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5話「時給800円」
次の日、始発の船に乗って島に戻り、その足で仕事を探し始めた。
心境の変化は歪めない。なんだか笑っていたら馬鹿らしくなってきたし、案外どうにかなるんじゃないかとも思う。下を見て安心する底辺像である。
これは保険だ。仮に異世界転生がなかった場合、悲惨極まりない事態に陥ってしまう。
程なくしてアテが見つかった。小学校の水泳部のコーチ業だった。
腰の事情を説明し、それでも大丈夫と判子を押され、プールの解禁日や書類の都合で、来週からはトレーナー業の始まりだ。
一人ずば抜けて才能のある小学生がいるらしく、既に県大会まで進出しているとのこと。こんな環境でこれだけの結果を出せる才能を潰すのはもったいないと。
「……時給800円か」
最低賃金並、長く続ける仕事でないことは確かである。
しばらくの間――どう変わるのか、目処はあるのか。
ぶれぶれの自分に、仕方ないと納得させ、先のことは深く考えないよう努める。
呆れながらも、そうする他ないのだと。




