第百二十四話 セージュと再会
「ちょっと待て。なんかヤバイんだろ? 心の準備をするから、待て」
ギルマスは深呼吸を何回かすると、よしっと気合いを入れて、どうぞと言った。
「え〜っと、こちらはルシファーって奴で、西に2つ目の大陸で人間と覇権を争ってた魔王なんだ」
テヘッと笑いながら、重い雰囲気にならないように気をつけてサラッと言ってみたが、ギルマスは顎が地面に落ちそうな顔をして驚いてた。
「この大陸に戦乱を起こすつもりか?」
ギルマスが俺の胸倉を掴んで、低いドスの効いた声で尋ねてくる。なんか怖かったので、首を残像が残るような速度で振って否定した。
「いや、フェイロンから新しい大地をもらう約束をしている。この地で争うつもりは無いので安心して欲しい」
ルシファーの言葉に、ギルマスは一瞬安心したような表情をしたが、すぐに厳しい表情に戻った。
「お前、魔王を相手に安請け合いして、大丈夫なのか?」
どうやら、俺の心配をしてくれてるらしい。なので、空飛ぶ家を遥かに凌ぐ巨大な空飛ぶ島を作って、天空の浮遊大陸に魔王の国を作るのだと説明した。
「あの乗り物の、さらに巨大なやつか」
「そうです。俺の空飛ぶ家から村、いや町かな。まだまだですが、進化中なんですよ」
「そんな凄いものを作ったのは分かった。遥かな高みにある浮遊大陸に、その魔王を頂点とする国を建国するって事も了解したが、それなら何故、ここに戻ってきたんだ?」
俺はチラッとリナを見た。
それだけで、ギルマスは察したようだ。
リナは菓子を頬張っていて分かってない。
「実はセージュを迎えに来たんです」
「セージュ!?」
お、リナが食いついた。
「おう、セージュと妖精のコンビは強いから仲間にしたくてな」
だから世界を一緒に旅しないかと誘ってみたのだが、しかし断られてしまった。
「セージュは妖精の里にいるの」
あ〜、あの林や川や色々あった異空間か。
「セージュのおかげで、私達は誰にも負けないで生きていける。でもセージュが居なくなったら、私達は惨めな生活に戻ってしまう」
だから、セージュを妖精の里に半ば軟禁してるようだ。妖精の里には老化を少し遅らせる効果があるらしい。
まぁ妖精達の気持ちは分かる。
セージュにしてみたら、尚更だろう。
自分亡き後を思えば、妖精達の気の済むようにしてやろう、とか考えてんだろうな。
「リナ、お前らの気持ちは分かる。けど、それでも破滅の時を遅らせてるだけってのは、分かってんだろ?」
「……うん」
「もしかしたら解決できるかもしれない」
「ホント!?」
「あぁ、ダメで元々だ。セージュを交えて俺の話を聞いてほしい」
「分かった!!」
リナがセージュと妖精達に、話をつけてくれたので、無事に妖精の里に入る事が出来た。ギルマスもセージュが心配だったそうで、顛末を見届けたいと着いてきた。
「セージュ、元気そうだな」
「フェイロンもね」
最後に見た時は、妖精達の夜の相手をしすぎて痩せてたけど、今はすっかり元通りだ。
「リナから聞いたと思うが、セージュを仲間にしたくて帰ってきたんだ」
「それは聞いたよ。こちらの事も?」
「おう、セージュ亡き後が心配なんだろ?」
「そうなんだよ。まだ俺は若いんだけどね」
セージュが苦笑いしてる。
まだセージュは二十代だよな。
けど、エルフ並みに生きる妖精からすると、人間なんて、すぐ死んじゃう生き物とか考えてんだろうな。
んで、俺は提案してみた。
もちろん、セージュの長生きについてだ。




