王宮の部屋にて
本日四話目。
王との謁見が終わり、空たちは王にあてがわれた部屋に向かうことになった。
王宮に仕えていると思われるメイドたちが空たち一人一人をそれぞれの部屋へ案内してくれるようだ。
クラスメートの中には落ち込んだ様子の者や逆に目を輝かせている者もいるが、幸い騒ぎ出す者はいなかった。
空は、その様子を観察しながら自分の案内してくれる人を待っていると、一人のメイドがこちらに近付いてきた。
「私が、勇者様を案内させていただくフレーゼと申します。」
そう言って彼女は思わず見惚れるようなお辞儀をした。
肩くらいまで伸びた綺麗な白髪、無表情だがモデル顔負けの抜群に整った顔、すらりと伸びた手足、肌は日に当たったことがないかのように真っ白で彼女の白髪と相まってその空間だけ白で塗りつぶされたようであった。体型はスレンダーで抵抗が少なそうであった。
「今、失礼なことを考えませんでしたか?」
「い、いえ、そんなこと考えていません!」
「そうですか。では、ご案内しますので付いてきてください。」
「はい、おねがいします。」
そう言って二人は歩き出した。その様子を見て頬を膨らませていた少女がいたとかいなかったとか。
しばらく、王宮の廊下を歩いていて空は気付いた。
(この人、足音が聞こえない。)
一見、周りのメイドたちと同じように歩いているのだが彼女は全くと言っていいほど足音が聞こえないのだ。
(もしかして、この人普通のメイドじゃないんじゃないか?)
そんなことを考えながら、二人は無言で廊下を歩いていた。
しばらくすると、とある扉の前で彼女は立ち止まった。
「ここが勇者様にあてがわれた部屋となっています。こちらの魔道具のボタンを押していただければ近くのメイドが参りますので御用を申し付け下さい。」
「まどうぐ?がよく分からないけど分かりました。ここまで、案内ありがとうございます。」
「いえ、仕事ですので、それと私たち使用人に敬語は必要ありません。」
「そうは言っても癖みたいなものですから、しかし努力してみます。」
「では、失礼いたします。」
そう言って再び綺麗なお辞儀をして彼女は去っていった。
彼女の後ろ姿を見送って、扉を開け部屋に入ると明らかに一人用とは思えないような広さの部屋となっていた。
部屋を見渡していると、部屋のテーブルの上にあった一冊の本が目に入った。
(なになに、『サルでも分かる魔道具解説』!?)
それは先ほど空が疑問に思った魔道具についての本であった。
(僕、さっき彼女の後ろ姿を見送ったよね!?)
そう、先ほど彼女が去っていくのを見送ったはずなのだ。
(絶対、あの人普通のメイドじゃない!!)
空はそう断定した。
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