止止美
止止美(止まれ、止まれ、世界よ止まれ、猫よお前は美しい)
規模2 あまり広くはない
簒奪3 心身共に奪う
特殊4 死を否定し、死を交換する
マスター 浜石田羽天
猫を溺愛する彼女は、飼い猫が死亡した際、その事実を受け入れることができず、復活を目論んだ。
通常、人間の死者蘇生は不可能だ。
それは、猫であっても変わることはない。
だが、その肉体を保持し、別の生命と意識を入れ込むことは可能だった。
身体的、生命力的な差から行うことができたが、その代償は重い。
猫の内に入れられた人間は、最初の内こそ混乱するが、徐々に慣れる。
それでも、猫の体は死に向かい続ける。抗うために、人間の心と身体からエネルギーを搾り取る。
人としての精神は忘却を続け、人間の肉体は恐ろしい速度でエネルギーを枯渇させる。
つまるところこれは、猫を生き永らえさせるため、人間を消費するクラストである。
消費され尽くした後、マスターは次の新しい「資源」を求める。終わればまた次を。
その度に中身は変わるが、浜石田羽天がそれを気にすることはない。
彼女は猫を愛しているのだから。
自殺まがいの手段でこのクラストから脱出したあなたは、記憶と肉体を取り戻した。
だが、クラストマスターは、まだクラストの中にいる。
時間が経過しない密室の中に。
猫を生き永らえさせるためには、人間がいる。
アルコールという毒を飲んだ以上、すぐにでもエネルギーを補給しなければならない。だが、他の人間を攫うだけの時間的猶予はない。
クラスト内には現在、人間は一人しかいない。
猫を求め続けた彼女自身が猫となった際、何を感じ、何を思ったのか、それは誰にも分からない。
だが少なくともそれは、クリア条件にはならなかった。
閉じられた密室で、空っぽとなった人間が、その猫を撫で続ける。




