↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/139

第百二十七話 ギルマスの説得失敗

 「ダメだッ!!」


 事情を話したら即座に断られた。無理も無いけど少しくらい考えてから言ってくれよ。


 「フェイロン、お前が言うくらいだから、何かあるんだろう。でもな、オークやゴブリンは、絶対にダメだ」

 

 分かるだろう、と諭された。

 そりゃ確かに分かる。

 大事な女房と子供に、あんな真似されたら、どんな説得をしても無駄だ。

 無関係な俺だって、あの光景を見てはらわたが煮えくり返ったのだ。

 テムジンやジャムカ達だって大切な女性を得て、初めて自分達の行為の残虐さを心から理解したんだ。


 だが、少なくともテムジンとジャムカの部族からは、二度とあの光景は現れないと、俺は断言できる。


 「連れて来てしまえば、何とかなるとか考えてるなら甘いぞ。ここは冒険者ギルドだ。壮絶な殺し合いが始まる。そうなったら止められない」


 やめておけ、というギルマスの忠告を聞いて、俺の決意も鈍った。ギルマスが反対する時は、本当にマズイから言ってるんだ。

 

 それが分かる程度には信頼してるからな。


 とは言え、ここで引き下がっては何も始まらないんだよな。


 「ギルマス、オークとゴブリンの性別を聞いてもいいかな?」

 「今さら聞くか? 奴らは全部雄だよ。だから他種族の女性を拐って孕ませるんだ。だから相容れないんだよ」

 「だよなぁ、そうなるよな」

 「分かってるなら聞くなよ、まったく」


 人間やエルフの認識では、オークもゴブリンも雄、男しかいないんだよな。じゃあ、雌、女の出番だと思うんだよ。


 俺は空飛ぶ島に戻ると、テムジンとジャムカ、テムジンの妻のボルテ達を集めた。


 「残念だが、オークとゴブリンの参加は認めてもらえなかった。思った以上に拒否反応が強い。黙ってお前らを連れて行こうと思ったが、冒険者と殺し合いが始まると釘を刺された」

 「参加すら無理か・・・」


 悲痛な表情でテムジンは項垂れた。


 「だから、ボルテ達を連れて行こうと思うんだよ」

 「妻達を、ですか!?」

 「そうだ。今回交渉したギルマス、人間の認識ではオークとゴブリンに女はいない。だから連れていっても攻撃はされない」


 男が行けば殺し合いになるが、女は他の種族、獣人認定されるだろう。そこで仕事をして信頼を勝ち取ってから、種族をカミングアウトして男達を認めさせるのだ。


 これしかない、と思う。


 「作戦は理解したが、妻に土木作業をさせるのは……。そんな力仕事や汚れ仕事は、我々男の仕事だと思うのだ」


 つくづく思う。

 女性を大切にするようになったなぁ、と。

 確かに俺だって、どうかと思うけどさ。


 「大丈夫よ、あなた。私達の子供や孫が、他種族と不幸な出会いをしないように。その為なら、私は何でもやれるわよ」


 ボルテは素晴らしい。

 思わず抱きしめた。つーか、ボルテは大きいので抱きついたって言う方が正確か。


 「なぁッ!? フェイロン殿!! いくら貴殿でも、わ、我が妻に抱きつかないで頂きたい!」


 嫉妬かよ。

 ボルテは優しく俺を抱き返してくれた。

 手加減を覚えたか。

 さすが、出来る女は違うな。


 「あなた。フェイロンは私達の生みの親。いわば父親ですよ」

 「む、な、なるほど」

 「テムジン、悪かったな。だが、ボルテの覚悟に感動して、つい。許してくれ」

 「妻の素晴らしさにですか。ならば仕方ありませんな!」


 とりあえずオーク族とゴブリン族から、女性を各10名ほど参加させる事にしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。