走走去
走走去(走り走らせ続けよう、すべての想い出が過去になるまで)
規模4 一般的なものよりは大きい
自動3 マスターの意思から半ば離れている
特殊3 記憶に干渉しているが、それ以上のものではない
マスター 総山トオル
乗客の記憶を車窓に映し出す。これは、ただそれだけのクラストである。
その切符は定期的に一定数が生成されるが、クラストマスター本人がこれを人に渡すことはない。
父親である総山文昭が利用し、人々を招待した。
総山トオルは、クラストに関連した心的外傷後ストレス症、いわゆるPTSDの状態にあった。
自発的な行動を取ることができず、日々を過ごした。
ただ移り変わる穏やかな風景を欲した。
このクラストは、もともとはそのためのものだった。
だが、限られた情報では車窓の風景は代わり映えせず、父親の見知ったそれにも限界があった。
だから総山文昭は他の人間に切符を渡し、密会場として使用した。
秘密が漏れることのない、安全な場所であると謳い、販売した。
しばらくの間、上手く回った。
だが、総山トオルはただ車窓を見るだけであり、状況が変わることは無かった。
反応を示したのは、現実離れしたものを見たときだった。
それはかつて見たクラストよりも、さらにおぞましく、さらに理解できないものだった。
容赦ないそれらは――過去のトラウマを強く想起させた。
そうして、総山トオル自身が見たクラストの映像を、ようやく車窓に映し出すことができた。
それは、あなたが持つ多くのクラストについての記憶、文坂波等羽の多くの派生人格と共に消失した。
過去のトラウマを忘却した総山トオルは現在、回復に向かいつつある。




