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百三十五話 ドワーフ王国3

 通路を歩いていくと、人が並んで通れる程度の細い道に入っていく。傾斜は緩やかな登り坂で、世界樹で鍛えてなかったら、すぐに根を上げていただろう。


 途中で広い場所に出る事もあるが、そんな場所には屈強なドワーフの騎士が何人もいて、ゴーワンがいなければ通してもらえなかったに違いない。そして無理に通ろうとすれば、必ず犠牲が出る事は間違いないだろう。


 「しかしこれ、どこまで続くんだ。地下の単調な景色の中で、延々と歩くのは辛いな」

 「安心せい。これで終わりだ」


 下を見て歩いてたから、気がつくのが遅れたけれど、目の前に立派なドアがあり、そこにも騎士が立哨をしている。


 「この道はな、城へ出入りする為の裏道なのだ。表から入れば謁見の順番待ちで一ヶ月は待たされる。だから早く会って話をしたい時は、こちらを使うのだ」

 「それは、ありがたい」


 俺が頭を下げると、ゴーワンはニヤリと笑う。


 「なぁに、感謝の言葉はいらんよ。あとでワシに恨み言の一つも言いたくなるかもしれんからな」


 それは何故なのかと尋ねたら、ゴーワンは真顔で答えた。


 「お前達の土地に我々の村を作りたいのだろ? この山は我々にとっては天国なのだ。鉱物資源は豊富にあり、武具も大量に作れるのだからな。国王にしてみれば天国から国民を連れ出す不届き者だ。コテンパンに殴られて、城外に放り出されるかもしれんぞ」


 ゴーワンも恐いが、国王は更に恐い存在らしい。

 だが勝算も無いのに、俺が来るはずもない。

 ミッキーを見てニヤリと笑うと、ミッキーは、そんな俺を見て自分の鞄を叩いてみせる。


 立派なドアを開けて中に入ると、剥き出しの岩肌ではなく、まるで貴族の館か城の中に入ったかのような素晴らしい装飾が至る所に施された廊下だった。

 そんな廊下を歩いていると、また上り坂を歩かされる。だが、今度は辛くはない。


 何故なら上り坂の片側の壁は、全面が透明度の高いガラスとなっており、外の絶景が見えるからだ。世界樹から見た美しい景色に勝るとも劣らないと思えた。


 これを見れただけでも来た甲斐はあったな。


 次はいつ見れるか分からないし、もう二度と見ることは無いかもしれない。そんな思いで眺め続けていたら、肩をつつかれた。


 ハッとして、振り返るとサァベルが遠慮がちに前を指差している。前を見ると豪華なドアの前でゴーワンが苦笑混じりの呆れ顔で俺を見ていた。


 「ずいぶんと熱心に外を見ていたな。気に入ったようで、何よりだ」

 「あぁ、申し訳ない。俺は美女と美少女が大好きなんだけど、実は美しい景色も大好きでね」

 「そうか、それならまた後で、ゆっくりと見ればいい。今は陛下との会談を優先してもらいたい」


 勿論だ、と俺は頷いた。


 ゴーワンがドアを開いて、俺たちに入るように促すので、セージュを先頭にして入室する。俺が先頭じゃないのは、別に国王にビビったからじゃない。


 本当だぞ。

 この地の人間側の支配者であるセージュを先頭にすべきだと、それが礼儀だと思ったからだ。


 いや、マジで。


 「よく来てくれたな」

 「お久しぶりでございます」

 「非公式の場だ。昔のように叔父さんと呼べ」

 「では、そうします。叔父さん」


 ドワーフ王ゴーケンと、セージュが会話している間に、セージュの背後から覗き見ると、ゴーワンも凄いがゴーケンは更に二回りはデカイ。


 そしてゴツイ。


 そんなゴーケンが俺を見る。つーか、目が合ってしまった。


 「その者がセージュの仲間か?」

 「ええ、彼の名前はフェイロン。我々の頼もしいリーダーですよ」


 俺は慌てて頭を下げて挨拶をした。

 フン、と息を吐いてゴーケンは俺を品定めしてる。


 「セージュが昔より成長したのは認めよう。が、その男が凄いとは思えんなぁ」


 まぁ、そうだよな。

 俺は英雄とか勇者なんて、ガラじゃないからな。

 そんな俺とゴーケンを、セージュは楽しそうに見ている。俺がミッキーを見ると、心得たように金属の塊を取り出した。


 「ほぅ?」

 「ふむ?」


 さすがドワーフは目敏い。遠目に見ても普通ではないと分かったようだ。

 ミッキーがゴーケンとゴーワンに金属塊を手渡すと、原子の一粒も見逃すまいと真剣な目で確認している。俺は見たって全然分からんが、奴らには分かるんだろうな。なんか唸ってるし、ニヤけてるし。


 「信じられん。これは純度100%に見えるぞ。俺の鑑定眼が鈍ったのか」

 「いや俺の目でも同様に見える。我々の技術をもってしても出来ない事なんだが・・・」


 二人は俺をギラリと睨みつけると、ツカツカと歩み寄ってくる。セージュは二人に道をあけてしまう。殺気こそ無いようだが、二人の迫力が凄くてサァベルが俺を守るように前に出た。

 

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