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少尉ですが何か?  作者: 背徳の魔王 人と話すうちに性格から行動パターンを読み取り。隠された本性を暴き。時に未来を予言することからリアル魔王と呼ばれ。材料と調味料の分量で味がわかるので、絶対味覚と本人が詐称する一般人
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君の名は……2

聖アレイの弟子の1人。大賢者オール・セラ、恋人であり妻となったレシア。二人には子供がいた。何故魔神となったいまでも。危険を犯してまで西大陸にいるか、そこには理由があった……、

プロローグ




━━西大陸。パルストア帝国。禁断の地域。



中央大陸事件━━。人々の心に。深い傷を付け。また世界中に魔物が溢れる。大事件終息後も━━世界の国々は、魔物の脅威に未だ苦しんでいた。



元は……、豊かな土壌の。広大な農場があった町は、今では、人が近寄りもしない。人々からは……、禁断の地と呼ばれるようになっていた。



それは西大陸に。魔神と呼ばれる。神々に等しい特殊能力を持った。魔物が溢れた為に行った出来事である。魔神とは通常の魔物と違うのは、



人間のように思考し。感情すら兼ね備えた化け物達━━。時に人間を唆し。言葉巧みに惑わし。騙す狡猾さを持っていた。力ある神々すら。苦汁を舐めたと伝説にはある。よって神々は魔神、または悪魔と呼んでいた。



魔神には、大きく分けて6種類いると。魔法学院長、宰相を兼任するゼノンが発表している。


主に。自然系統の能力。地水火風属性を操る魔神。ロギア系。



人間を食い物とし。肉体的には、弱点らしい弱点もなく。限定的ではあるが、無敵の肉体を得られ。さらに魔獣を下僕する。獣人。



人間に化け。視覚的。肉体的変化をする。虚像変化個体(ドッペルゲンガー)



ある種の媒体を与え。支配し同じ意識を共有させる個体を増やす。支配増殖個体(マジュ。ホウシ)


この四種は、数も多く。人間には脅威だが、ある条件下であれば、普通の人間にも倒すこと可能である。



━━━問題は残り二種。


最も数が少なく……。



非常に珍しい存在……。


力ある人間が……、



神になろうとした……結果。




正解には、赤の民が、神の代行者になるとき用いた方法を。人間が用いた場合。ほとんどは失敗し。死に絶えるのだが……、



━━━希に。変化に耐えた者がいた━━。



彼等は、魔神王と呼ばれ。凄まじい力を持った存在である。



もう一種が、死者の王(りっち)と呼ばれるアンデット王である。存在自体が、確認されていないが……、有名所では、吸血鬼が、同列に扱われている。


禁断の地には、四体の強力な魔神王が、それぞれ支配する住まい(ダンジョン)を持ち。一部の人間を支配していた。その為━━魔王軍は、手を出すことも出来ず。膠着状態であると表向きは、そうなっていた。




━━━西大陸。元商国セロン━━━。



世界有数の大商人。ハーレス・ローレイは、日の光により、白銀に見えるプラチナブロンド。美しい髪を背に流し。四十代後半ながら。十代にも。二十代にも。そして六十代にも━━時折見える横顔。不可思議な光を称えた狡猾な瞳で。古くも整然とした。街並みを見下ろして。笑いを堪えるように顔を歪ませる。それはそれは愉しそうに。我慢出来ず笑い。呟く。

「さて、四天はどう動く?。クッククク……、アハハハハハハ……、足掻け。足掻けアレク。憎くっきレシアよ……クッククク」

女の声音で囁くのだ。




現在。行方不明とされている。最後の白の女王シルフィールには━━、ある秘密があった。




━━また世界有数のローレイ商会の家名にも二つの意味が隠されていた。


一つは、人間の女の上半身、魚の下半身を持った人魚の一種で、船乗りを美しい歌声で惑わせ。その美貌で船乗りを誘い。喰らう魔物ローレライから取ったと教えられる。実際白の民は、人魚の姿に変えて、人々に姿を見せることがあったとも言われていた。━━もう1つが、早くに親を亡くした。子供達を養子に迎え。商人として一人前と認められた者に。ローレイの名前が与えられる……。その時教えられるのが……、



