第二十四話 フェンリル戦
「おい、結界が、どうしたんだ!?」
「破壊されそうだ。人間の男如きに頼むのは不本意だが、助けてくれないか?」
「男如きって、この野郎・・・」
どんな奴が、この結界を破壊しようとしてるのかは知らないが、知らん顔して逃げてやろうか?
「も、勿論、礼はするよ!」
こいつらが死ねば、草原の国にも影響でるし、俺達の依頼も達成できなくなる。と、なれば仕方ないか。他の連中を見る。
エリック達も頷いた。
「よし、分かった!手を貸すぞ。で、敵は何か見当がついてんのか?」
「フェンリルだ。どうも異世界から来たらしくて、私達を食べようと執着してるんだよ」
もしかして、フェンリルは俺達が来たのを見ていたんじゃないか。様子を見ていたら、俺達が突然消えた。
その前にはエリック達が結界により、反対方向へ去るのも見ていたはずだ。
結界の種類が分かったところで、俺達レベルでは対処できないが、フェンリルなら出来るのかもしれない。
そうじゃなきゃ、俺達が来た直後に攻撃なんて、あり得ないよな。
「おい、スケベ馬」
「それ、私のことかい? 酷いな」
「正直に言って、俺達じゃ勝てない。なんか無いのか?」
「私達は回復や支援が得意だからね。君達が足止めしてくれたら、攻撃もできるかな」
足止めさえ出来れば、俺には必殺の一撃があるんだが。いや、必殺じゃないけど。
触りさえすれば、パートナーにしてやればいいんだ。その話をユニコーンにした。
「それで、あの娘は・・・。なるほど、では我々で君達へ最大限の支援をしよう。回復も任せたまえ。とにかく奴を一瞬で良いから動きを止めるんだな?」
ライムが身体再生、状態異常無効を付与すると、ユニコーンからも速度上昇、腕力上昇、持久力上昇、耐久力上昇を重ね掛けされた。
「結界が破壊される前に解除するぞ。用意はいいな!?」
ユニコーンの問いに、俺達は「よし!」と答えた。
体長が5メートルはありそうな狼みたいな化け物が現れた。目がギラギラと殺気に満ちている。
「ひいぃィィ!?」
情けない声を出したのはユニコーンだ。根性が無いなぁ。
まぁ俺も恐いけど。
それでも何とか立ち向かえるのは、サァベルが恐れもせずに構えているからだ。つまり、ローエングリンほどの人外では無いって事だ。
「故郷で見た書籍では、フェンリルは10メートル級の個体も珍しくないと書いてあったわ」
エルフィンが教えてくれた。
こいつはまだ、若い個体で未熟者って事だな!
「みんな、一人も欠ける事なく勝つぞ!!」
エリックが檄を飛ばした。
前衛としてオルソン、エリック、サァベル。
そのすぐ後ろに、マリア、ミリーシャ。
後衛でライム、俺、、エルフィン、ユニコーン。
かなり離れて、他のユニコーン達、という布陣である。
「「加速!!」」
「鉄壁!」
オルソンが防御の構えを取り、エリックとサァベルが両サイドから攻撃を仕掛ける。だが、フェンリルは前衛の三人を相手にしなかった。
跳躍すると、マリアとミリーシャの頭上を飛び越えて後衛のところまで来たのだ。
この時にマリアは炎の魔法を瞬時に発動し、飛び越えるフェンリルに直撃させたが、大したダメージを与える事は出来なかった。
エルフィンは風魔法を発動し、フェンリルから距離を取りながら発動する。それは後ろ足に命中して斬り刻んだ。
ライムは接近戦に弱いエルフィンの守りに入り、俺はフェンリルの隙を狙って能力を使う為に接近した。
フェンリルは目の前にいるユニコーンに気をとられていたんだ。だから、エルフィンの魔法を受けてしまった。
皮肉な事に、そのダメージが周囲への注意を促してしまった。そこへ俺が突撃してしまったんだな。
だから、フェンリルは簡単に俺を迎撃できた。
「俺のパートナーにぃ〜!?」
前足で払われてユニコーンにぶつかってしまったんだ。そして間が悪かったのか、ユニコーンに能力が発動しちまったんだ。
「しまった!!」
その時にはもう、ユニコーンの体は光り輝いて、何も見えなくなっていた。




