子息。クラウベリアに贈呈された本だと言うのだ。



━━何故魔王ヒザンは、そのような本を。認め贈呈したか……、



全ての謎が、その書にだけ。アレイク王家の秘密と、物語が記されてると言うのだ。





━━当時のアレイク王国は、未開の地であり。数多のモンスターが、広大な森を闊歩する。妖魔の森と呼ばれていた。



アレクは、沢山の人々を連れ、危険な森を切り開き、今の王国がある地に。僅か数棟の小さな村を。興した。




━━━━。



「ん~いい天気だわ♪」

ぐっと身体を伸ばし。プラチナ色の白銀の髪、繊細な顔立ちで、小柄の痩せた女の子レシアは、兄とナタクが汗だくになりながら、穀物の袋を馬車に乗せる様子を。ハラハラ心配して見ていた。「ナタク!、あんたそれでも男なの?、しっかりやりなさい、兄さん早く運んで、兄さんも頑張らないと。慕って集まってくれた信者の為に。キリキリ働きなさい!」

腰に手を当てて、強気に口を出していた。

「だあ~わかってるよレシア!、お前もみてないで手伝えよ」

日に当たると、燃えるような赤い髪をしてるナタクが、憮然として睨んで来たが、

「あ~らナタク、私みたいなか弱い女の子に。そんな重いもの。持たせるつもりなの?」

鼻をふんと鳴らし。さも当然のように言われ。

「だあ~レシアが、お嬢様みたいなこと、ほざいてるぞ。良いのかアレク?」

幼なじみで、友人のアレクに、一生懸命訴えた。

「ん~レシアは、可愛い女の子だし。仕方ないよ」

あっさり妹の言葉を認めた。優しい眼差しをレシアに向け。微笑すると、死んだ白の女王に。本当にソックリで……、同じあの白の女王から産まれたのが……、信じられないほど貧相……、じろじろレシアの胸と、慈愛に満ちた笑みが忘れられない、皆の母のようだった女王と見比べ、小さく嘆息したナタク。ムッとして、ゲシゲシナタクの脛を蹴った。

「いっ、痛ててて、何すんだよ!」

「フン!何よ~」

二人が睨みあった。いつもの取っ組み合いになる前に。

「まあ~まあ~、二人供。似た者同士なんだから」クスクス笑われ。憮然としたナタクは、

「こんなちんちくりん。似てねえやい」

「なっ、何よ。こんな口だけ男と、似てないわよ!」

二人は再び睨み合う。全く素直じゃないんだから……。やや呆れた顔をしていた。兄のアレクが忙しい時。二人は見ていて微笑ましいほど、アレクはレシアの世話をするし。レシアはレシアで、ナタクを兄として慕っていた。



普段からこれだから、アレクを慕う信者達は、何時もの事と、笑っている。アレクとしては、恥ずかしい限りである。

「アレク様、早くしないと、日がくれちゃいますよ~」

そんなとき、何時もみんなをまとめてくれるのがセラで、にやり意地悪く笑うセラに。

「済まないセラ、荷は積んだ。二人を置いて。さっさと出ようか」

何となくセラの考えが分かり。悪のりしたアレクが、馬車にさっさと乗り込み言った。

「ああ~それはいいですね」

ニンマリ笑う顔は、やんちゃな少年が悪戯を思い付いたようになる。楽しそうに相槌を打ったセラこと。名をオール・セラ、類い希な魔法の才があり。アレクの片腕と呼べる弟子の1人である。



━━歴史上……、聖人と呼ばれた。聖アレクには、12人の弟子がいたとされる。中でも。高弟と呼ばれた三人の弟子がいた。アレイク王国の人々に。現在でも馴染み深い。それぞれ名を。