巧みな話術を操って。人々を誘い(いざない)。魅力的な商品で、財布の紐を開けさせると言う。伝説に掛けた商人の皮肉だと……、教えられる。だが事実は違う。当主となる者は、代々1人だけと決められていた。



━━そして、ナタク、アレクの最大の過ち━━。


最後の白の民の女王シルフィールが、本当に憎んでいたのは━━、


実の母である。初代女王セルローザ・セロンだったと言う一点。初代白の民の女王セルローザは、海中都市を建設するにあたり。あるシステムを作り上げた。それは女王の血脈を受け継いだ。二人の娘の1人を。システムの管理者にすること……。



━━そして……、選ばれたのがシルフィールだった。妹と言うこともあるが、セルローザが次代の女王に選ばない最大の理由━━。


彼女には、生殖能力が無かった……。自分は母から見捨てられ。欠陥品として扱われた。だからシステムの管理者にしたのだと……。



最初はシルフィールとて……、優しく誰からも愛される。姉が大好きだった。それはフレナードが、シルフィールが寂しくならないよう。毎日会いに来ては、シルフィールの為に様々なお話しをしてくれたから。母と違う姉の慈愛があり。十数年の長き時を我慢することが出来た……、だがそんな姉も成長するに連れ。忙しくなり。寂しい時を過ごす事が増えた。



━━だから寂しさをまぎらわすため。人々の生活を観察するようになった。だが興味は狭い海中都市から。徐々に外界へ━━。地上世界へと向くのに。時間は掛からなかった━━。




白の女王であるセルローザは、古代の民の中でも。有能な科学者として、地上に様々な施設を作り上げていた。海中都市と四大陸にある研究施設である。地上の施設とは、システムネットワークでつながっていた。管理人たるシルフィールには、容易にアクセス可能であり。地上世界を垣間見る事が出来た……。



最初は……、寂しさを紛らわせるのと、半分興味本意で見ていた人間世界、少しずつ……憧れを抱くようになっていた。無論無用な争いはあるが、人間には自由がある。それに比べて自分はどうだ?。まるで奴隷のようではないか……、



少しずつ……、シルフィールは自分のこと。古代の民のこと。姉や母のこと考え始めていた。何故自分だけが、苦しまなくてはならないのか?。何故自分には自由がないのか?。疑問を抱いた。



シルフィールに転機が訪れたのは、それから間もなくのこと。人間が、赤の民に逆らい出してからだ。なんと人間とは貪欲で!、欲望に際限はなく……。また狡猾であったか、だから……。シルフィールは囁くだけで良かった。



人間の王の1人に………、それだけで……、あんなにも憎しみを抱き。大好きな母は、人間に簡単に殺されていた。白の民は嘆き。悲しみ。それ故にシルフィールに依存していた。




━━120年前。アレイクの町。




静寂包む深夜━━。



大きな家屋に。煌々と明かりが部屋中を照らし。ベッドでうめき声を上げる。気の強そうな女の額に。滝のように汗が流れ。頬を伝う。

「ルリナ……」

「あ……な……た」

息も絶え絶えなのに。愛する夫に。心配かけなたくない一心で、気丈に微笑む。

「大丈夫ですわ。アレク様!。これは陣痛と言って、子供が産まれる予兆ですから」

ほんわか日溜まりのような笑みを浮かべるのは、アレクの弟子の1人で、大地の女神アレを信望する。敬虔なアレイ教徒であり。若くして司祭の地位にあるセレナ・シタインは、真の強い女性で、真摯な眼差しを受け。若い夫婦の不安を和らげた。

「セレナ……、多分もう……」

二人はお産の経験が、今回初めてだから不安を抱えていた。先ほどセラの叔母を呼びに。行ってくれている。知り合いに出産経験があるのは、彼女だけで……、セラが気を使ってくれてのこと。

