第五十六話 空に浮く家を作ろう
俺達の家は元々は宿屋だった。それを譲ってもらい自宅としたわけで、大規模な改装はしてない。す
だから一階には宿にきた客が食事をしたり、酒を飲んだりする場所がある。今もそこを食堂として利用してるんだ。
そこへ全員を集めたんだけど、いやまぁ増えたもんだよ。蜂っ子達が80人、スライム娘が10人、俺、ライム、サァベル、ユーリ、リル、ミッキー、ミスリーン、イオリ、ベティ、全員で99人になっちまったよ。
だが、まだまだ!
アース・クロニクル・オンラインでは、俺のパートナーの数は150人以上もいたのだ。これからも頼りになる仲間を増やすのだ。
さて、まず新しい仲間として鉱山都市で増えた蜂っ子と、ゴーレム娘二人と、ベティを紹介した。そしてベティにもらった浮遊石について、説明を行う。
浮遊石には全員が驚きを隠せないようだったが、サァベルとリルは俺が帰りを急いだ理由が分かって納得したような顔をしていた。
「俺はな、この石を使って空を飛ぶ家を作ろうと思う。空を飛ぶ家で移動し冒険をする。冒険先では拠点となるんだ」
はい! と元気よくリルが手をあげた。
「はい、リル。何かな?」
「この家は、どうするの?」
この家は都市での拠点として維持していく。仕事を持った仲間もいるしな。
「空を飛ぶ家は、どんな形をしてるの?」
と、キーラ。
俺は縦横が50メートルで高さが5メートルある正方形の木造建築物を土台に色々と加えていきたいと話した。
「なんで、そのサイズなんだい?」
と、ユーリ。
サイズは適当だけど、100人いたら最低でも、このくらいの広さが無いと余裕を持って暮らせないと思うんだ。
蜂っ子の一人が手をあげる。胸にNo45と書いてある。
「人員の配置はどうするの?」
鉱山都市遠征で生まれた蜂っ子20人を、空飛ぶ家の製作チームにすると言ったら、蜂っ子からブーイングが飛んだので、くじ引きで選ぶ事にした。
製作チームが怪我した時の為に、スライム娘から二人を選ぶ。鉱山都市に連れていったサクラとスミレは除外となった。選んだのは、アオイとアヤメの二人だ。
ベティは家で寝て過ごしたいと言ったので、おいていく。イオリは残す連中の護衛。必要ないと思うけど、念のためにね。
サァベルとリルは連れていく。ユーリは残留希望だったので、治療院を手伝うように言っておいた。嫌がるかと思ったが、喜んで引き受けたので、たぶんスライム娘の誰かを毒牙にかけるのだろう。ちなみにユーリと関係をもった蜂っ子は、製作チームに入っている。
キーラは人手が足りない時の為に、一緒に連れていく。製作現場で俺を誘惑しろと、エッチな下着を蜂っ子達に渡されて、少し涙目になってたのが不憫だった。
そこまで望まれてるなら、押し倒しちゃおうかと、真剣に考えてしまうよ。
ミッキーは資材運搬係で、中央都市と製作現場を往復してもらう。護衛にはミスリーンをつける。
ライムは治療院と衛生管理ギルドの実務責任者なので、残って仕事をしなければならない。
「私を絶対に手放さないって言ったのに、私をおいて行くの!?」
そんな絶望した顔しなくても。
とりあえず仕事を片付けて、ミッキーが資材を持って来る時に、一緒においでと言って納得させた。
でまぁ、建設現場は都市の南側の大森林地帯と決めた。土台部分の材料は、大森林から伐採して使えば良いもんな。
ちなみに大森林はモンスターもいるので、油断は出来ないがサァベルとリルがいれば、何とかなるだろう。
人員の配置を決定してから半月。ミッキーが物資を揃えたと報告してきたので、俺達は都市の南にある大森林を目指して出発した。
南の砦を越えて、さらに数日。街道から外れて森の近くに製作現場を作る事にする。ミッキーの異次元倉庫から、蜂っ子達が何やら引っ張り出していた。
「なんだ、それ」
「これはフェイロン兄さんの話にヒントを得て、予め作っておいたものです」
俺、そんなヒントみたいな事を言ったかな?
「スノマタジョーの話です。最初に部品を作っておいて、一気に組み立てる。素晴らしいアイデアです」
あー、言ったね。
蜂っ子達が目をキラキラさせて、話を聞いてたよね。
実際に組み立てるのを見たけど、プレハブ小屋みたいなのを連想してたんだけど、大きなログハウスみたいだった。とても頑丈そうで砦と言っても通用しそうだ。
「そういう用途も考えてます。街道から離れて、しかも森に近いしモンスターの襲撃も想定してます」
ログハウスとトイレは離れだが、廊下で繋がっている。しかも、これでもかってくらい頑丈だ。
「この辺は夜に森林狼が出ると聞きました。熊もデカイのが出るそうです」
蜂っ子は空に逃げられるけど、俺やスライム娘はなぁ。ここまで神経質に作ったのは、俺の為なんだな。
ありがとう。
そこまで考えて、この森に決めた訳じゃ無かったから申し訳ない。
一人、一人を抱きしめて感謝したよ。




