第五十七話 蜂っ子と女王蜂
ちょっと蜂っ子について話をしよう。
元々は蜂っ子は小中学生(仮にJSシリーズ、JCシリーズとしよう)くらいの年齢に見える子ばかりだった。
それをキーラが分身作成の時に、俺の好みを反映させるようになって生まれたのが高校生(JKシリーズと呼ぼう)くらいに見える蜂っ子だ。
サイズが変わろうと能力は変わらないので、どっちでも良いのだ。ただ、小さい蜂っ子は見てほのぼのするし、大きい蜂っ子は見てドキドキするんだよな。
そんな初期のJKシリーズの中に、絶世の美少女がいた。あまりに可愛いので、秘書として常に一緒にいるように手配しようとしたら、偶然に見てしまったのだ。
その絶世の美少女がユーリと甘々な百合な世界を作り上げているのを。
いやもう、ショックだったね。
あのシーンが強烈で、以来この美少女を見ると、あの時を思い出しちゃうんだよ。綺麗な白い肌とか、美少女同士のキスシーンとか、普通なら触らない、触れない場所を優しく触りあって快楽で切なそうな顔とか声とか。
その絶世の美少女が俺の前にいて、飯をよそってくれたりするんだけど、つい胸を見てしまうんだよ。目が合うと思わず赤面しちゃうしな。
ちなみに、その大きな胸にはNO55と書いてあった。
「そろそろ、お母さまを抱く気になりませんか?」
55に限らず、蜂っ子は女王蜂であるキーラを抱け、妊娠させろと挨拶のように言う。他の蜂っ子が、特にJSやJCが言うと、ませたクソガキと流せるのだけど55が言うと、シャレにならないんだ。
蜂っ子が抱けと言うのは、一応理由があって男に抱かれて以降は、分身作成で兵隊蜂を生み出せるから、だそうだ。
強い戦力がサァベル、リル、ゴーレム姉妹の四人しかいないから、不安なのだろう。俺からすると蜂っ子も強いんだけどな。
「もしかして女性経験が無いから気後れしてますか?」
ズケズケ言うな、こいつ。
当たってるけど。
「じゃあ、私で練習して下さい」
「でも、お前はユーリの恋人だろ?」
55は冷たい笑みを浮かべて「いいえ」と答えた。美少女の怒りを秘めた笑顔って恐いな。
「君だけと言いながら、私、51、57、59と四人も恋人を作ってますからね」
あいつは草原で好き放題に種付けしてた奴だからなぁ。そのクセは姿形が変わっても、全然治ってないわけか。
ユーリが先に不義を働いてるから遠慮しなくて良いと言われても、今度は俺が全員を性欲の対象としてしか見れなくなりそうなんだが。
「元々、私達はフェイロンを中心としたハーレムですよ。好きにやれば良いんです」
そこまで言うのなら、と練習相手になってもらいました。気持ちよかったです、はい。その日の夕方に、誰も作業でいない時間を見計らって、キーラもね。
キーラは蜂っ子達とのやり取りでポンコツぶりを見てたから、俺の相手をする時も大騒ぎになるかと覚悟してた。でも、俺を見て静かに受け入れてくれたよ。
パートナーになっても、元になった存在の本能や習性は根強く残るのかと考えさせられた。
日が暮れてサァベルとリルが戻ってくると、いつもの通りに懐こうとして、ピタリと動きが止まった。
俺の匂いを嗅いでから、俺と55とキーラを何回も見てた。俺を見て、55とキーラを見て、また俺を見るを繰り返すんだ。
完全にバレてるね。
動物の嗅覚って、スゲーわ。
二人は怒るか、そこまでいかなくても文句や嫌味くらい言うかと覚悟したけれど、何も言わなかった。
ただ、いつもは無邪気に笑う二人が、一瞬だけ妖艶な笑みを浮かべたんだよね。「いつでもいいよ」って意味に受け取れたけど、どうなんだろうな。
そして、その日から蜂っ子達は女王蜂のキーラを煽らなくなった。そしてキーラは分身作成で、兵隊蜂を作り始めたんだ。
翌日の朝、55が51、57、59を連れてやってきた。この現場に来た蜂っ子はランダムに選ばれてたはずなんだけどな。
ユーリのラマンが勢揃いしてんじゃねーか。誰が来ても構わないけど、人選に作為があったのかもしれない。
55は涼しい顔してたけど、俺は55を見て動揺してしまった。
「55との間に何があったか、分かっちゃいますよ。顔が真っ赤です」
「そこが可愛いのよ」
クスクス笑う51に55が言う。
「そのうち慣れますよ。ユーリなんて上手ですよ。ポーカーフェイス」
「そそ。だからトイレで、いきなり個室に引き込まれて、されちゃった」
「分かる。その気は無いと思ったら、いきなりガバっとくるんだよねー」
と話すのは57と59。
思わず聞き入ってると、55に肩をつつかれた。
「私達が来たのは、空飛ぶ家の設計についてなのよ。大まかなサイズと形は聞いたけど、じゃあ、具体的に何をどう設置するのか分からないからね」
なるほど、そりゃそうか。
気持ちを切り替えて四人と話を進めた。




