第三十八話 命名
中央都市へ戻ってきて、まず最初にギルドへ顔を出した。
「よう、帰ってきたか」
ギルマスがいた。ケガもしてないようだ。
「ただいま戻りました。巣は・・・全滅させました。まぁ、多少の生き残りはいるかもしれませんが、女王蜂も、次代の女王蜂もいませんから」
ギルマスは大きく頷く。
「そうか。犠牲者は?」
「怪我人は多数でましたが、奇跡的に死者は無しです」
「囮部隊も死者を出さずに済んだ。作戦は大成功だな」
ギルマスは何かを探すように、俺とドアを見た後に聞いてきた。
「セージュは、どうした?」
「今回の功労者は妖精達ですからね。セージュは妖精達の慰労会を主催してますよ」
嘘は言ってない、と思う。
「そうか。なら、その費用はギルドで負担してやらなければな」
「ぜひ、そうしてやって下さい」
最後に気になる事として、ジャイアントキラービーの巣と、死骸をどうするのかを尋ねた。すると、火魔法を得意とする魔術師パーティーに依頼を出して燃やすそうだ。
うん、これで安心した。
ギルマスに挨拶をして自分の部屋に戻ると、元キラービーの美少女がいた。俺がコートを脱ぐのを手伝ってくれて、脱いだコートを丁寧にしまってくれる。
「フェイロン。私に名前をくれるんでしょ?」
「そうだね。一応、聞いておきたいんだけど、俺のパートナーに、仲間になってくれるか?」
笑顔で頷き、力強く言ってくれる。
「もちろんよ! 貴方と一緒に行くわ」
命名しよう。
キーラ・クインビー
「私の名前はキーラね。ありがとう」
背中の真ん中まで届くような黒い髪は、とても綺麗で落ち着く。俺が日本人だからかな。思うんだけど、胸が大きいのは俺の願望が原因か?
ついでに能力を見るとしよう。
・指揮能力
・分身作成
・ニードル攻撃
・飛行能力
この能力について調べようとしたら、ドアがノックされた。入るように言うと、それはライムとミッキーの二人だった。
「二人とも、どうした?」
「キラービーとの戦いで、活躍した子を人間にするって言ったでしょ?」
とライム。
ああ、そういえば言ったなぁ。
「あの子たち、楽しみにしてるけど、大丈夫なの?」
男に二言は無いのだ!
スライム五匹をパートナーにした。
命名しよう。
サクラ・スライム
スミレ・スライム
スモモ・スライム
カエデ・スライム
アヤメ・スライム
五人とも真面目そうで、可愛いけど地味な顔立ちをしている。スタイルも良いけど、わりと普通な感じだ。
能力はライムの劣化版だ。
・意思疎通(スライム種)
・身体再生(中)
・能力付与(一時的)
これでスライム案件終了だな。安堵のため息をついてると、ミッキーが背中を突いてくる。そうか、まだミッキーの用事があったんだ。
「ごめんな、待たせちゃって」
「構わないよ」
「んで、どんな用事だ?」
「キラービーの生き残りを助けろって言ったよね。30匹くらい助けて異次元倉庫に入れてあるけど、どうするの?」
そうだった。
キラービーのままってのは、どうしたもんか。
「お願い! 私、何でもするから!!」
キーラが泣いて縋りついてくる。
ちゃんと面倒を見るから大丈夫。
ミッキーに異次元倉庫を開いてもらうと、俺は中に入った。もちろん、キーラも一緒である。幼虫ばかりだな。
「パートナーになれ!」
と、言いつつ片っ端から幼虫に触っていく。触りながら数えたら、正確には35匹いた。ギラギラ輝く35の塊から、眩しいので目を逸らす。
キーラは心配なのか見つめているので、強引に抱きしめて耳元で「目を悪くするから見てはダメだ」と教えてやる。
本当は抱きしめる必要も無いんだけど、今頃は酒池肉林を楽しんでるセージュ達に当てられたっていうか・・・
どうにもムラムラっとくるのを抑えられないなんて、男ってダメな生き物ね。と自嘲しつつ、光が消えたので名残り惜しいけど、キーラの身体から離れた。
見ると幼虫だったせいか、小学生から中校生くらいの美少女達がいた。「お姉さま〜!!」と叫びながらキーラのところに集まってくる。
名前はどうすっかな?
感動の再会を終えたキーラに相談したら、とりあえず数字で良いと言われた。
表記上はNo1・キラービー〜No 35・キラービーになるが、呼び方としては、ワンとかイチとか、適当に愛称がつくだろうと言われた。
良いのかなとは思うが、35も名前を考えるのは大変だしな。
「良い仕事をしたら、御褒美に名前をつけてあげてよ」
と、キーラに言われた。
ちなみに、35人ともキーラの子供時代といった容姿で可愛い。能力は見て驚いた。
・飛行能力
・ニードル攻撃
・土木・建築
・家事
・育児
これは働き蜂だったから、だろうか。こんなに小さい子が仕事できるんだろうか。そう考えながら見ていたら、キーラに囁かれた。
「もっと、あの子たちが欲しかったら言ってね。たくさん産んであげるね」
マジマジと見つめたら、能力の分身作成の事だった。なんかガッカリした、少しだけ。
「何だか、パートナーが急激に増えてしまったからな。住むところとか確保しなけりゃな」
「ごめんね、私達のせいで」
「謝らなくていい。パートナーにすると決めたのは俺だ。色々と仕事はしてもらうだろうけど、楽しく暮らせる場所を作ってやる!」
と、宣言するのだった。
何とかなるだろう、たぶん。




