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釈迦の掌~クラス転移で才能開花~  作者: にゃほにゃほ
才能開花の下準備~異世界転移編~
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玉座の間にて

本日、三話目。


 金髪ドリルのシルフィアの後ろ姿を眺めながら、空たちは薄暗い階段を登っていた。

 しばらく進むと、明るく煌(きら)びやかな廊下のような場所へと着いた。どうやら空たちは地下に召喚されていたようだ。

 それなりの広さの廊下には、メイドや執事らしき人が勢ぞろいでお辞儀をしていた。

 そこで、ふと空はどこからか視線を感じた。



(誰かに見られている?)



 空は、辺りを見渡すがメイドや執事はお辞儀しているため、こちらに視線を向けていない。空は首をかしげつつ、先を進むシルフィアの背中をクラスメートたちと追った。



(ふふふ、私の視線に気付く方がいらっしゃるのですね。)



 そのような呟きが、空たちのいなくなった廊下に吹くはずのない風と共に小さく響いた。


 廊下に飾られた絵画や壺を眺めながら廊下を進んでいくと、ふとシルフィアがこれでもかと金細工のされた大きな扉の前で立ち止まった。


「勇者様方、ここが王のいる玉座の間となっております。先ほど申し上げた通りにしていただければ王は寛容な方ですから言葉使いなどもよほど失礼でなければ大丈夫です。」


 そう言ってシルフィアは扉に向かって先ほどより少し大きな声を出した。



「勇者様方をお連れしました!」



 そう言うと目の前の大きな扉が徐々に開いていった。

 扉の先には赤い絨毯(じゅうたん)が玉座らしき豪華な椅子の前まで続いており、その両脇には中世ヨーロッパの貴族服らしきものを着た人達が空たちに品定めをするような視線を向けていた。

 玉座には、ぱっと見40代半ばくらいの堀の深いナイスミドルという感じの男が座っている。



(なんとなくシルフィアさんに似ているな。)



 空はそう思いながら、クラスメート達とともに玉座の間の中心辺りで足を止め、シルフィアに言われたように片膝をつき頭を下に向けた。



「勇者たちよ、頭を上げてくれ。我が名はグラッド・フォン・セルキアである。此度(こたび)の召喚、誠に申し訳ない。」



 そう言って、王は頭を下げた。

 周りの貴族らしき人達はざわざわと騒ぎ出した。



「殿下、頭を下げるのはおやめください。王がそのように簡単に頭を下げては...」


「いや、我たちの不手際でこのように勇者たちを召喚してしまったのだ。本来、我たちだけで為すべきことを勇者たちに協力してもらわなくてはいけないのだ。謝罪しなくては申し訳が立たない。」


「失礼、殿下の懐の深さには感激しました。勇者様方も申し訳ない。」



 貴族らしき人の一人は頭を下げて、元に戻った。

 そのやり取りを空は冷めた目で見ていた。



(このように謝罪すれば僕たちへの印象が良くなると踏んでのやり取りだろうな。)



 そのように解釈し空は王に目線を戻した。

 その時、王が一瞬だけ申し訳なさそうな顔をしたのに逃さなかった。



(さっきの茶番はこの人じゃなくて周りの臣下たちの小細工か。)



 そう考えて、再び王の言葉に耳を傾けた。



「我が王国は現在、隣国のセンクリッド帝国と戦をしている。しかし、戦況があまり良くない。このままでは我が王国の民は奴隷となり、虐げられることになってしまう。どうか力を貸しては貰えないだろうか?」



 そこで先生は生徒たちの代表として答えた。



「私はこの子たちの担任教師の天川輝美(あまかわてるみ)と申します。失礼ながら、私たちは戦のない平和な国からここに召喚されました。戦う力もない私たちで戦況を覆せるとは思わないのですが...」


「それはおそらく大丈夫である。あちらの世界からこちらの世界に来るときに皆(みな)それぞれ加護を持って召喚される故(ゆえ)に。」


「私たちは元の世界に帰ることはできるのでしょうか?」


「それは...申し訳ないが我が王国には送還の方法は伝わっていないのだ。本当に申し訳ない。戦が終わり次第、我が王国の総力を挙げて其方(そなた)たちを送還する方法を探す!」


「そんな!?もし、この国が負けたらこの子たちは...分かりました!私がその戦に参加するのでこの子たちは安全な場所へ避難させることはできませんか?」


「しかし...分かった!我が名に懸けてアマカワ殿とのその約束を果たそう!」


「ありがとうございます!」



 その会話がなされた直後、先ほど王との茶番を繰り広げていた貴族らしき男が声を張り上げた。



「なりません、殿下!現在は我が王国の存亡にかかわる危機ですよ!?勇者様方には協力していただかなければ...」


「貴殿の言い分は分かるが、本来これはこの世界に住む我らの問題なのだ!こちらの世界に関係のない勇者たちに命まで懸けてもらって、我らの責を押し付けるわけにはいかないだろう!」


「ですが...」


「くどい!!」


「うっ...分かりました。」



 その時の王は王者の雰囲気をまとった圧倒的な剣幕(けんまく)で、他の者に有無を言わせぬ態度であった。



「話はまとまったため、これにて勇者たちとの謁見を終わりとする。改めて、アマカワ殿我が王国への協力感謝する。勇者たちには個別の部屋をこの王宮に用意してあるためそこで疲れを癒してくれ。」



 そう言って、王は玉座の間から退席した。





 

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