第二十話 VS魔獣
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じわ・・・じわ・・・と増えるのが楽しいです。
あの城に、もう少しいたかった。
仕事しに来たんだから仕方ないけどさ。
そんな未練を少し残して、被害にあった村を移動してまわる。中には貴重な牝馬を殺された事にショックを受けて、都市側に移動する村もあった。
「だから私達が城に移動する途中で、出会う草原の民が多かったのね」
エルフィンが納得したように言う。
「馬や羊は草原の民の財産だからなぁ。そりゃあ、ショックも受けるよ」
エリックも頷く。
この広い草原に、例え魔獣だろうが倒せる冒険者パーティーが10くらい来てるらしい。ランクで言えばB級らしいが。
そして俺達みたいな倒せないだろうけど、足止めして応援を呼ぶパーティーが30〜50くらい来てるようだ。
全然出会わないんだから、本当に広いんだよなぁ。
「でも、バンデットウルフに遭遇しないことを考えたら、他の方々が活躍してると分かりますよ」
と、ミリーシャさん。
この人は、いつもエリックと話をしてる印象が強いんだよなぁ。その次がマリアと話す感じ。
エリックと恋人だから、何となく積極的に話しかけるのも躊躇われる、のかな?
オルソンはマリアとよく話をしてる。疑惑をかけられただけあって、マリアを恋人にしたいのかな。
エルフィンは満遍なく話をしてる。寿命が人間より長いから、恋愛対象にならないし、ライバルにもならないし、安全牌なのかもね。
エルフは良いと思うけどなぁ。
いつまでも若くて可愛いままなんだぜ?
自分が歳を取っても、子供のように、孫のように若いままなんだ。
年寄りになっても若い女の子を、性的な意味で可愛がるのは男の夢じゃなかろうか。
「人間の王族には、奴隷にしたエルフ女性を継承して、代々可愛がってるところもあるらしいわよ?」
へぇ〜、ホントにやってる奴、いるんだ。
でも奴隷は嫌だな。
必ず生まれ変わって、お前を口説きにくるからな。とか言って死にたいな。
え?
目の前にエルフィンがいた。
「声に出てたわよ。フェイロンって種族にこだわりが無いの?」
何故、同じ種族でなきゃダメなのか。
耳が長いとか、尻尾があるとか、可愛ければ問題ない。たぶん、日本人の若い男は、同意見だと思う。
「そうなんだ。面白いねー」
そうかな。普遍的な事だと思うけどな。
「狼煙だ!!」
エリックが叫んだ。見れば東から煙が上がってる。低ランクパーティーが遭遇したんだ。
「応援に行くぞ!」
「おう、せっかく見つけたんだ。逃したくないからな!」
どうやら、俺達が一番近いようだ。
五分も走ると、それはいた。
「ライム! 付与だ!」
「了解」
ライムは身体再生、状態異常無効をパーティーメンバーに付与していく。
エリック、オルソン、サァベル、俺、エルフィン、ミリーシャ、最後にライムと付与していった。
「ライムはミリーシャの護衛につけ。ミリーシャさえ無事なら、何とかなる!」
「了解」
エリックが俺を見て「すまない」と言った。
エリックの恋人だから出した指示だと思ってるのかな。
「あれはキマイラよ!!」
エルフィンが叫んだ。キマイラは魔獣だ。
低ランクパーティーは、すでに全滅したようだ。立って戦ってる奴が、もういない。
「鉄壁!」
「加速!」
オルソンとエリックが短く叫ぶ。おそらく彼らの持つ能力だろう。鉄壁は防御力アップ、加速は移動や攻撃速度の上昇か。
オルソンは正面でキマイラの攻撃を受け止めた。エリックは背後に回り込む。
だが、キマイラの尻尾はヘビだ。そのヘビがエリックに噛みついた。だが、毒を持っていたとしても、ライムの能力で無効になっている。
エリックは尻尾を斬り落とした。
斬られた痛みで怒り狂ったキマイラは、オルソンに体当たりを仕掛けた。オルソンは僅かにバランスを崩したが、それをキマイラは見逃さない。
オルソンに攻撃をしようとした瞬間。
「剣牙弾!」
サァベルの遠距離攻撃がキマイラの顔面に直撃した。さすがに怯んだキマイラの隙をついて、オルソンが下がって体勢を整えた。
「加速!」
サァベルがオルソンの横に立つ。それにより、背後のエリックから注意を逸らすつもりか。
よし、それなら俺はわざと音を立てて、さらに敵が来るとキマイラを脅かしてやる。ドタドタ走ってると、俺の横を空気を切り裂いて何かが飛んでいった。
キマイラの体に矢が突き立った。
エルフィンがやったのだろう。
キマイラが、こちらを見た。
題名をつけるなら「憎悪」かな。情けないけど、足が竦む。そのキマイラの顔へ、オルソンが盾で体当たりをかけた。
シールドバッシュ、だっけ。
エリックがタイミングを合わせて、攻撃を仕掛けたがキマイラのヤギの顔がエリックを見ていた。ヤギの口から火の玉が飛び出して、エリックに直撃した。
「うわぁ!?」
エリックが吹き飛ばされて動かなくなる。即死さえしてなければ、ライムの身体再生が効いてるはずだ。
それなのに取り乱したミリーシャが、エリックに向かって走っていく。気持ちは分かるが、そいつはマズイだろ。
ヤギの目は、そんなミリーシャを捉えているが、それは油断というものだ。
「剣爪斬!!」
サァベルの一撃がヤギの首を斬り落とした。だが、キマイラの前足がサァベルを吹き飛ばす。
さらに追撃しようと、キマイラがサァベルへ向いた瞬間に、オルソンが剣を深々と刺した。
キマイラが前足でオルソンを攻撃するが、今度は微塵も動かずオルソンは耐えている。ここが勝負と判断したのか、エルフィンが矢を連射し続けている。その矢は全部キマイラに命中した。
今がチャンスだと俺は思った。
キマイラをパートナーにしてやるのだ。
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