オール・セラ、

ラウ・ガイロン、

ダン・カレン・ダレスの三人の頭文字を合わせ、人々は何時しか『オールラウンダー』と呼ぶようになる。そんな称号を……。




━━レシア、ナタクが慌てた。

「わっ、私を置いてくつもり」

「まっ待て、行くよ。行くから」

二人が乗り込んだ馬車は、緩やかに出発した。




荒い息を整わせ。安堵したレシアは、兄から水筒を受け取り。冷たい水で喉を潤わせた。

「ありがとう~。ふう~、」

一息着いたレシアは、兄の物憂げな眼差しに気が付いて、

「兄さん……、お義姉さん、大丈夫かしら?」

内心隠していた、不安を口に出していた。

「ルリナか……、悪阻つわりが酷いからな……」心配そうに眉を潜めた。



━━アレクが、ルリナと結婚したのは、アレイクの村を興してすぐのこと、間もなく二年が経とうとしていた……、


夫婦にとって、何もかもが初めての出来事。それだけに不安や。心配は尽きない、

「アレク良かったのか?、ルリナに付いてなくて」

ルリナは、普通の人間だから、ナタクも心配だったのだ、何時もそうだ……、優しい友人の言葉に。何度も救われていた。

「ああ……、セレナ司祭が、付いてくれている」

セレナとはアレクの弟子の1人で、アレクとレシアが謎の失踪した後。アレイ教の大司教になった。聡明な女性である。━━ほんの数十年前の出来事……、


アレク達ハーフにとって、人間と時間の感覚は違う。寿命が違うからだと、三人は考え半分諦めていた。




世界に、大異変が起こったのは……。今から20年前になる。中央大陸が、再び世界に現れようとしたのだ、アレク達四人は、聖なる武器に選ばれ。



世界を守るため。力をあわせ。魔人となった赤の民。アビス界の魔神達の猛威から、世界を救うため。激闘の末どうにか……、封印の扉を作り。アビス世界を封じる事が出来た。




人知れず世界を救った四人は、それぞれの生活に戻って。幸せに暮らす筈だった。のだが……、



━━海中都市に戻ったアレクとナタクは、白の女王の悲報をしった……。魔人の王に。殺されたという……、失意の底にいたレシア、さらにアレクを、白の民達は追い討ちを掛けた……、あまりのことに怒りを覚えたナタク。彼を止めたのはアレクだった。



新しい白の女王は、アレク、レシアの叔母であり、彼女は人間を嫌っていた。深い悲しみをアレクは知っていたから、彼女は人間とのハーフである。兄妹を嫌い、海中都市から追い出したのだ。



それには深い理由もあった……、ナタクは知らなかったが、数百年前のことになる……、増えて力を得た人間は増長し、叔母の敬愛した母、初代白の女王セルローザを、目の前で殺されたからだと聞いて。言葉を失った。この出来事をナタクは後悔することになる。



この時アレク、レシアは信じた叔母シルフィールは、たた人間を嫌うようになっていた、だからではないが……、叔母から出てくように強く言われたと。仕方なく二人は、ナタクと供に。安住の地を求めて、世界中を旅したのだった━━。




数年後━━。



東大陸に降り立った三人は、モンスターに襲われてた。キャラバンを助けた、その中に。太陽神アセードラの信者で、司祭になったばかりの。ルリナがいて、彼女に誘われ、建国して間もない。ラトワニア神国で、居を構えた、




━━それから……。ラトワニアで数年の平穏な時を過ごした。

その間、アレクは様々な奇跡の力。寵愛を頂いた。大地の女神アレから力を借りて、癒しの奇跡を行い。人々から尊敬を集めた。さらにアレクは最近まであった戦争で、家族を失った戦災孤児のために。大地の女神アレの孤児院を建てた。人も何もかも足りなくて、忙しい毎日を送っていた。




東大陸に渡ってからの数年。東大陸では新たな国が、生まれては消える。戦乱の世であったと言われている。

その為もあって、孤児院には、毎日戦災で、怪我を負った、多くの民が、アレクの噂を聞いて、訪ねて来たのだ。アレクは癒しの奇跡を行える。数少ない癒し手であり。また他の神殿のように多額の寄付金を求めず。無償で、沢山の民を助けました、その功績が認められ。ラトワニア国王から、聖人『聖アレイ』の称号が与えられ。ようやく国内で認められるようになった。



瞬く間にアレクは国王の信任も厚く。裏表ない性格と深い知識から重用された。数年後には、大地の女神アレを。国教の一つと認められ。王都に小さいながら、5つめの大地の女神の神殿が造られた。



━━楽しくも大変な日々を、過ごしてたアレク達なのですが……、他の神殿の有力者は、新参者のアレクを危険視して、排斥しようと。画策しました。




大僧正達の動きを、察知した王は、このまま国に居れば、アレクが害意を受ける。そんな懸念から、ある頼みをしたのでした。「南の地は、未だに未開の土地であり。また地下迷宮という、脅威があると……」

王は願いと同時に。ある想いもあった。アレクならば何とかしうる。特別な存在だと信じた。アレクはこの時。何時しかナタクが旅した地下迷宮を通って、冒険の旅に出たいと、思っていた、だから━━。