「大丈夫ですよルリナ様。私達がついてますから」

「……ありがとう、セレナ」

二人は信じる神こそ違えど。苦楽を供にした善き友達である。だからこそ優しさが分かり。少しだけ。肩の力が抜けて……。ルリナの眼差しに何時もの強気な光が宿るのを見て、セレナは安堵していた。




━━それから間もなく。

「ルリナ様!、叔母を連れてきました」


声を掛け、入って来たセラは、部屋の中を見て、顔面蒼白になって立ち尽くす。



だって処置室の床一面が、血の海だったからだ━━。



何とかセレナが処置を済ませ。一息着いた所に。二人が顔を出した。

「セレナさんこれは?。」

先に我に戻ったのは叔母である。

「ラブルさん……、ついさっき破水したんですが……」

かいつまんで話を聞いた後。顔色を変えた叔母は、

「それで子供とルリナ様は?」

「二人とも無事でした、ただ血を沢山失ったので、しばらく安静が必要です……」

ルリナは元々身体が弱い所があった。子供を育てるのは難しいのでは、セレナはそう考えたのだ。

「あっあの~セレナさん。私達なら……、何とかなると思います」

迷いつつそう声を掛けて来たのは、半年前から新しい住民となった。北東の集落の出身のアカネで、セラを師と仰いでいた。



今はセレナと、孤児院に住んでいた。そこで急を知り。手伝いを申し出て、アレク邸に来ていたのだ。

「……それは、どういった方法ですか?」

「あっはい……、その……針治療って知ってますか?」

おずおずセラを伺いながら。説明した。

「私達はオーマ一族には、産後のひだちが悪い時に。薬草と合わせて。体の回復を。促す技が、沢山伝えられいているのですが……」

セラも思い出していた。アカネの兄ヒライが、アカネの様子を見に来た日に。語った話がある。彼等オーマ一族の秘密を━━。




オーマ一族は、南大陸で、数年前まで……。今は失われた小国に支えていた。



オーマ一族は、薬草や独自の体術。短刃。針をもちいた暗殺術を得意としていたが、近隣の国との戦争に負け、国を失った。そこでオーマ一族は、二つに別れたと言う、南大陸に残り。滅ぼした相手国で、密偵をしていると告白した。



だが残り半分。ヒライ達オーマ一族は、暗殺ではなくその技を医薬に用いる。針治療を用いる者が多く。殺伐とした生き方に疑問を抱き。海を渡り。未開の東大陸に渡ってきたと言う。以前ラウが訓練中筋を痛めた事があって、その場に居合わせたアカネが、針治療を施したことがあって……、驚くべき効果があったとセレナから聞いていた。

「それは……」

一瞬迷いを見せたセレナ。癒しの奇跡では、傷は直せても。失った物の再生は、不可能で、今回のように突破で沢山の血を失ったいまは、ひたすらルリナ様の無事を。神に祈るしかない所だ。

「セレナさん。針治療は知りませんが、私達の生まれ村に。薬草を乾燥させた物を使った治療がありました。あながち馬鹿にできないんですよ~。アレク様には、セラ貴方が伝えなさい。私はアカネさんの手伝いをします。よろしいですね?」この場で、最年長であるラブルに言われて。渋々了承した。

「セラしっかりなさい!」

惚けていたセラは、いきなり叔母にビンタされ。目の前に星が飛ぶほどの痛みに。我に返った。

「わっ、わかった」



入れ替わるようにレシアが入って来て、顔は青ざめていたが、しっかりしていた。

「お義姉さんの着替え済ませました。セラ……慌ててましたが、どうかしたんですか?」

義姉の事で、不安なようだったが、

「大丈夫よ」とラブルが声を掛けると、安堵し無理にだが笑みを浮かべていた。




━━朝早くラウに頼み。オーマ一族の集落に急いで、馬を走らせてもらったアカネは。その間手持ちの治療針を使って、ルリナの身体半身に。回復を促すツボに。次々針を刺していく。そんな様子を見ていたレシア、セレナの二人は、痛そうな顔をして、青ざめさせては、腕をさする。

