第二十二話 湖へ
俺のキマイラパートナー計画を粉砕してくれたのは、突然現れた人外の強さを持つ、伝説の騎士ローエングリンだった。
そんな凄い奴が草原で何をしてたのかは、知らないけど、強いわりに腰の低い人だったな。
彼はオンラインRPGで言うところの『横殴り』をしてしまった事に、大層心を痛めてた。
というのはウソだ。
本当は武勲を立てる機会を奪ってしまったと、後悔してたんだけど、彼の言い方にRPGプレイヤー的なノリを感じた、みたいな。
もしかして、ローエングリンも俺と同じ異世界の出身だったりして。
ともかく、キマイラは惜しかったけど、その代わりにユニコーンの居場所と、そこに張られた結界を突破するアイテムをくれたので良しとしよう。
「お前ら大丈夫か!?」
狼煙を見て応援に来た高ランク冒険者が、転がる死体を見て、舌打ちをする。間に合わなかった事が悔しいのだろう。
「こいつらを倒したのは何だ?」
「キマイラです」
「お前らが倒したのか?キマイラは?」
ローエングリンの事を言うべきだろうか?
エルフィンを見ると僅かに首を振る。
言っても信じてもらえないって事だな。
なので、キマイラと戦い痛めつけたが、猛烈な反撃を食らって、パーティーが半壊しかけたところに、冒険者の男性が助太刀に入ったので、助かったと伝えた。
キマイラについては、エリックとミリーシャは知らないと答え、エルフィンは逃げたと思う、と言った。俺は冒険者が攻撃したら、キマイラが塵になったと真実を伝えた。
「お前、キマイラの攻撃を受けて、混乱したんじゃないか?」
と、信じてもらえなかった。
唯一、俺だけが真実を語ったのになー
「なんにせよ、お前らは良くやった。あとは任せて、一度草原の城に戻ったらどうだ?」
そう言ってもらえたので、あとは任せて湖の探索に向かう事に決めた。エリックやオルソンは、かなり負傷していたが、回復魔法と身体再生の効果で、問題無い程度には回復していた。
北へ、北へと歩くうちに、雪を頂く山々がはっきりと見えてきた。同時に広い森も見えてくる。
森が近くなると、木々の隙間からキラキラと何かが光って見えた。きっと、アレがユニコーンがいる湖に違いない。
「見ろ! あれがユニコーンの湖だ!」
リンドバーグの「翼よ、あれがパリの灯だ!」のノリで言ってしまった。こっちの人間には分からないけど、興奮のあまり言っちゃった。
「何も見えないぞ?」
オルソンは本当に分からないようで「どこだ?」と聞いてくる。
「ほら、あそこだよ。キラキラ光ってんだろ? あれ、水面が反射してんだよ」
「わかんねーなぁ? マリア、わかるか?」
オルソンに聞かれる前から、湖を見ようと眉間にシワを寄せてマリアは森を凝視してたが、諦めたように、「わからない」と呟く。
「私にも見えないわ。でも、フェイロンは見えてるのね?」
エルフィンは質問というより、確認をしてきたので頷いた。
「もしかして、そのペンダントのおかげかしら?」
エルフィンは俺が首から下げてたペンダントを握りしめるなり、デカイ声で「見えるわ!!」と叫びやがった。
それを聞いたオルソンとマリアもペンダントに触れて、湖が見えたと盛り上がる。
「おい、すげーぞ! エリック、ミリーシャ見てみろよ!」
「お兄ちゃん、ほら、これ!!」
しかし、二人の返事は無い。
「二人がいないわ。いつから?」
エルフィンの言葉に、思い出そうと努めたがダメだった。
「引き返そう!」
俺達が来た道を引き返して、三キロほど歩いたらエリックとミリーシャに追いついた。
「お前ら、どこに行ってたんだよ。心配してたんだぞ!」
「お前こそ、何故引き返すんだ?」
噛み合わない会話を重ねていると、エルフィンが「これも結界のせいでは?」と言った。
というと?
「湖の姿を見えなくする。これは私達が経験したわね。それと二つ目は、湖から遠ざける。エリックとミリーシャが引っ掛かったわね」
結界の二つの効果があるから、今まで誰も見つけられなかったわけか。二つ目が俺達に効果が無かったのは何故かな?
「ペンダントの効果範囲から出たせいだと思うわよ」
ああ、二人で世界を作ってイチャイチャしてるもんなぁ
「なら、二人が俺達から離れなきゃ、結界は発動しない。万事オッケーだ。二人とも離れるなよ」
さぁ、これでユニコーンと御対面だ。