「分かりました、おまかせ下さい!」

2つ返事で了承した。



「お前な~、人が良いにも程がある」

ビシビシおでこをつつかれ。

「痛たた、痛いよ~ナタク」

赤くなった、おでこを庇うアレクと。後ろで面白いように、オロオロしてるルリナを見て、はは~ん。人の悪い笑みを張り付けた。アレクは気付いてないようだ。

「アレク無論。ルリナを連れてくんだろ?」

ギクリ顔が強ばるアレク、ピクリと反応して、立ち止まるルリナ。ちょっと困ったような顔をして、

「ナタク僕個人としては……、付いてきて欲しいけど、とても大変な仕事になる。無理は……」

慌てたのはルリナで。黙ってたら置いてかれる。そう思い心を決めた。

「アレク様!」

ビクリ子供が、怒られたような反応した、アレクは驚いた顔で振り返り。見たのは、赤い顔をしてる。ルリナと対面した 瞬間。アレクは顔をひきつらせた。

「やっ、やあ~ルリナ、どうしたんだい。怖い顔なんかして……」

誤魔化そうとしたアレク、このまま誤魔化される訳にはいかないと……、勇気を出して、アレクに抱き着いた。途端に真っ赤になる二人、お互いの気持ちは、最初から決まっていたのだ……、フフ~ン優しい笑みを称えるナタクと、目が会った。

「答えは、決まりだな、レシアには伝えとく」



━━数日後……。アレクを慕う民と。12の弟子達。後に弟子達の中に。名が記されてる。ナタク、妻ルリナ、妹のレシアは、苦難の旅に出た。



未開の地は、多くの魔物が、住まう危険な土地である。最初の半年あまりの旅で、危険な密林を走破して、多くの経験を得ていたアレク達は、実り豊かな、美しい地にたどり着いた。



見渡す限り。豊かな土壌に。近隣に危険なモンスターも少なく、多くの実りが期待できると。ナタク、レシアも頷いてくれた。そして……ルリナは、アレクを信じて、優しく微笑む。決意は決まった。アレクは聖王の剣を抜いて、大地に差し。白銀の城を生み出して、近隣のモンスター。脅威を排除していき。僅か数日で広大な土地を、確保しました。

「この地に町を築く!」

「はい!、アレク様」


最初は……。数戸の小さな集落だった。豊かな実りをもたらす畑を作り。家畜を育てて行った。



やがて……、アレク達の噂を聞いて、多くの開拓民が集まり、僅か数ヶ月で村となった。

「街道を作る!」

アレクは宣言する。かねてより皆で、力を合わせ。多くの旅人が、安全に村まで来れるよう。一年掛けてラトワニア国境から村に続く、長い街道を作らせた。これにより。アレイクの村に。多くの旅人が訪れ。さらなる開拓民がやって来て━━、



僅か一年で、町へと発展していった。民の尊敬を集めたアレク達は、新たに街道沿いに集落と、開拓村を作り。凄い勢いで領土が拡大して行き。近年ラトワニア神国王の後ろ楯もあり。建国の話が上がっていた。

「レシア姉さん、聞いてください~」

あどけない顔立ちのベテルローズは、時折ドリキとさせられる。色香を放つが、まだまだ甘えたい年頃で、レシアを姉と慕い甘えたように抱き着いた。ガタゴト進む馬車の上。流れる景色を楽しみながら、ベテルローズの頭を撫でると。くすぐったそうに、でも構ってもらえて嬉しそうに、目を細めた。

「どうしたのベル?」レシアの慈愛に満ちた眼差しを見ていて、セラがぽーっと赤くなる。

「うん、あのねあのねスタンレイと、サンレイが、ラウ兄と剣の稽古してるでしょ?、でねでのベルもやりたいの~」

突然言い出した。ラウと言うのは、アレクの弟子の中でも、右腕と呼べる若者で、あらゆる武器に精通し。武芸の達人である。スタンレイとは、最近メキメキ腕を上げる。ラウお気に入りの少年だ。それ以上に天才的な、才のあるサンレイは、ナタク、アレクと本気で試合して、引き分けたことのある強者で。三人が隠れて訓練してることは、ナタクも知ってたが、まさかベテルローズまで気づいてたとは……、

「あらベルは、どうして剣の稽古をしたいの?」ニッコリ可愛らしく笑って、

「だって、兄さん達が忙しい時。レシア姉さんやルリナ様、セレナちゃん守れるから♪」

ベテルローズの優しい気持ちに。思わず抱き寄せ。

「ありがとうベル……」

くすぐったそうにしたベテルローズは、恥ずかしそうにして、俯いた。

「うん♪」

頭の良いベテルローズは、ダンの難しい。内政の仕事の手伝いもしている。力のあるロノバリエ、気取り屋のブルワーズ、セレナ、スタンレイ、サンレイは孤児だった、産まれも育ちもバラバラだったが、みんなアレクを中心に、本当の家族だと幸せを噛みしめ。忙しい日々を送っていた。



━━開拓の集落とは、地下迷宮の近くに造られた。入り口にはドワーフ他、沢山の亜人が、集まり町を作っていていた。アレクは彼等と交流を持つ窓口に、開拓村を使う考えのようで、僅かだが、彼等との交流が、始まっていた。間もなく開拓村が見えてきて、広場に沢山の人が集まり。賑わいがあった、



