第四十八話 戦闘中
妖精達が空から狙いを定める。同士討ちを避ける為に、ゴーレム側のやや奥を狙って魔法を放った。200の攻撃魔法がゴーレムに降り注ぐ。
あっと言う間に50体以上のゴーレムがスクラップになった。さらに50体ほどが一部欠損して戦力低下してる。
地上の魔術師も、範囲魔法は味方を巻き込む危険があるので撃てないが、単発の魔法を各属性で撃ちまくっていた。
「ライム、仲間に身体再生と状態異常無効を頼む。ユーリ、全能力上昇をやってくれ」
「「了解!」」
能力強化を受けたサァベル、ルリ、ミッキーは突撃を始める。その辺の冒険者など比較にならない速さで、ゴーレムを破壊して前に進んだ。
「突破口が開いたぞ!!」
誰か知らないが、サァベル達の攻撃を見ていたようで、大声で周囲に知らせている。そして声を聞いた者は、サァベル達に続いて飛び込んでいく。
ありがたい、と思った。
サァベル達が強くても退路を断たれたら、いつか倒されてしまうから。
「キーラ、蜂っ子達を率いて攻撃だ!!」
「はい!」
キーラと蜂っ子25人が空中へ舞い上がる。
ただし、妖精ほどの高さで飛ぶ事はなく、低空を飛びながら攻撃を仕掛けるようだ。
「構え!! 撃てッ!!」
キーラと蜂っ子25人の両手から、ニードル攻撃が一斉に放たれる。さすがに妖精の魔法よりは威力が落ちるが、ロックゴーレムなどは一瞬で穴だらけになって破壊されている。
「フェイロン、少しいいかな?」
「どうした、ユーリ」
「妖精達は攻撃の要だから、全能力上昇は付与した方が良くないか?」
「確かにそうだ!」
早速、ユーリに付与するように頼む。ユーリは頷いてセージュの元へ向かってくれた。とりあえず、これで大丈夫だろう。
このまま押し切れるかと思ったが、やはり一筋縄ではいかなかった。ゴーレムが後方から次々と補充されてくる。
失敗したなぁ。
最初に全能力上昇を妖精に付与しとけばと、後悔と反省で俺の頭の中はいっぱいだ。
妖精達は10人単位で戻ってきては、付与と魔力の補充をして空へ戻っていく。全員に付与するには、今暫く時間がかかるだろう。
「アイアンゴーレムが増えてるよ」
蜂っ子達の半数が戻ってきた時の一言だが、こちらの進軍速度が明らかに遅くなっていて、その理由はコレかと思った。
とにかく防御力が高くて、なかなか倒せないそうで、友人のエリックやマリア達が休憩の為に下がってきた時にも同じことを言っていた。
俺が出来る事は下がってきた連中が再度前進する時は、ライムに身体再生を付与するくらいだ。
ユーリが戻り次第、全能力上昇を付与して攻撃力の底上げをしたい。
戦闘開始から10時間が経過。
俺自身は、こんな長丁場の戦いは初めてだったので、なかなか鉱山まで辿りつけない事にイライラしてたが、何回も挑んでは撤退した冒険者が言うには、こんなに優勢に進めてるのは初めてだと興奮してた。
我が家のサァベルとルリは、アイアンゴーレムであろうと、やはり簡単に破壊している。意外に感じたのはミッキーで、アイアンゴーレムが相手でもサクサクと倒してる。
「ミッキーは何で、あんなに強いんだ?」
「クリティカル攻撃の能力を持ってるからじゃないかしら?」
俺の独り言にライムが反応した。
でも、おかげで納得。
焦ったのはアイアンゴーレムが対空攻撃を始めた時だ。密集してた妖精が20人くらい叩き落とされた。幸いな事に、ユーリが全能力上昇を付与してたので、即死だけは免れた。
あの時、ユーリが言ってくれたおかげで、取り返しのつかない事態を回避できたよ。
「ユーリ、ありがとう! お礼に一晩中ベッドで可愛がってやるよ」
「何がお礼だよ。とんだ罰ゲームじゃないか。それなら、キーラを一晩貸してくれないか。親睦を深めたいしね」
「お前、まだ心は雄のままかよ。まぁ体は女の子だし、美少女同士なら、まぁいいか」
じゃあ、貸してやるよ。
と言いかけた時に、キーラに断られた。
「私は普通に男性に愛されたいです」
大胆な宣言をしてから、攻撃の為に飛んでいった。ユーリはそれを見送った後、ケガ人の元へ歩いていった。




