第三十七話 戦闘後
死にかけてたキラービーの体が輝いた。とても強い光なので、巣の外にまで漏れたようで直掩部隊の妖精三人が様子を見に来た。
「強い光が見えたよ!」
「何かありましたか!?」
「セージュが心配してるの」
生き残りがいたので魔法を使ったと説明。詳細は後ほどセージュに伝えるからと三人に言うと、安心して帰っていった。
光が消えたので振り向くと、艶のある綺麗な黒髪の美少女がいた。俺が声をかけるより早く、その美少女は俺の胸に飛び込んできて、泣きながら叫んだ。
「お願いよ! 私の姉妹を助けて!!」
ライムを残して、サァベル、リル、ミッキーに生き残りを異次元倉庫に保護してくるように頼むと、三人はすぐに行動を開始した。俺がいないと、あんなに素早く動けたんだね。
「私達が何をしたって言うのよ。いきなり攻撃してくるなんて」
「言い訳はしないよ。すべて人間側の都合だから」
キラービーだった美少女は、人間の考え方や価値観などが急速に流れ込み、また目の前の同族だった存在の死に、悲しみ混乱している。俺は黙って、その様子を見ていた。
「私は、この悔しくて悲しい気持ちは生涯忘れないわよ」
失敗したかな。
人間に復讐じゃあ!!
とか言い出したら、どうしよう。
「でも、近隣の人間を可愛い弟妹や子供達の食事にしないとは言えないし、キラービーだった私達と交渉は不可能だったのは認めるわよ」
キラービーから人間に変化したから、悲しみや悔しさ、憎しみといった感情が生まれた。でも種族が変化したが故に、どこか遠くの出来事みたいな感じもするのだろうか。
一族郎党が皆殺しにされて、理屈で納得できてしまうのは、精神的な負担にならんのかな。
サァベル達が帰ってきたので出迎えると、サァベルが俺の顔をジッと見つめてくる。また猫的本能が炸裂してんのかと思って頭を撫でてやる。
「フェイロン、何か悩んでますわね?」
そう言われて、キラービーの感情について色々と話をしてみた。
「そんなこと、気にしなくて良いですわ」
「なんで?」
「私達は弱肉強食の掟の中で生活してたのです。今回は人間という強者にキラービーという弱者が食われただけですのよ」
なるほど。
「フェイロンに助けられて、人間になったから感情的になれるし、理性的になれるのです」
大事なのは、今後どうするかだとサァベルは締め括った。
「確かにそうね」
そこにキラービーだった美少女がいた。もう泣いてはいない。
「本来なら死ぬところを、助けてくれてありがとう。せっかく人間になったのだし、もう二度と仲間が死ななくて済むような組織を作ってみせるわ!!」
行きましょう!
と、俺の手を掴むと歩きだす。
一回だけ、振り返ると
さよなら、お母さん。
と呟いていた。
下に降りると、セージュが出迎えてくれる。
「フェイロン、お疲れ様」
「いや、巣の中じゃ何も出来なかったよ」
巣の中での妖精達の活躍をセージュに話す。報告を受けて知ってるとは思うが、別の視点からの話は新鮮だろうから。
「むぅ〜・・・」
「あれ? この子は誰?」
自分の睨みつける美少女を見て、セージュは不思議そうに俺を見た。
「私は元キラービーの次期女王蜂となるはずだった女よ。貴方の将としての才能は、敵ながら天晴れだったと言っておきましょう!」
と、自己紹介してる。
「あ、ありがとうございます」
セージュは困惑しながら礼を言い俺を見た。
俺はモンスターに触れると、人型のパートナーにする能力を持っているのだと、改めて説明した。
「ハーレムか。男の夢だね」
いつだったか言ったセリフを返された。
「セージュは200人以上の美少女や美女に囲まれてるだろーが」
「残念ながらサイズが違うからね」
そこへ妖精のリナが来た。
「セージュ、私達をそんな目で見てたの?」
「少しね」
リナはニンマリ笑うと、セージュの肩に乗る。
「おめでとうセージュ君! 妖精の里なら身体のサイズを合わせて酒池肉林の宴ができるよ!」
「それ、ホント? からかってない?」
そこで嘘か本当か確認できるって凄いな。
俺がセージュなら、リナを掴んで妖精の里へGOだったけどな。
「本当だってば。でも覚悟してね。私達はセージュが大好きだから、全員が満足するまで、里から出られないからね?」
元気でな、セージュ。
三ヶ月もしたら、会えると信じてるぞ。
リナ、最低でも半年分の食料、その他の物資を里へ補充しとけよ。
「うん、分かってるよ。フェイロン」
「ちょ、待って。フェイロン!」
爆発しちまえ、色、エロ男。
たくさんの妖精に引っ張られて、妖精の里へ消えていくセージュの姿は、ちょっとホラー。
でも、中でやる事は18禁だし。
「さて、町へ帰ろうぜ」
帰ったら、次期女王蜂だった美少女の名前をつけてやらないとな。