明日は朝市が開かれるため。近隣の集落からも、人が集まる。ここから北側には、凶暴なモンスターも多く。何れ地下迷宮が、交易の重要拠点になるからと、交流を兼ねていた。ダンの提案で。朝市を開くようになり。早くも今回で6回目だ、



料理の得意なロノバリエ、サンレイによる。焼き菓子の屋台をやるため、町から引き立ての小麦を運んでいた。前回が好評で、二人の作ったお菓子は、あっという間に売り切れてしまった。それも踏まえて今回は、前日から準備することにしたのだ。それで積み荷に少し時間が掛かった。

「れっ、レシア様……」

大男のロノバリエが、アレク達の馬車に気が付いて、みるからにほっとした表情を浮かべた。ロノバリエは見た通りの大男で、凄まじい怪力の持ち主。いかんせん思考が単純で、勉学に向かない性格もあり、人々からウスノロ、馬鹿とか酷い扱いをされて育た。その為人の顔色を伺う癖がある。だがレシアとアレクだけには、直ぐに心を開いた。



だからではないが、開拓村の力仕事をしてる。彼と会うのは久しぶりで、レシアに全面的な信頼を寄せてるから。安堵の顔をレシアに向けた。

「どうかしたのロノバリエ?」

「おっおで、困った、難しい話わからない」

ロノバリエは朝から。屋台の準備をしてた。ちらり屋台の方を見て、困った顔をした。視線の先に、若い男が立っていて、レシアを認め。頭を下げてきた。



男はルーサン・モードと名乗り。後からやって来た、ナタクを認め。ハッと顔色を変えた。

「若!」

きょとんとしたナタクだったが、懐かしそうに目を細めて、

「もしかしてルーサンか?」

「はい!、お久しぶりです」

「ナタク、知り合いかい?」荷下ろししてたアレク、セラ、モジモジしてるレシアと、ロノバリエの背に隠れた。ベテルローズに、

「幼なじみだ」

説明した。



ルーサン・モードとは、地下迷宮の中心にある。デスホール近くの赤の民が住む町がある。堕ちなかった赤の民が、住んでいた。ルーサンやナタク達のようなハーフは、古い考えの赤の民から迫害の対象となるため。人間の親と、施設で暮らしていた。ハーフの多くは、幼なじみなのだ、ロノバリエは赤髪である。恐らくハーフと間違え。声を掛けたのだろう。

「そうか、外の世界でいや~久しぶりに同胞に会ったかと、喜んだのだが……」

照れ臭そうに頭をかいた。

「相変わらず。そそっかしいなルーサンは」「ん~面目ない。まさか若とこんなところで、再び会えるとは、思いませんでした」

赤い短髪の頭を、がしがし照れ臭そうに笑った。


ひとしきり懐かしい思い出を語り。仕事があるとルーサンは、地下迷宮のある大洞に向かって旅立った。



翌朝━━



晴天に恵まれた朝市は。近隣の集落から沢山の人々が訪れ、生活に必要な物資を交換する場となり。盛況である。地下迷宮の入り口に住むドワーフ他。珍しい種族まで、顔を出してくれ。アレクは、建国を強く意識した。



朝市の片付けを終えて。ラウ・ガイロンとダン・カレン・ダレスの二人が、顔を出した。海岸沿いの新しい村の警護をラウ率いる。自警団が任されており、近隣の山に隠れていた盗賊を捕らえたと。報告にアレイクの町に戻ったのだが、ダンが開拓村に来ると聞いて、わざわざついて来たらしい。

「ラウご苦労様、スタンレイ、サンレイの二人は、初めての実戦大丈夫だったかい?」

「ああ~あの二人なら大丈夫だったよアレク様。張り切り過ぎるスタンレイと、適当過ぎるサンレイは、二人で丁度良いくらいでした」

ガハハと豪快に笑うラウの笑い声に。レシアは耳を押さえ睨みあげる。ロノバリエと並んでも、遜色ない大男のラウの豪放伯楽な性格は、仲間から安心感を。敵対した相手に威圧感を与えるが、レシアからしたら。声が煩いだけの大男である。「そう言えばルリナ様の具合は、あまり思わしくないようだが?」

ラウの何気ない一言に。表情を曇らせるセラ、ダンの二人とラウを含めた三人は、ルリナを本当の姉のように。慕っていた。ラウは見舞いに行ったから余計心配なのだろう、

「……セレナ司祭がいる。彼女はルリナ様以上の癒しの魔法の使い手だ、きっと大丈夫さラウ」

「セラの言う通りだよ~ラウ。きっとお義姉さんは大丈夫!」

鼻息荒く、レシアにまでたしなめられ。自分1人ではないのだと、ラウは諭された気がした。

「そうだな……すまねえ、ルリナ姉に、子供が産まれるなんて、初めての経験だし、つい不安になっちまった」照れくささを隠すように、鼻を掻いた。それも仕方ない。ここにいるみんなが、初めての経験なのだ。特にアレクなど。今でこそ落ち着いているが、数日前まで、オロオロしっぱなしだった。



