第五十九話 兵隊蜂っ子
蜘蛛を吹き飛ばして安全を確保した後、繭を切り開いたら蜂っ子が出てきた。麻痺毒を注入されたようで、ピクリとも動かない。
状態異常無効を付与できるのは、ライムだけなんだよなぁ。おいてきたのは失敗だった。
「でも不幸中の幸いだったな。
アシダカグモみたいな奴だったら
その場で食われて
見つかったのは蜂っ子の残骸だけ
だったなんて、嫌すぎるよな」
俺がそう言って笑っても、蜂っ子は誰も笑わない。シャレにならないからか。俺だって、あんなデカイ蜘蛛に食われて、死ぬなんて嫌だけどさ。
「蜂っ子は外に行く時は、必ず三人でいけ。
それと、外の仕事は中止。
兵隊蜂っ子が揃うまで家の中で待機」
そう言ったら、なんかホッとした空気が流れたので、恐慌状態に陥るような事態は回避したと思う。
蜘蛛に食われかけた蜂っ子は、二時間後には回復して、何も後遺症は無いそうだ。
良かったよ。
ただ、寝る前に
「恐いから一緒に寝て欲しい」
と、言いにきた。
もちろん快諾したよ。
だってこの子JCサイズだし問題無し。
今日は蜂っ子を湯たんぽ代わりにして、温まろう。やったね。
そんな風に思ってた時期が、ボクにもありました。ヤベエわ、ウチのJC蜂っ子。
キーラが俺の好みを反映して分身を作ってるのは知ってた。けど、すでに生まれた奴まで、俺の好みの影響って出るの?
さすがに年齢による成長の度合いがあるから、巨乳とまではいかないけれど、でも大きいよ。
「サァベル」
「なんですの?」
なんかサァベルの声が冷たい。きっと、今日は蜂っ子を抱きしめて寝ると宣言したせいだ。いつもはサァベルが湯たんぽだしな。
「この蜂っ子がムチムチしてて、俺、変な気分になっちゃいそう。俺を止めてくれよ」
そう言ったら顔面に物凄いパンチを食らって、気がついたら朝だった。目が覚めると、慈愛に満ちた表情のサァベルが俺を見てた。
昨日は失神した俺に、左右から蜂っ子とサァベルが抱きついて寝たそうだ。そうかい、良かったね。
朝は俺も参加して全員で柵の点検。
蜘蛛みたいな奴は、柵じゃ防げないってのが、俺達の結論だった。家の中も侵入できる場所が無いか、神経質なほどに調べたよ。
家の中なら大丈夫だったので、戦力が整うまでは引き篭もって遊んでた。これがわりと楽しくて、蜂っ子達とも親睦を深める事が出来たと思うよ。
そして五日目。
部屋に篭って分身作成をしてたキーラが出てきた。そう五人の兵隊蜂っ子を連れて。
蜘蛛を倒した時に、その強さは見ていたけれど、改めて見ると何とも頼もしい。
「強さは期待してね。でも、たくさん産めないからね」
と、言われたので、理由を聞いた。
「この子達は戦闘特化型なの。日常の仕事は何も出来ないからね」
戦闘特化型の娘達は照れ笑いしてる。
有事には役立つが平和な時は何も出来ない穀潰し扱いってわけか。キーラに確認したら頷かれた。
兵隊蜂っ子は、少し悲しそうだ。
兵隊の蜂っ子は元の世界の軍事力そのものだな。強さを求めて軍拡すれば、維持費で自分の首を絞めるわけで。
「蜂の社会じゃ穀潰しでも、人間社会じゃ護衛とか、冒険者とか、仕事はあるんだし、まずは20人くらい産んだって構わないぞ」
穀潰しじゃないと言われた兵隊蜂っ子達は拍手喝采で、キーラも使い道があるならと喜んでいる。
とりあえず、名前をつけてあげよう。
ファントム・キラービー
イーグル・キラービー
トムキャット・キラービー
ファルコン・キラービー
ホーネット・キラービー
能力は戦闘系のみ
・飛行能力
・魔力弾連射
・魔力剣
・物理防壁
・魔法防壁
キーラは俺がもっと産んで欲しいと言った事に、とても喜んだ。次の五日も頑張って分身作成をやり続けて七人を産み出した。
確か一日に一人しか産めないと聞いていたので、キーラには無理をしてはダメだと注意をしておいた。褒められると思っていたのに、注意をされてショックを受けている様子だったので
「キーラが大切だから言ってるんだよ」
と、抱きしめながら言っておく。疲労でフラフラしてたので、お姫様抱っこでベッドに連れていき、一緒に寝て腕枕をしてやる。
腕枕なんて子供っぽいかな、と思ったけど意外と喜んでくれた。他の子も喜ぶかな?
すぐに寝息を立て始めたので、やはり注意して正解だったと思ったよ。あそこで褒めてたら体を壊したかもしれないしな。
20分ほどキーラの寝顔を眺めてたけど、兵隊蜂っ子も気になるので、部屋を出る事にした。起こさないように、そーっとね。
皆がいる部屋に戻ると、新たに産まれた兵隊蜂っ子達にも名前を与える事にする。
フューリー・キラービー
バンシー・キラービー
クルセイダー・キラービー
クフィル・キラービー
ラプター・キラービー
ラファール・キラービー
グリペン・キラービー
と、命名した。
ここで俺は反撃の時は来たと思ったので、兵隊蜂っ子達、働き蜂っ子達、キーラ、サァベル、アオイを集めて仕事の開始を宣言する。
楽しい休日は終わり、忙しい仕事の日々が始まるのだ。
兵隊蜂っ子は12人いるので、3人で小隊とした。これで4小隊編成できるので、森の中で危険な生物の排除をする隊、蜂っ子の護衛をする隊、家を守る隊、夜間に家を守る隊と役割分担をしてもらってる。
そのうち、俺の近衛なんか作って欲しい。
「私がおりますわよ?」
おっと、うっかり声に出たらしい。サァベルは近衛隊長なんだよと言って誤魔化した。いや、実際にそんな感じなんだけどさ。




