神の試練
暴走グレマーズが街を破壊し、同時にノワールが召喚したモンスター達も戦い、もはや状況的に混沌状態であった。この状況を見た人々も何が起こっているのか分からなく、ただ逃げるだけだった。
葉月「これはモンスター同士の争いにしか見えないな」
ノワール「実際にそうだろ」
葉月「とはいえ、あのモンスターは何だ?前に会った奴らとは違うのか?」
ノワール「いや、同じさ。ただ強いて言うなら、これは僕が作ったオリジナルモンスターだ」
葉月「作ったっ!?オリジナルモンスターだとっ!?」
ノワール「これスケッチ帳。これを見れば大体分かってくる」
ノワールはスケッチ帳を取り出して、葉月に見せた。開くと、確かに絵と同じモンスターが現実にいる。とはいえ、これだけ見せられてもまだ理解出来ない。他にもたくさん描いてあるが、どれもかしこも見た事がなく、現実にはあり得ないモンスターばかり描かれていた。
長月「へぇ〜、中々面白い絵を描いてるわねー」
ノワール「お前には分かるのかっ!?この絵の良さがっ!!」
長月「うんうん、こんな事って初めてだから。それに私はその人の個性を馬鹿にしないわ」
ノワール「お前は分かる奴だな。お前も面白いな」
葉月「何故私はセンスがない奴認定されてる・・・」
暴走グレマーズはレッドやドルバ達との戦闘に集中している為、ノワール達の存在に気づいていなかった。その隙に暴走グレマーズの弱点を探して、倒そうと考えていたのだ。幸いに背中がガラ空きだったのでひとまず体には飛び込めた。そして、白鳳の能力で相手のウィークポイントを探し出している。しかし、かなり大きな体の為、探すのも一苦労だった。
白鳳「うーん、中々見つかりません」
アスール「白鳳ちゃんっ、無茶はダメだからね」
白鳳「はいっ!!しかし、私も皆さんの役に立ちたいですっ!!」
グレーズ「うん、可愛いっ!!」
アスール「可愛いっ!!」
ブルーノ「niedlich『可愛いっ』!!!」
秀玉「わ、分かります・・・何だか、甘やかしたくなるようなこの雰囲気・・・あぁ、だめっ!!一瞬でも私を癒してーっ!!!」
マルゲリット「副隊長っ!!気持ちは分かりますが、落ち着いてくださーいっ!!!」
秋満月「はぁー、もう何回も見た、このやり取り」
カレント「そちらの隊が白ちゃんを欲しがってる理由が分かったかも・・・」
白鳳「・・・はっ!!皆さん、上から何かが現れますっ!!!」
白鳳が叫び、上へ指差した。すると上から剣と槍を手にした誰かがこっちへ降りていくのが見えた。顔は暗くて見えないが、ノワールと葉月は服装を見て判断した。あれはグレマーズだった。しかし、様子が違っていた。あれは恐らく、グレマーズが飲み込んだ禁書が擬人化したものだと思う。最後の最後まで面倒くさい奴だ。
禁書「我にはむかう愚者共よ。これより、我が直々に神の試練を課そう」
ヴィオレ「神の試練?」
禁書は話し終えると、禁書はヴィオレの顔をひと蹴りし、そのままアマリージョ、ブルーノ、ヴェルデ、ルージュの腹をパンチし、その後は雷攻撃を繰り出して、ほとんどの人が喰らってしまった。その後、すぐさまアスールの方へ飛んで行った。みんな呆気に取られていたのか、急な出来事にただ固まっていた。そして、アスールは抵抗する間もなく、禁書の持つ槍でひと突き刺しした。槍は深く刺さって、アスールは液体を噴き出した。
アスール「ブハッ!?」
ブラン「あ、アスールッ!?」
ドナ「そんなっ!?」
グレーズ「いつの間にっ!?」
神無月「これが、神の力っ!?」
みんなはアスールが刺された事により、衝撃を受けた。みんな、アスールが死んだと思っていたからだ。しかし、ノワールは違っていた。そもそも心配する必要がないからだ。噴き出したのは、血ではなく水である事に気づいたからである。アスールは体の一部を水化させて、直接ダメージを減らしたのである。
禁書「何?!」
アスール「残念でした。流石に私もビックリしたわよっ!!この私から一本取られるんだから。今度は私のお返しよっ!!」
何かを察したのか禁書は槍を抜こうとするも、中々抜く事が出来なかった。アスールが水で引っ張っていたからである。禁書は仕方なく槍から手を離すと、アスールは拳を作って禁書の顔目掛けてひと殴りした。それからはそのまま殴り続けた。
