第十八話 草原の旅
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草原をひたすら歩いて数日間が経過した。広大な草原だが、わりと人の姿を見たりする。
その人達は草原の民で全員が馬に騎乗してた。話をする機会があったので聞いてみたら、草原の民は、必ず移動に馬を使うって言ってた。
「だから、あんたらみたいな徒歩の連中は、すぐ他所者だって分かるよ」
とか言われた。
でも、他所者と呼ばれはしても、草原の民は友好的だ。
休憩してると笑顔で近寄ってきて会話を楽む。そして楽しかったと握手して去る。面白い人達だよな。
「草原は何も無いですからね。他人との出会いは娯楽ですから。何かあれば助け合いますし、義理人情に厚いですよ」
「だが戦争になったら勇猛で、残虐な行為もしたと聞くぞ。略奪も平気でやるし、女は犯されるしな」
エルフィンとオルソンが、草原の民について話してる。平和な時代に略奪や強姦をやらない分別があるだけマシだと思うしかないよな。
気がつけばライムがスライムを五匹ほど連れて歩いてた。そいつら、どうしたんだ?
「スカウトしたの。この先、必要になるかもしれないし」
トイレや残飯処理、モンスターを倒した後の死体処理に使いたいのだと、ライムが言ったので許可を出す。
従順についてくるスライムを見ると、パートナーにしてみたくなる。ライムの下位互換な女の子が登場すると予測してるんだけどね。
一度人間にしてしまったら、最後まで養う覚悟を持たないとダメだよな。いつか、その必要を感じるまでは我慢だなぁ。
そのスライム達をジーッと見つめてる奴が、俺の他にも、もう一人いた。
そいつはサァベルだ。
俺はサァベルの隣に行くと、尻尾の根本部分を軽く握ってやった。
なんと表現したら良いのか悩むが、毛の生えた滑らないウナギを握ったみたいに、ビクンビクンと動いてる。
「ぅわぁッ」
普段、語尾に「ですわ」とか「ですのよ」とか、似非お嬢様風な話し方をするのに、そのカケラも無いような声を出して驚いてる。
「スライムを見つめてたけど、どうした?」
驚いた表情で、こちらを見たけど尻尾を触ってるのが俺だと知って、フニャッと柔らかく微笑んでくれる。
俺の腕を抱え込んで、久しぶりに猫みたいな甘え方をしてきた。うん、サァベルの巨乳が俺の腕に押しつけられて楽しい。
可愛いだろ?
こんなに甘えてきて巨乳なのに
元は超がつくほど危険な肉食獣なんだぜ?
「私もライムみたいに、眷属を連れて歩けたらなぁって思いましたの」
サーベルタイガーの眷属って、虎とか豹とか?
戦争の時に夜襲をかける部隊を作れたら、大活躍するだろうな。エサ代とか大変そうだけど。
「そんな能力を持ってたか?」
「ありませんわ」
とても残念です、とサァベルは溜息を吐く。
スライムに話しかけて色々と教え込むライムがうらやましいのかな。サァベルも弟妹に色々と教えて、お姉さんぶりたいのかもしれない。
しかし、スライムだから微笑ましいんだ。
猛獣が五匹もガオガオ言いながら歩いたら、それはもう恐い。
あえて言おう。
脅威であると!
寂しいなら、俺が構ってやろうじゃないか。
そう、これはサァベルのため。
けっして間違えたフリして巨乳をさわる、そんな口実を作るためでは無いのだ!
そんなふうに旅をしてると、草原の彼方に何か見えてきた。だんだん大きくなるソレは、とてつもない巨大なテントだ。
サーカスのテントを10倍にも100倍にもしたような巨大で複雑なやつだ。
信じられない。
骨組みとか、どうなってるんだ?
魔法を使ってるのか?
近くで見ると、本当にデカイ。
元の世界で例えると、ビルを下から見上げるような感じだ。
生地は防水加工されてそうな厚手のもので、幌馬車なんかの幌にも使えそうだ。もしかしたら同じものかもしれない。
中に入ると天井が見えない。低い位置にまで幾重にも布が折り重なってるからだ。こうやって空気の層を作って、温度を一定に保ってるのかもしれないが。
キョロキョロと見てると、背中を叩かれた。
振り返ると、マリアが苦笑してる。
「ここは凄いよね。でも、まずはギルド。それから宿屋へ行きましょう」
夢中になって、あちこちを見て迷子になりかけてたか。面目ない。俺はマリアに手を引かれて、みんなに合流したのだった。
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