「痛く。無いのかな?」

不用意にレシアが呟いた瞬間。腕をアカネに捕まれ。サクサク針を刺され。悲鳴を飲み込み、目を瞑って震えていたが、

「あれ……、思ったほど痛くない……」

ビックリした目を。しばたいていると。ニンマリ意地悪そうに笑うアカネは、

「髪の毛と同じ太さまでなら、刺さっても痛みは少ないんですよ」

と説明した。なるほどと思ってると。急に針を刺してる半身が、ぽかぽか温かくなってきた。

「半身だけ。ぽかぽか温かくなってきたでしょ?」素直にうんうん頷くレシアと。興味深くレシアのうでに刺さる針を見ていたセレナが、アカネの方に顔を向けた。

「私達オーマ一族には、代々血脈と点穴と呼ばれる。人体思想があります」

「???」

戸惑いを浮かべ目をパチクリした。二人とも癒しの魔法の使い手である。訝しげに顔を見合わせていた。

「オーマ一の者は、魔法は知りませんが……、点穴を突いて。様々な症状に応じた痛みを和らげたり。抑えたり。出血を止めたりする技術があります」

「それで……」

セレナが思い出したのが、お産が始まり。子が産まれた瞬間、ルリナの子宮が傷付いていたか……、出血が始まって、危険な状態だった。それを救ったのがアカネで。処置が間に合った。

「あの時。血を止めたのは……」

「はい、点穴を突いて。一時的に、血の流れを遮断したんですよ」

気楽に答えたが、内容は秀逸だ。それが事実ならば……、

「それでラウ様にお願いしたことは、何だったんですか?」

俄然興味を抱いた。さっきアカネは治療に必要な針は足りると、言っていた。ならばラウが集落に向かった理由が解らない。

「治療には、外側だけではダメなんです!」

真摯に答え。意味ありげに微笑んだ。




━━その頃アレクはと言うと……、屋敷にいるとルリナが安心して休めないからと。ラブルに言われ連れ出されていた。セラとアレクを荷物持ちにする。叔母の行動に呆れながらも。二人は仕方なく付き合う。そんなこと住人に関係ないから、絶えず。アレイクの町の住民から。挨拶を受ける。



アレクは一応笑顔で答える一方で━━、心中穏やかで無いのが、セラにはわかっていた……。ルリナ様を心配していたのも。叔母が何故アレク様を連れ出したか、意図は理解していた。だから大人しく付いて来たのだが……、そんなことラブルにもわかっていた。だから二人に知って欲しかった事がある。

「アレク様」

にっこり優しく笑い。強く労る母親の眼差しをして。

「貴方には、とても感謝してるんですよ」

薬湯に使えるからと、輸入されたばかりの柑橘類を選んでいた。そんな様子を上の空で見ていたアレクだったが、意表を突くような。あまりに突然のお礼に。ただ戸惑うばかりで……、

「セラばかりか、私達にまで居場所と、仕事をくださいました」

柔らかく微笑むラブルの真摯な眼差しに。アレクは戸惑い。赤くなっていた。

「だからと言うわけでわありませんが……、皆様を信じてくださいアレク様」

ようやく気が付いた……、セラが大人しく叔母の買い物に付き合う理由に。

「……ラブルさん。そうでしたね。気を使わせすみません。それとありがとうございます(セラ、ありがとう)」

傍らのセラにも目をやると。耳が赤くなっていて、素知らぬ風を装うが、横顔を見れば分かる。



━━今思い出せば……、アレクは屋敷にひきこもりぱなしで。妻を心配するばかりで、ろくに食事もせず。ただ部屋の中をうろうろしてるだけだった。買い物は口実で、アレクを外に連れ出して。気晴らしさせるためだったのだと……。