アスール「Azuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuul!!!!!!!」
禁書「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
アスール「極め付けはこの技っ!!"アスール・ガンマ・ウェーッブッ"!!!!!!」
アスールは殴った後はそのまま大量の波を繰り出し、禁書もろとも飲み込んでしまった。禁書は抵抗する間もなく、遠くへ流されてしまった。
アスール「ふ、大した事ないわね」
禁書「愚か者め」
アスール「え?」
・・・かに見えた。グサッ!!!禁書は剣でアスールの体を刺した。今度は水になっていなかった為、赤い血が流れてしまった。
アスール「グハッ!?」
葉月「馬鹿なっ!?」
長月「やはり、一筋縄ではいかないわね」
禁書「言った筈だ、これは神の試練だと。あまり私を失望させないでくれ」
アスール「ど、どうして?」
禁書「君達がどんな攻撃をしようと、宿主の能力で全て分かるのだよ」
そう言って、禁書はガラケーを取り出した。これはグレマーズが使っていた能力で、宿主である以上禁書も使えたのだ。そして、アスールから剣を抜き、そのまま捨てた。
葉月「貴様っ!!」
禁書「次は貴様だ」
禁書は葉月に狙いを定めて、剣を振りかざした。葉月も負けずと刀を構えて受け止めたが、相手の方が力が強いのか、魔力が強いのか、段々と押されていった。その隙にカレントが気づかれないように動き、能力で硬くなった腕で禁書に殴り掛かろうとした。流石に後ろからは攻められない、そう思い禁書へ殴り掛かった。しかし、これが誤算だった。幾ら気づかれぬよう背後から攻撃しようとも、禁書は彼女の行動について予測していた。禁書の予感は彼女が想像していた数十倍も超えていた。
禁書「不意打ちとは、神を騙すなど愚かな」
禁書はもう片方の槍でカレントの腹を斬りつけた。カレントは斬られてしまい、口から血を吐き出した。
カレント「そんな・・・グバッ!!!」
葉月「カレントッ!!!」
禁書「力が緩んでいる。はっ!!」
葉月はカレントに気を取られていて、一瞬力が抜けてしまった。その隙に禁書が思いっきり剣を振りかざした。葉月は慌てて防御するも、抵抗虚しく刀の刃を真っ二つに斬られてしまった。このまま葉月の体を斬り裂こうとしていた時、彼女の後ろからブラックホールが現れて、その中に吸い込まれた。そのせいか、禁書の攻撃は空振りに終わった。
禁書「何っ!?」
長月「危なかったわね、私があと数秒遅れていたら、本当に真っ二つにされていたわ」
葉月「く、貴様にまた借りが出来てしまった。だが助かった、感謝する」
長月「このくらいお安い御用よ。それよりも、このままでは本当に・・・」
葉月「分かっている。だが、強い。流石神を名乗るだけはある」
葉月は考えた、恐らく自分の能力を使っても無駄だと言う事、いやそもそもここにいる全員の能力でも無駄だと言う事に。どんな攻撃をしようと、神の力を使えばそれまでだ。向こうのモンスター達も苦戦を強いられている。時間がない中、どうやって動くか悩んでしまう。
禁書「攻撃しないのか?そうか、この神である私に攻撃するのが難しいのだな。私には全て分かる。やはり人間は愚かな生き物だ。統べる奴がいないなら、尚更私が統べる存在になればいいだけだ。この私に従えば、皆幸せだろうに」
ノワール「・・・愚者だな」
禁書「何?愚者だと?」
ノワール「ここまで愚者とは思わなかったよ。確かに神の力があるようには見えるけど、お前はただ意志を持っただけの本。本が世界を統べるなど笑わせる」
禁書「なんだとっ!?」
ノワールは突如、禁書に挑発し始めた。確かに神の力は使えるが、元は本だ。本が意志を持っただけの存在だ。
ノワール「ま、誰かの真似をしないと現れないという時点で可笑しいけどね。いいか、この世の中で導いていいのは学校の先生とガイドだけだ」
禁書「何っ!?」
葉月「学校の先生と?」
ブラン「ガイド?」
ヘルブラン「何で?」
ノワール「先生は生徒を導き、ガイドは観光客を導く、簡単な事だ」
禁書「何を言ってんだっ、貴様っ!!!!」
ブラン(それは思たー)
ノワール「要は先生でもガイドでもなければ、ましてや人じゃないお前に誰が付いて行くんだって話だ」
禁書「ふざけているのかっ!!!」
ノワール「いいや、広島では普通の事さ」
葉月(何故ここで広島?)
