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第五十八話 空飛ぶ家 計画

 空飛ぶ家を作る為の設計チームとして、俺の元に来たのが、51、55、57、59の四名なのだが、数字で呼ぶのは何か嫌なので名前をつける事にした。


 51 ハルナ

 55 ナツミ

 57 アキナ

 59 フユミ


 と、命名した。

 四人は名前をもらったと大喜びで、抱きつかれたりキスされたりと大変だった。命名して、ここまで喜んでくれるなら、これからは何か手柄を立てたら名を与える事にしようと思う。


 四人が落ち着いたところで、空飛ぶ家の話に戻ったが、四人曰く普通の家なら作れるが、空飛ぶ家は作る時に、何か注意するべき事はあるのか質問された。


 だが、俺に分かるわけがない。


 まずは四人で浮遊石を観察するところから始めた。手に持っても何も反応しない。失敗したな、ベティを連れてくるんだった。


 「これ、魔力を通すと動く、とか?」


 と、ハルナ。

 確かに、その可能性は高いな。

 他の三人も大きく頷いている。


 「ちょっと魔力を込めてみてくれ」


 俺の言葉にナツミが浮遊石を手に乗せて、魔力を込めた。その瞬間にバシッと音がして、ナツミの手のひらに乗ってた浮遊石が消えた。


 全員で探したが見つからない。途方に暮れたりもしたが、バシッと音がしたなら、壁際に落ちてるはずだと探し始める。


 「あ、あった! あそこだよ!」


 フユミが天井を指差してるので、見たら天井の木材にめり込んでた。見つけたフユミが飛んで、浮遊石を回収してくる。


 「今のは方向を念じながら魔力を込めたのか?」

 「え? うん、どうかな。浮遊石って言うから魔力を込めたら、浮かぶもんだと思ったし」


 なるほど。

 今度は俺が手のひらに乗せる。

 そして前に進むように思いながら、魔力を込めてみた。ヒュンと音がして、前にいたアキナの頬を掠めて飛んでいった。アキナの頬からは血が滲んでいる。


 「ごめん! 大丈夫か!?」

 「うん、平気。でも、思った以上に危険な石だと思うよ」


 俺も、そう思う。

 扱いが非常に難しい。


 「これは専門家が必要だと思うよ」

 「ベティさんを呼ぶべきだね」


 と、ハルナとアキナ。


 「もし、これを組み込むなら、空飛ぶ家の中央あたりに、太くて硬くて頑丈な柱を作って、その真ん中辺りに石を設置しないと、石だけ飛んでいくんじゃないかな?」


 ナツミの話を聞いた俺は、エンジンだけが機体を壊して、前に飛んで転がっていく戦闘機を思い浮かべる。


 うん、壮絶に間抜けだな。


 とりあえず、縦横五メートルの試作用の空飛ぶ家の土台を作る事にして、データを取ろうという事で意見は一致した。


 ミッキーが中央都市へ戻ると言うので、ベティを連れて来るように頼む。


 「ライムもでしょ?」

 「そうだったな。ライムも頼むよ」

 「了解」


 護衛は予定通り、ミスリーンをつける。翌朝、出発の時間になって蜂っ子の一人が言い出した。


 「もっと護衛をつけるべきだよ」

 「何故だ?」

 「森林狼の群れが、ここを見ているの」


 蜂っ子達は10人くらいで木材を切ったり、運んだりしてたので襲われなかったらしいが、単独で動いたら、危なかったと思ったらしい。


 「なら、リルとアヤメ、蜂っ子達10人も連れて行け」


 リルとアヤメと蜂っ子10人は、南の砦の宿屋で待機。ベティとライムを連れてミッキーが戻ってきたら、合流して帰ってくること。

 アヤメは待機してる間に、砦の衛生状態を改善に取り組む。蜂っ子達はアヤメの手伝いをする。

 

 そんな指示を出しておいた。


 空飛ぶ家を早く作りたくて、南の砦を無視しちゃったから悪いなと思ってたんだ。


 「ボクまでいなくなったら、フェイロンは大丈夫なの?」


 リルが心配そうに言うので、大丈夫だと力強く言っておく。実際にサァベルがいるしな。まぁ、戻ってくるまでは森の作業は自粛しよう。


 ミッキー達を見送ってから、残った蜂っ子達に家を囲む柵に不備が無いか点検させておこう。

 

 「大丈夫。柵は頑丈に出来てるし、森林狼くらいなら入れないわよ」


 と、アキナが太鼓判を押してくれたので、まぁ安心したよ。でも、これは油断だったと思い知らされた。


 その夜、食事をしていて、違和感に気がついた。蜂っ子が一人足りなかったのだ。


 「一人、いないけどトイレかな?」

 「女の子に、そういう詮索はしちゃダメです」


 ハルナに叱られたけど気になった。たまたま、トイレから戻ってきた蜂っ子がいたので、確認したらいなかったと言う。


 「そういえば、柵が気になるとか言ってた」

 

 ヤバイ気がして、サァベルと外に出た。蜂っ子達も外に出てくる。暗くて見えないので、余計に不安になってくる。


 「きゃあぁ!?」


 飛び上がった蜂っ子が悲鳴を上げたので、ナツミに抱き抱えてもらい屋根に向かった。サァベルは信じられない跳躍力で、屋根に飛び乗る。


 そこで見たのは、人間くらいありそうな巨大な蜘蛛だった。行方不明の蜂っ子は糸で巻かれて繭みたいにされてた。


 もう手遅れかもしれない。


 九人の蜂っ子がニードル攻撃をしたが、巨大な蜘蛛は全身に剛毛が生えていて、それがニードルを弾いて貫通しない。

 ロックゴーレムだって穴だらけにしたのに、こんな蜘蛛如きに通じないとは。


 しかし殺す事は出来なかったが、身の危険を感じる程度には、嫌な攻撃だったようで蜘蛛は逃げようとしている。


 そこへ屋根裏部屋から顔をだしたのはキーラだった。キーラは状況を把握すると、誰かに指示を出している。

 そいつはキーラと入れ替わりに出てくるなり、蜘蛛に両手を向けた。間髪いれずに魔力弾を連射して蜘蛛を肉片にしてしまう。


 なるほど、蜂っ子が欲しがるわけだ。


 これが兵隊蜂の実力か。

 兵隊蜂は俺を見て、ニコリと微笑む。

 可愛いじゃないか。

 戦闘要員でも美少女なんだな。

 大いに結構!


 

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