下下終
下下終(下り下り切ったその先に、望む終わりが待ち構える)
規模4 ループ構造
欺瞞3 多くの嘘で構成されている
特殊3 大敗によって望みを叶える
マスター 荒引真
いつの頃からか、死に取り憑かれた者がいた。
終わることを心の底からの望んでいた。
だが同時に怖がってもいた。
どのような手段や方法であれ、土壇場で引き返してしまうほどに。
だから、他人の手で達成してもらうことにした。
このクラストは、そのために存在する。
降りる階段の差が大きければ大きいほど、ペナルティもまた大きくなる。
二周も差がつけば、確実な死を迎えられる。
魔力が尽きた後に消耗するのは、脂肪ではなく生命力そのものだ。
つまるところこのクラストは、荒引真が自殺するための装置である。
ダイエットのためという言葉は、聡い参加者を騙すための方便でしかない。
本来の脱出経路は、一段だけある僅かな差を見抜き、そこに隠された扉を見つけることだった。
このマスターは、そこから途中参加を果たした。
引き返して調べられぬよう、わざと音を立てて参加者を追跡し、より遠くへ行かせる。
その走り去る距離は、そのままクラストマスターの命を削り取る度合いとなる。
脅かしすぎず、しかし、全力で逃げてもらう必要があった。
必死で遠ざかる参加者の様子を認識した荒引真は、そこから一歩も動けなくなった。
積極的に差をつけるためには、自身は階段を登るべきだった。
足音により、参加者の接近を事前に察知することはできた。
だが、たった一段上がるだけでも、怖くて怖くて仕方がなかった。
そこで踏み出せなかったからこそ、他者の力を頼ったのだ。
ただ蹲り、参加者が望みを果たしてくれることを待ち続けた。
誰よりも荒引真自身が背後からの足音を恐れ、同時に望んだ。
あなたは、この「手伝い」を断った。
フード奥に垣間見えた絶望と安心と恨みを混ぜた表情に、事態を悟った。
心底面倒だと嘆きながら、このクラストマスターが誰かを突き止めることもした。
数々の相談の結果、中学生である荒引真は、一時的にではあるが希死念慮から遠ざかった。
ただ、この先どうなるかまでは分からない。