ノワール「広島はいいぞ。世界遺産が2つもあり、世界で最も美しい下瀬美術館、更には檸檬や牡蠣の生産量は日本一っ!!!それから・・・」
ジャラゴン「おいっ!!あんまり喋るとキリねぇぞっ!!!」
ノワール「おっと、そうだったな。これ以上話すと時間がなくなるから、重要な事の0.01割は話した」
全員(0.01割っ!?まだ話すんかいっ!!!)
長月「へぇ♪面白そうな場所ね♪」
ノワール「話の分かる奴がいて、ぶち嬉しい」
ノワールの謎の広島愛に一同(長月覗く)驚愕してしまった。何故奴が広島に肩入れするのかは分からないが、時間もそんなない事は分かっていたので少ししか話さなかったようだ。
禁書「ふざけやがってっ!!!この私を馬鹿にしてるのかっ!?」
ノワール「本にそんな事を言われるとはな」
禁書「まあいい、足掻くのも今のうちだ。貴様の言う広島という場所もいずれ我の物になる。まあ、そんな大した所ではないだろう。我が支配した広島を貴様に見せてやるっ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ノワール「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい」
禁書「ん?」
ブラン「へ?」
葉月「な、何だ?」
ジャラゴン「あ・・・・・あ、やばい・・・」
ケンちゃん「ど、どうされたのですか?」
ジャラゴン「今、話すと長くなる・・・ピィッ!!!!!!」
ブラン「ジャ、ジャラちゃん?!」
ジャラゴンはブランに思わず抱きついてしまった。そう言えば、ノワールの様子も何かおかしい。今までの楽しそうな雰囲気はなくなり、静けさが走った。それと同時に不吉な雰囲気が広がり始めた。葉月達も今まで感じた事がない感じだった。
禁書「おい、どうした?まさか、怖気ついたか?」
ノワール「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい、今なんて言うた?」
禁書(な、何だ・・・この感じは・・・)
ノワール「今、広島バカにしたじゃろ?」
禁書「そ、それがどうしたっ!?」
ノワール「広島を馬鹿にする奴が1番好かんけぇの。お前には死よりも恐ろしい地獄を見せたるけぇっ!!!」
ブラン(口調も何故かおかしくなっているが、そこは突っ込むべきかな?)
ノワールは自身の剣を抜き出し、禁書へ襲い掛かった。怒りで目の前の物が見えなく、今は広島を馬鹿にした禁書へ向かってただ走っていた。しかし、禁書も対策をしていたかのように、ガラケーを取り出して予言を提示させた。
『槍を45°向けて投げる。2分後、槍は体を貫く』
禁書「ほう、これなら奴を仕留めらるのか」
禁書は予言に書かれた通りに、槍を45°に向けて投げて、剣で防ごうとした。この剣は傷1つ付かなく、頑丈故にこれに斬られないものなどないという強度な剣だ。ノワールの黒い剣如きで斬られる訳がない。
禁書(あと少しでノワールは死ぬ)
勝利を確信したのか、禁書は剣を横にして盾状にした。そして、槍と剣が近づいた時、それは禁書すら見抜けなかった前代未聞の事が起こった。
パキーンッ!!!!!!!
剣が割れた音だった。どちらかの剣が割れた。その割れた剣の持ち主は・・・
「うぐっ・・・馬鹿な・・・何故だ・・・」
何と、禁書の剣が割れたのだった。あれだけ硬かった剣が真っ二つに斬られてしまったのだ。ノワールの剣が禁書の剣を壊したのだった。
葉月「な、馬鹿な・・・!?」
長月「・・・!!!!」
ブラン「うん?何がどうなったのっ!?」
ガラクロ「アリャ、マップタツ」
ケンちゃん「嘘でしょっ!?」
ジャラゴン「ジャララララッ!!!反撃の始まりじゃーっ!!!」
ノワールはただ何も言わずに、剣を振りかざして禁書の体を斬りつけたのだった。