だから他の弟子を纏めるナタク。レシアが支柱となり、皆の動揺を押さえていた。

「さて、話も纏まったようだし。みんないいかな?」

のそりのそりロノバリエを連れて、ダンが、朝市の収益計算を終え。戻ったようだ、

「ダンお疲れ様。その顔は良い結果だったようだね?」

まあなと頷いて、若者を連れていた。

「アレク様。北東の山間にある。集落の若長をお連れしました」北東の集落と言うと……、南大陸出身の集落だと聞いていた。




アレイクの町から、北東の集落に行くには、魔物の住む山があるため。未開の地を進まねばならない。それほど危険な地に。集落はあると聞く。



だがアレクが興した開拓村は、東の集落から僅か数日の比較的近い場所にある。若長の願いは、

「どうかアレク様の貴下に、我等を入れて下さいませぬか?」

彼等は皆黒髪で、旧友ヒザン達、黒の民の血筋を引いた一族だと、教えられた。後に。黒衣と呼ばれる。一族との出会いであった。



アレクは弟子達と話し合い。明日にも若長ヒライ・オーマの案内で、東の集落に向かうことが決まった。

「済まないね。本来僕が出向くところだが……、妻の容体が心配で、済まないね」

平に謝るアレクに、ヒライの方が、狼狽した。

「そんな滅相も御座いません。こちらこそ無理を言いましたし。良い返事も聞けました、その上皆にお土産までいただきましたから……」

ヒライの話では、今年に入り。畑が続けてモンスターに襲われ、北東の集落では、食糧難と聞いた。余分に持って来た。大量の小麦を馬車に積み。ラウ、ダン、セラの三人が、集落に向かうことに決まった。

「セラわかってる?。お兄ちゃんの代わりなんだから、しっかり勤めなさいよ!」

三人の中で。一番小柄なセラは渋面になりつつ。苦笑気味に。笑いながら、

「わかってるさレシア、俺がいないからって、泣くなよ?」

逆に切り返され。

「なっ、ばっ、バッカじゃないの!」

真っ赤になって怒鳴るが、珍しく狼狽えた。

「せっセラ、レシア様、喧嘩は駄目だよ」

悲しげな顔をして、二人をたしなめるノロバリエに。

「あんた馬鹿じゃないの~、レシアお姉ちゃんは、ああして甘えてるの」

おしゃまなベテルローズにまで言われて、二人は見合い、真っ赤になっていた。

「へえ~あのレシアがね」

微笑ましく思い。うんうん優しい眼差しを向ける。アレクの視線から、いたたまれず。どうしていいか、レシアはおろおろする。

「まあ~二人をからかうのは、それくらいにしておけ」ナタクが取りなし。二人をからかうのは、お開きになった。


翌朝アレクとナタクはベテルローズ、レシアを連れ。アレイクの町に戻り。ロノバリエは、開拓村まに残って街道整備に人力する。



一方で━━。アレクの代役を頼まれた三人をヒライは、アレイクの町で、重要な役割を果たすアレクの側近と説明されていた。町の財務担当のダン・カレン・ダレス、あらゆる武器に精通し。千兵に匹敵すると、自負するラウ・ガイロン、あらゆる学問、魔法、古代の民の知識にまで精通する。若き賢者オール・セラ、レシアが、仲の良い三人を頭文字を取って『オールラウンダー』と呼ぶようになり。アレイクの住人は、敬意を持って三人を表す総称として、呼ぶようになった。二人を連れて。多くの物資を乗せた馬車は、道なき道をガタゴト酷い揺れに、半分諦めながら、傍らで馬に乗るラウ、ダンを怨めしげに睨む。馬に乗れないのはセラのせいだから。文句も言えない、ヒライと妹のアカネは、危険な森を徒歩で来たため。疲れていた。こんなに揺れる中。よく寝れるもんだと、半分呆れ。羨ましく思う、



ヒライの妹アカネは、少年かと見間違う、短い髪の少女で、朝食を供にしたのだが、最初頑なだったアカネは、兄ヒライに促され、空腹だったのか、涙ながら食べた。それがついさっきの事で、二人の様子からアレクと少食のセラの分も勧めた。恐縮したが、ペロリ平らげた。聞けば集落から、開拓村まで、飲まず食わず3日3晩休まず歩いて来たと言う。二人にとっても助けを求めに来たのは、最後に藁にもすがる。思いだったのだと分かる。それは三人にも理解出来た。



