6,思い出の地
おっちゃんは「ついてこい」と言って俺の先導をした。
俺はそれについて行き、道中いろいろと話をした。
今でしか言えないメンバーの愚痴、過去に会った戦績など、色々静かな間を作らないための話をとにかく振っては、楽しんだ。
おっちゃんはどんな話も優しく頷いて聞いてくれるので、いろいろと話しやすいのだ。
ただ反論も正論も欲しいわけではなく、共感が欲しい。そんな欲求を満たしてくれた。
それに、話したおかげか、俺の心も浄化されていくように感じた。
だがついて行くにつれて、国を出て森の中にまで行くようになってきた。
俺は勘が働き怪しいと思い、おっちゃんに聞いてみる。
「あれ、森の中に?」
「そうだ。そろそろお前もわかってくる頃じゃないか?」
「えっ、まったく見覚えないな……」
俺はその景色を見たが、辺り一面は森ばかりで、どこが特別な場所なのか見当もつかなかった。振り返り門を見ても同じだ。
おっちゃんは顔だけ俺の方を振り向いては、ふん、と鼻を使って笑った。
「じきにわかるさ。」
そう笑っていった。
それでも戸惑っている俺を見て、がっはっは!と大きな声で豪快に笑った。
後ろを振り返り、国に入るための境界門を視野全体に映す。かなり大きい境界門なため、首をかなり上げないといけなかった。
すると、それがまるで天才の画家が描いた絵のように、綺麗に輝いていることに気が付いた。
そしてそれは、俺の記憶をまさぐり、とある思い出を掘り起こした。
たしかにパーティーを結成して間もない頃、この景色を見てデジャヴを覚えたのだ。
太陽は真上に上がっていて、その光を反射するほど白く、まだ出来たばっかりのきれいな城壁に、大きな鉄製の門。そしてそれを動かす何人かの兵士と護衛の騎士、それに横には、まだ子供なみんなの姿。現生命の息吹のメンバーだ。
俺は一瞬その光景が見えた。
今、つながった予感がした。
それに連鎖して、おっちゃんがどこに行くかも大体察しがついた。
たぶん、どころではない。
確実に、そこしか心当たりがなかったのだ。
「ま、まさか!」
「お、わかったか?」
「あぁ、なんで今まで思い出せなかったんだろう。」
ニカッと笑うおっちゃんの目を見て、俺は自分が哀れに思った。今まで大切にしていた思い出を忘れてしまっていたのだ。
しかしおっちゃんは何も表情変化をしなかった。
「そりゃもう20年以上前のことだぞ?覚えてなくてもしかたない」
「そっか、もう20年か……」
はっきりと20年前ということではなかったが、まだ35歳くらいだったころの事、まだ他のパーティーメンバーが学生だった頃におっさん要員として俺が入ったっけ。
経験豊富の35歳以上のおじさんを募集する!という張り紙を見たことも、思い出した。
その時は……と思い出しそうになったが、それは思い出すとつらくなりそうだ。
やめておこう。
頭痛がしてきた。
大きな獣道を通っていくと、ふと急に曲がり森の中へと入っていった。
やはり、あそこだ。
大きな岩にちょっとした川などいろいろな障害物を乗り越えて、森の中をしばらく歩いたのちに通り抜けた先には、とてもまぶしい太陽が照らしていた。
森の中の暗さと相まって、出てきたときの衝撃はものすごいものであった。
目の前は崖であり、前に行き過ぎてしまうと落ちてしまうぞ、という警告を受けた。俺はそのことも気にせず崖のふちに立ち、太陽を体中に浴びた。
「すごいな!」
あの頃を思い出して、まるで子供のようにはしゃいでしまった。
「だろう?ここでパーティー結成したんだよな。お前ら草が好きだから生命は入れようぜなんてつけちゃって、がはは!」
そう、あれは、パーティー結成時のことだ。