「アレク様。知ってますか、女の幸せが何か?」

悪戯ぽく微笑むラブルに、素直に首を振ると。駄目ですよと言われるように。片目を瞑り。

「大切な人の笑顔です♪」

きっぱり言われた瞬間。衝撃に。胸が突かれた気持ちになっていた……。「自分は……。」

ルリナに笑ってあげれただろうか?。我が子を抱いて、笑ってあげれただろうか?。ただルリナが心配で……、



アレクは、目が醒めた思いであった……、傍らのアレクを気遣うセラ。周りを見渡せば、アレクを慕う住民の心配そうな眼差しに。全く気が付いていなかったのかと……、気恥ずかしく。自分の不甲斐なさを恥じた。




アレクは、いつの間にか、自分1人が、ルリナを心配してると勝手に思い込み。殻にとじ込もってたこと理解して、それは違うと気が付いて……、人々1人、1人と目を合わせ。心配そうな眼差しに心から感謝した。すると強張っていた心がほぐれ。自然に笑っていた。




アレクの表情から。ラブルは安堵した。少しはあの日……。



あの時……、



恩返しが出来たかな?。ほっこり思う叔母に。セラは心から感謝していた。



晩年━━、



聖アレイは、どんな状況であろうと。慈愛の笑みで、人々を救い。神のごとく。人々から尊敬を集めたと言われている。



またアレクの最初の子が、建国王バレンシアであるとも。初代国王クラウベリアとも伝えられていた。



オール・セラ、レシアが結婚したのは、その年の終わり。翌年女の子を産んだとも言われてるが、死産だったとも言われていた。



━━数日後。

ラウが老婆を連れてアレイクの街に戻った。老婆はオーマ一族秘伝の丸薬を作れる。数少ない薬医師と呼ばれる者で、丸薬には動物の生きた肝を使わなければならなく。数日を有した。ルリナは用意された丸薬を飲み。アカネの針治療を受け。みるみる回復して……。アレクはアカネに強く感謝した。




後年━━。


妻レシアを助けたオーマ一族に、アレクは様々な恩恵をもたらせ。心に深い傷を受けていた彼らの心を開き。長となったヒライは晩年。建国王を守れなかった自念から。一族を上げて、初代国王クラウベリアを。さらにはその一族を守るため。黒衣の一族を作り出す。




アカネは翌年。セラの正式な弟子となり。学園の先生となった。またオーマに受け継がれていた。薬学を学生に教え。アレイク王国の医師を育てる機関。『院』の基礎を作ったと。アレイク王国の歴史書に記載されている。それからオーマ一族の名は、歴史上から消えたが、アカネ・オーマの子供達は、現在のアレイク王国、7人いる宮廷魔導師。末席にカナイ・オーマと言う少年が座っている。王宮医師という変わった地位にあり。アカネの子孫は、代々宮廷魔導師の地位を与えられていた。



それはアレク、バレンシア王が相継いで、謎の失踪をして、失意にあったルリナ様を献身的に支えた。アカネに初代国王クラウベリアが、深く感謝したからと言われていた。



━━屋敷中に響くような。元気な赤子が泣く声に。セラは頬を弛ませ。幸せを噛み締めていた。

レシアがまたバレンシアの世話に。あたふたしてるのかと思い。その光景がありありと脳裏に描ける。間もなくだろう……、

「セッ、セラ!、お願い手伝って」

ほらねクスクス笑みを深めていた。

「今行くよレシア!」今セラは、アレイクの街に新しい学園を作るため。南の荒れ地に学校を建てさせていた。



いずれ我が子や。愛する人々を守るため。あの兵器を。今の内に完成させなければならない。この目の力を解放したとしても。それは成さなければならない事業である。

「セラ!。早く早く」

悲鳴に似た切羽詰まった声音に。苦笑しながら。


━━セラは、アレクとナタクから譲り受けた。赤と白の書を閉じて、急ぎ。我が子の相手に奮闘する。愛する妻の元に急いだ。



それから2年後……、ラトワニア神国王の後ろ楯もあり。正式にアレイク王国が建国した。アレクは初代国王になるよう求められたが、妹夫婦の長女バレンシアを。建国王に定めた。



