8,鑑定
翌朝は最悪の朝だった。
快適な寝覚めをした俺は、起きてそうそう起き上がろうと地面に手を付けると、謎の液体が付いた。匂いを嗅ぐと刺激的なにおいがした。
酔って隣で眠っていた人がもらしていたのを触って起きてしまったのだ。
はぁ。とため息が出る。
幸い荷物にはしみ込んでいないため、そのまま荷物を持ってさっさと立ち去ることにした。
まだ朝の6時頃だろうか。
風が心地よくて、寝起きの俺をまた眠りに誘ってくる。
だが歩いて来るうちに太陽の光を浴びて、シャキッとし始めた体は、まず街中の散歩を始めた。いつもはギルドの前を通るのだが、きょうは目的地がギルドなのであえて遠回りをする。
道中子供にあっかんべーとされたが、そんなことなど気にもせず歩いていた。
いつも通っているルートを反対から回ると奇妙であったが、同時に新鮮でもあった。
不思議なものだ、いつもの道なのにな。
そしてギルドにつき、さっそく受付の列に並んだ。
ギルド内は人が多く、冒険者の巣窟となっている。
酒場もあるし依頼もあるし、それに出会いだってある。
冒険者にとっては何でもそろっている雑貨屋みたいなところであった。
いや、少し違うかもしれないが。
初めて入った時の印象は、かなり薄気味悪いところで、壁にいくつも吊るしてある強い光を放つ蝋燭と、天井に吊るしている大きなワイバーンの骨が、その怖さを演出しているようであった。実際それは今も変わっていないが慣れたものだ。
カウンター列は横並びにずらっとならんでいて、俺はそれの左から2番目に並んでいる。
目の前で受付が後退し、少し列が止まった。
暇なので上のワイバーンの骨を下から見たり、周りの冒険者の観察をしていたりした。
すると、あいつらを見つけた。
生命の息吹だ。すでに新メンバーを入れているらしい。
それが、これまたなんとも美人で豊満な胸をした、曲線の美をも感じる体系の女性がいて、3人の後ろをついて回っていた。
先頭からナリタ、マイラ、マイチ、新メンバーの順。少しだけマイラがやせ細っているように見えた。
俺のことは目にも入らずに、他のカウンターへと素直に並んだ。
ただし足をトントンとしながら。
もちろんあいつは、受付の中で一番の美人を選んだ。
昔はあんな女性に興味がなかったのに、なんであんなに興味を持ってしまったのだろうか。不思議であった。
「お客様?」
「あっ!すみません!」
すでに列は前の方に進んでおり、俺の前に大きな空間ができていた。
慌てて早歩きで受付の目の前まで行く。そこにはまだ幼いであろう少女がいた。耳が長いので、おそらく長命のエルフである。これでも人間でいえばであろう。
「どこが具合でも悪いのですか?」
「いや、少し考え事を……あはは。すみません、」
「次から気を付けてくださいね。ところで、ご用件は?」
俺はその受付嬢に、カードを見せて再鑑定をしてもらう手続きをした。
といっても、簡単に名前を書いて順番待ちをするだけだ。
朝はギルドも人数が少ないので助かるなぁ。と少しうれしく思った。
おかげて手続きも早く済んで、すぐにギルドカードは返された。
「はい、ではこれをもってそちらの部屋へとすすんで、椅子に座って待っていてください。」
俺は軽い返事をして、その指した方向へと向かっていった。
途中、生命の息吹と目を合わせることはなかった。少しちらりと見たが、とくに変わってはいなかった。




