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百三十六話 ドワーフ王国4

 ドワーフ族で最強の二人は、サァベルをヒョイと持ち上げると脇へ除ける。サァベルも戦いであれば、例えこの二人が相手でも引けは取らない。だが、殺気が無い敵意の無い動きには、反応が遅れるようだ。


 そのドワーフの二人は俺の腕を取ると手の平を見ている。


 「職人の手では無いな」

 「うむ」


 ああ、俺が作ったとでも思ったのかな。


 「叔父さん、フェイロンは最高の能力を持つ連中を仲間にしているんだよ」

 「なるほど」


 セージュの言葉にゴーワンは頷いた。だがゴーケンはニヤリと笑って、からかうように言った。


 「ならばセージュよ。お前もその最高の能力を持つ仲間の一人なのか?」


 セージュを子供の頃から知ってるだけに、そう言いたくなるんだろう。俺もオムツしてる頃から知ってる親戚の子供が生意気な事を言えば、からかいたくなるから分かる。


 しかし大事な仲間だしフォローしとくか。


 「陛下、貴方がドワーフ族の国王なら、セージュは数百人もの妖精を養う妖精王なんだぞ」

 「妖精など、取るに足りぬ弱者だろう?」

 「違う、とだけ言っておこうか。信頼できる相手でも、セージュも手の内は明かしたくないだろう?」

 「まぁ、ね」


 どうしたもんかと苦笑するセージュ。その表情がドワーフの二人を刺激した。鼻垂れ小僧が最強のドワーフ二人に余裕をかましてるように見えたのだろう。


 「セージュ。一つ稽古をつけてやろうではないか。そちらは妖精を何人使っても構わぬぞ?」

 

 ゴーケンが言う。


 知らぬが仏ってなぁ、こういうのを言うんだな。

 セージュの周りに妖精達が次々に現れる。

 妖精達は少し怒っているようだ。


 「私達を悪く言うのは構わないけど、セージュを侮ると許さないよ」


 リナが低い声で静かに言う。


 「俺にとっては親戚みたいなものなんだ。お手柔らかに頼むよ」

 「ほほぅ、俺を相手に手加減しろとは。舐められたもんだな」


 ゴーケンが迫力満点の笑みを浮かべる。何を言っても地雷を踏むようだと思ったのか、セージュは黙って細長いヒモを投げた。それを妖精達が掴んで魔力の充填を開始する。


 俺なら今すぐセージュを攻撃して、魔力の充填する作業を邪魔するんだけどなぁ。ゴーケンは攻撃しないで待っている。どうせ強い奴にありがちな、最初の一手を譲るってやつだろ。


 それで負けたら世話ないんだが、まぁ仕方ない。


 充填を終えた妖精達がヒモから離れた。セージュの魔力が体から溢れて、妖精達はボンヤリと光っている。


 「準備は良いか? ならば、かかって来い!!」


 と、ゴーケンが啖呵を切ったと同時に、妖精達が両手をゴーケンに向ける。今の戦いに出てきた妖精は100人くらいか。その人数から繰り出された魔力の光は次々にゴーケンに命中した。


 ボロ雑巾のように吹き飛ばされているが、大きな怪我などはしてないようだ。


 「手加減してるもの。当然よ!」


 リナがドヤ顔で言う。

 セージュが手を上げると攻撃はピタリと止まる。このあたりが凄いんだよな。ウチも参考にしないと。


 「叔父さん、大丈夫?」

 「ああ、散々に吹き飛ばされたが怪我はない」


 大したもんだと、ゴーケンも認めた。


 「俺も空を飛べる奴を大勢仲間にしてるけど、セージュの妖精達とは戦いたくない」


 本気で思うよ。狭い所からも侵入できるし、攻撃力は高いし、小回りも利くからな。だからこそ、仲間にしたんだけどね。


 「でまぁ、セージュ達の凄さを理解してもらったところで、聞きたいんだけど仲間にならないか?」

 「条件が一つある」

 「聞こう」

 「先程の純度の高い金属を、こちらにも売ってほしい」


 俺はセージュを見る。

 セージュ達の、妖精の力を使えば空飛ぶ島と繋げる事が出来るからな。セージュが良しと言えば、難しい事じゃない。


 「繋げる事に異論はないよ」

 「ありがとう。陛下、格安で売るよ」

 「そうか!! ならば村を作る者達の人選をするとしよう!!」


 いくら手加減したと言っても、あれだけ吹き飛ばされたのに何事も無かったように破顔して立ち上がるゴーケンを見て、ドワーフは凄いと思ったよ。


 


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