いや……、それはアレクの元にいる弟子達みんな。一度は味わった絶望だからだ。明日おも知れね不安を一体何度経験したのだったろうか……?、



━━戦災孤児だった三人。

━━ラウは危うく、殺させる所をナタクに救われ。

ダンは、死にかけた妹を抱え。絶望に死を選ぼうとした所を。アレクに救われた。

セラは両親、兄弟が目の前で、殺され心を閉ざしていたのを、レシアに救われた……。

アレク様は、優し人だから。自分たちがしっかりしなくてはならない、三人は考え弟子達をまとめる立場を選んでいる。ダンは何も言わないが、彼は妹と暮らせるだけで幸せだと、裏方に徹していた。それをなんとなく野生の勘で察してるラウが、矢面に立ち。類い稀な叡知を使い。皆をまとめるのがセラの役目だ、




━━セラが、アレク様に拾われたのは、今から6年前になる。



当時アレク様は、北大陸から、東大陸に着いたばかりで、北の端にある独立自由都市ベサードの港街に。降りたばかりだった。大小の町。また有力者が王を名乗った時代。戦かは絶えず。また多くの飢えと、混乱を産み出していた。また名を上げたい有象無象が、東大陸に集まり。ピーンと張り詰めた。危険な香りを、町の大通りですら、流れていた。セラは小さな村の生まれで、野党となった傭兵に略奪を受け、両親と幼い弟が目の前で殺された……、深い絶望の中。心を閉ざした。生き残れたのは、近所に住んでいた。叔母さんが助けてくれたからだ。自由都市ベサードに。多くの難民が押し寄せ、市街地の外に、沢山のバラックが建てられていた。それは戦乱の世にあり。金さえ稼げれば、平和を約束された堅牢な外壁で守られた街だったからだ。税は高くまた商人と神殿の権力が強い町に。人々は入ることも出来ず。バラックに住まうこと余儀なくされた。アレクは貧困に喘ぐ人々を、分け隔てなく。無償で。病を癒し、怪我を治した。瞬く間に噂は流れ。噂を聞き付けたセラを引き取った、叔母が、いちるの望みを掛けて、アレクを訪ねたのはそんな時である。話を聞いたアレクは、快く頼みを快諾して、ナタク、レシアを連れて、直ぐ様診察に訪れた。



━━アレク達は、市街地の城壁外に並んぶ。バラックの一つに案内され。セラは暗闇の中。膝を抱え、ただ涙を流していた。

「こいつは驚いた……」

たまに目をしばたかせるから。少年が生きてるのが分かる。身動き一つしない。

「セラ……、お医者様が来てくれましたよ……」叔母さんが声を掛けると、僅かに反応があった。ナタクはつかつか少年に近寄り、セラの顔を上げさせるや、顔に怯えが走る。しかし瞳にある紋様を射るように見て。驚いていた。

「ちょっとナタク!、その子怯えてるじゃない、やめなさいよ」

レシアがセラを庇うように、ナタクを睨み付けた。まるで自分の行動を非難されたようで、ムッとしたが、セラの様子に気が付いた。小刻みに身体を震わせ。レシアにすがり付いてる姿に。

「大丈夫だから、ね」

優しい声音。キッとレシアに睨まれ、苦笑滲ませたナタクは、アレクに意味ありげに目配せをした。

「初めまして、僕はアレク、君の名前を教えてくれるかな?」ゆっくり怖がらせないよう、近寄りながら、手には何も持って無いよと見せる。



するとオズオズ。目をしばたかせながらもアレクを認め。首を傾げていたが、

「……オール・セラ……」

名乗った瞬間。

「うっうう……、セラが言葉を……」

安堵の呻き声を殺し。叔母さんは泣き出した。

「……叔母さん……」

弱々しい声ながら、自分を取り戻したセラは、心配そうな顔をした。

「良かった……、良かった……、良かった」

何度も何度も呟き、セラを抱き締めた。

「あっ……、うっうう……、うわあああ~ん」

声を上げ。膨らみ過ぎた風船が割れたように。全てを吐き出し。叔母さんにしがみ付き。泣き出したセラ。愛しいく安堵して抱き締めた。



二人が落ち着いた所を見計らい。

「もし良かったら、彼を、ぼくの弟子にしたいのですが……」

「セラを……ですか?」

戸惑いを見せる叔母から、セラと自分たちの身に何があったか……、壮絶な話を聞いていた。アレクはその上で申し出たのだ。


二人の生活は、けして楽ではない、気丈に振る舞ってるが……、その日の食べ物さえ。困窮しているのは、やつれた顔を見れば分かる。

「叔母さん……、ぼくいくよ」

寂しげな笑顔すら浮かべ、セラは毅然と言っていた。それは大好きな叔母さんに。心配掛けたくない一心での言葉で、本心ではないだろう。

「セラ……、行ってきなさい、私は何時でも待ってますからね」

「……うん」

二人が寄り添う姿に、レシアはそっと涙を拭う。



━━急坂を上りきると、森の中に。小川が流れていた。馬を休ませるべく、夜営の準備を始めた。あれからセラは、アレクから魔法を学び、僅か数年で、沢山の叡知を苗床に。魔法に関して、皆から一目置かれる存在になった。昨年アレク様から許しをもらえ。叔母さん夫婦を町に迎えた。産まれたばかりの甥を可愛がる。そんな優しい姿を見掛けた。