幸せ絶頂であるアレク兄妹を。奈落の底に落とした者がいた。バレンシアが建国王に定められた2日後━━。失踪する。



何者かに拐われたのだ。アレクは直ちに。捜索させたが、ようとして犯人がわからず。焦りだけが募り。憔悴する妹と。支えるセラの辛そうな顔を見るのが耐えられない。「何故だ……、ベテルローズ。ブルワーズ……、スタンレイ。ロノバリエ……」

信頼していた四人の弟子達が、バレンシア誘拐事件の後から。姿を隠した。アレイ学園で、厳守に隠されていた赤と白の書まで、盗まれていた。

「何故……、あんな危険な書まで……」

まるで四人の考えも。気持ちすら分からない。



何故こんなことをしたのか……、




エピローグ




━━二年前━━。




ある晴れた日。


春の日差しの中。


晴れやかな笑顔。


人々の祝福を受け、幸せそうに笑う男。オール・セラを。悲しみを称え。妖艶な美しさを醸し出す少女。ベテルローズが見ていた。

「セラ兄さん……、レシア姉さん……」

複雑な気持ちを吐露するように。愛しく思えば思うほど……。自分の手に入らない現実に。沸々とどす黒い気持ちを抱いていた。



同じような目を。レシアに向けるロノバリエ。自分が蔑ろにされてると憤りを抱くブルワーズ。自分こそアレク様の側近に。相応しいと考えていたスタンレイの四人は、あの人の言葉を思い出していた……。

『きっとお前達の力を知れば、みんなお前達を大切にしようぞ』

囁くような慈愛すら浮かべる顔立ちは、レシアに似ていた。眼差しはアレクに。敬愛するアレク様に言われてるような……。彼女と何度も話す内に……。四人は彼女の言う通りだと。思い始める。



そして……、四人の心に欲望と言う。今まで抱いては行けないと考えていた感情を。解き放った。


ベテルローズは、レシアからセラを奪って、添い遂げる夢の為に。



ロノバリエは、大好きなレシア様に。認めて貰うために。



ブルワーズは自分を……、アレク様に、みんなから認めてもらう為に……。


スタンレイは、自分こそアレク様の側近に相応しいと考えた……。


四人はそれが、とても正しい考えだと、信じて……、疑わなかった。あの人の言う通りにすれば、みんなが幸せになると思わされた……、それがただの妄想の世界の夢物語だと。これっぽっちも考えず。遂に……、事を起こした。




赤と白の書を盗み。バレンシアを誘拐したのだ。全ては、白の民の女王シルフィールに。唆されていたとも四人は……、最早考えれず。




━━囁かれるまま。赤の書を紐解き、魔神王として、凄まじい力を得た。『これで……セラ兄さんに。認めて貰える』

『レシア様に……』

『みんなから……』

『アレク様から……認めて貰える!』


全ては、1人の少女が、母を恨み。姉を妬み。姪と甥を嫉んだ。そんな他愛ない始まりが、人間に母を殺させ。古代の民を分裂させ。神々をも騙す。物語であった━━。




「バレンシア……。今はシレーヌか、君は幸せかい?」

魔王ピアンザの妻シレーヌ王妃を。遠目に見た瞬間。理解した。あれは我が娘だと……、太陽の日を浴びて、再びレシアが白の書に戻った。

『セラ……、バレンシアは幸せよ』

「そうだな……」

愛する妻に。再び触れ合うには、時間がある。空を見上げたセラは、愛する妻だけは、元の姿に戻すと……、静かに誓う。

始まりはギル・エバーソン。後に妻となるリジルを助けた事だった。海中都市で管理者にされた。1人の少女シレーヌを助ける為にだった。だが……、数奇な運命は、既に始まっていた。それを知るのは……、また同じ物語か、シンクのドキドキ冬休みで、背徳の魔王でした。

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