「セラ、照らしてくれ」

ラウが、革袋から火打ち石と木屑を取りだし、ダンの集めた木の葉の上に乗せ夜営の準備した横で、

「光よ……」素早くライディングの魔法を唱えた。突然現れた魔法の明かりの光玉を。二人は驚き、目をしばたかせる。

「セラ辺りが暗いから、一つ貸せ」

ダンが油の入ってないランタンを掲げる。一つ頷き。もう一つ光玉を浮かせ。ランタンの中に入れて。仄かな明かりを灯した。馬は暗闇を怖がる。また魔物が住む危険な森だ、結界を張る必要がある。ダンは結界など、補助魔法を得意にしていた。その為。馬の周りに。魔方陣を、画かなければならない。

「あっ、あの~セラ様。セラ様は魔法が使えるんですね?」

興味深そうな顔で、ヒライの妹。アカネがおずおず聞いてきた。一つ頷いて、丁寧に答えた。「アレク様の弟子達は、皆程度の差はありますが、簡単な魔法は扱えます」

まさか丁寧な口調で、答えて貰えると思わず、戸惑うアカネに対して、クスリ少しだけ笑みを深めるセラに。

「セラ様。私にも魔法使えるようになったりしますか?」

期待するような、それでいて伺う眼差しを浮かべた。何となく彼女は、三人の中で、比較的話しやすい人として、セラを選んだようだと感じた。

「……まあ~、魔力は誰でもありますから、訓練さえすれば可能ですよ。アカネさんと言いましたね?、魔法に興味ありますか」

パッと目を輝かせうんうん頷き。

「セラ様!、お願いします私にも魔法教えて下さい」

いきなり頭を下げてきた。

「あっ、アカネお前……、無理を言うな、セラ様だって困られてるだろ?」

慌ててヒライが、妹をたしなめようと、夜営の準備する手を止めて、やって来た。ムッとした顔をしたアカネは、兄を睨み付け。厳しい顔をした。何となくアカネとレシアが、とても似てる気がして、再び柔らかくクスリ頬を緩ませてると。

「セラ様どうか、私を、弟子にしてください!」

意気込まれた。ちょっと戸惑う。自分なんかが弟子を取るなど、烏滸がましい。そう考えていたからだ。だがあまりに真摯な眼差しに、ハッとした、そして気が付いた。彼女は自分に弟子入りすることで、集落の橋渡しをと考えてるのではと、推測出来た、ダンに視線を送れば、苦笑滲ませながら、小さく頷いていた。

「構いませんよ。ヒライさんさえ良かったら、弟子ではなく、新しく作った、学校に通うと言うのならば」

ダンは二人にそう提案して、話し出した、学校と言ってもまだ小さな小屋に。数人の子供達に、勉強を教える程度だが、簡単な魔法等も教えてると聞いて、パッと目を輝かせ。兄を上目遣いに伺う、小さく嘆息して、セラに頭を下げ。

「申し訳ありませんが……、お願いします」

「では詳しい話は、集落に着いて長と、皆さんにお話します。また学校に通うとなるとアカネさんには、町で暮らす方が良いでしょう」

ダンがヒライに。にこやかに告げる。少し心配そうな顔で、表情を曇らせるヒライに。

「アカネさんさえ良かったら、孤児院の手伝いをしながら。通われては、如何ですか?」

妥協案を用意していた。

「孤児院ですか?」女性、子供ばかり暮らす孤児院の話を聞かせると。

「あっ、あたしやる!、絶対いくから」鼻息荒く捲し立てた。ただ困惑を浮かべるヒライは、困った顔をして。頬をかいた。

「おお~い。話は後にして。こっちを手伝えよ」

面倒くさそうにラウに言われて。あっと四人は、ばつが悪そうに、慌てて夜営の準備に戻る。



翌日の夕方━━。



北東の集落に着いた。住民はみなやつれてたが、健康に問題ないようで安堵した。ヒライ兄妹が無事戻ったと聞いた皆が、わらわら現れ。三人を涙ながら出迎えた。



長老との話し合いは。ダンに任せ。ラウは若い衆を集めさせた。それは集落の現状を調べる必要を感じ。また正しく集落に必要な物質を知るためと、近隣の脅威を。正しく知るためである。

「そっ、そこまでしてくださるのは何故ですか?」

疑問に思うのも分かる。だから真摯に答える。


「確かに皆さんからしたら、懸念を抱かせます」

ラウに代わり。セラが答えた。

「アレク様は、何れ国を興されます。私達は、国民となる皆さんの生活を守る義務が、生じます」理由は解りますね?と、アカネ、ヒライ兄妹に目を向けた。二人はしっかり頷いてくれた。ざわざわ人々は驚きを隠せない、




そもそも集落の人々は、アレクに助けを求めるとは聞いていた。期待はしていなかったのだろうが、想像以上の支援を申し出され。疑念を抱く前に。理由を説明した。まさか国を興すとは知らなかった。それを聞いて驚いてのことだ。

「今年に入ってですが、ラトワニ神国の国境付近から、妖魔の森を切り開き、アレイクの町まで、街道を繋げました。これにより町には商人が来るようになりました。町の財政も安定しました。今計画してるのは、開拓村まで街道を繋ぎ。何れは東にある町まで、街道を繋ぐ予定です。東のアルファードの町とは既に話が済んでいます。更に国境に作った村から、北西に街道を伸ばして、沢山ある集落のために。開拓村を切り開く予定まで、計画されてます」

おお~……、驚き、感嘆と、喜び。深い懸念。疑惑。様々な感情含むざわめきを聞きながら、二人は━━いや。



アレクの弟子達は、皆信じている。アレク様は不思議な方である。あれだけの力を持っているのに、決して尊大にならず。公平で優しい。時に父のように厳しく、母のように優し人はいなかった。町の人々は、アレクと係わるにつれ、誰しも惹かれていく……。



ただ自分で考え。ただ無心で働く。アレクの姿こそ。人々は感銘を受けた。供に歩き、供に語らい。供に食する。彼は仲間である。また彼の輝く笑みが見たいがため。供に働きたいと、考えてしまう。不思議な魅力があるのだアレクと言う人は……、

「そこで皆さんにも。支援をする代わり。南東にある開拓村までの街道造りを、手伝って頂きたく。また自衛の助けに。我が街から、近隣のモンスター討伐のため自警団を派遣します。その為なるべく詳しい話が聞きたいのですよ」

ただ支援するのではないと聞いて、がっかりする反面。街道造りは、自分たちの生活を豊かにする。それを理解していた。快く快諾していた。過酷な生活の中で、夢を語りまさに実現しようとするアレク達の対応は、瞬く間に人々の心を掴んだセラの手腕。外交、交渉に長けたダン。武勇に優れたラウは、男達をあっという間に纏める指揮官としても優れた才がある。三人が居るだけで、人々は一つにまとまりだし。ヒライ兄妹は、目を丸くした。




━━白ばみ始めた空。永遠の闇を取り込んだセラは、ゆっくり人間の姿を取り戻してゆく。美しい贈呈の本を優しく撫で。語りかけるように囁く。

「レシア……、きっと大丈夫。君を助けて見せるよ」

『セラ……、私のセラ……、ごめんなさい私のために、貴方まで』

そう……、僅かな時間だけ。恋人は言葉をかわし。お互いを求め。抱き締め合うことが出来た。

「三人には感謝しなくちゃね。魔人の武具の力を使い。こうして言葉をかわし。僅かな時間でも一緒に過ごせるのだから……」

「本当に……、ベテルローズもいればいいのに」

見違えるほど美しく成長したレシアは、艶やかに微笑み、恋人の腕を取る。

「兄さんが伝えて来たわ、オーラル王も手を貸してくれるそうよ」

「そうか……、彼はナタクさんの甥にあたる。不思議な縁だよね」

「……ええ。ナタク兄さんには悪いことをしたわ……」

悲しげな眼差し。間もなく夜が明ける。レシアは再び白の書に封じられる。セラは無力な人間の男になる。だが二人は幸せだった。こうして語り。触れることすら出来るのだから……、



エピローグ



数日後……、


アカネがアレイクの町で、住み込みで働く事が決まり。旅立つ日の朝。兄が心配そうな顔をしていた。きっと大丈夫よと気軽に微笑み。出迎えに来てくれた。大男のロノバリエ、すらりとした優男サンレイの二人と供に。町に向かった。



始まりと終わりに向かって……、

この物語は、やがて始まる疑似神との戦い。その裏で蠢く白の女王の策謀。魔神となったアレクの弟子たち。そして恋人を取り戻すため。永遠の闇を取り込んで、魔神となった。恋人達の物語です。また同じ物語か、違う物語で、背徳の魔王でした。

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