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第百二十三話 ギルドにて。

 ギルマスは俺の周囲にいる者達を、仕事柄だろうが素早く観察してたようで、すぐに見慣れないルシファーとリリィに目が止まった。


 どんな人物なのか、どの程度の実力なのか、探るような視線を向けると、ルシファーとリリィも、ギルマスの意図を瞬時に理解したようだ。


 双方、黙って静かに睨み合っている。

 俺はユーリのスキルや、ナナミのミルクのおかげもあって、戦闘時の身体能力は劇的に向上したけれど、本来の戦闘能力はお粗末なもんだ。


 そんな俺でさえ分かる。

 この場の空気が重い、とてつもなく圧迫感があって押し潰されそうな気がする。サァベルとリルが来て、俺をその場から離した。

 偶然、その場にいた中堅以下の冒険者は腰を抜かして逃げていった。

 強い者達はギルマスを庇うような位置に陣取っている。ミスリーンとイオリが睨み合う三人と俺の間に立って壁となってくれた途端に楽になった。


 「ありがとう、楽になったよ。サァベルとリルも、ありがとな」

 「いえ、フェイロンを守るのが私達の仕事ですから」


 こちらを振り返って微笑む。

 ミスリーンとイオリは可愛いな。

 もちろん、サァベルとリルも可愛い。

 あとで四人を可愛がろう。

 ユーリとライムとミッキーはアルフィを連れて、外へ逃げたようだ。

 よくやってくれた。

 アルフィは働き蜂っ子だから、こんな場所にいたら潰されてしまうもんな。


 三人が睨み合いを始めてから、かれこれ三分くらい過ぎたろうか。この場にいる全員が、ある意味で精神的に鎬を削る戦いをしてるが、俺は守られてるだけで参戦してない。


 だから暇で仕方ない。


 目の前にミスリーンとイオリの大きな尻があるのだが、触ったら怒られるだろうか?

 誘惑に負けて、二人のお尻を撫でてみたが無反応だった。それだけ集中してるのだろう。

 二人にイタズラして崩れた場合、さっきの重圧が襲いかかってくるんだろうし、やはり自重するしかない。


 「ちょっと、ちょっと!? ギルドに魔王でも現れたのッ!?」


 エルフと妖精が飛び込んできた。

 魔王でもってのは比喩で、本当に現れたとは思ってないんだろうけど、実は正解です、はい。


 凄い剣幕で飛び込んで来たから、分からなかったけどエルフィンとリナじゃねーか。


 「ギルマス!! これは一体、何の騒ぎよ!」

 「エルフィン、久しぶりだな!」

 「あら、フェイロンじゃない!?」

 「はぁ〜、ま、ここまでにしとくか?」

 「そうだな。久しぶりに楽しめた。フェイロンの知人には面白い人間がいるのだな」

 「楽しい、か。いやはや、余裕を見せてくれるもんだ。俺はギリギリ精一杯だったがな」


 エルフィンがギルマスを問い詰め、俺とエルフィンが挨拶、それを機会に睨み合いを止めるギルマスとルシファーと、場は混沌として手がつけられない有様になっていた。


 その場が落ち着くには、もう少し時間を必要としたのであった。


 10分後、奥の会議室にギルマスとエルフィン、リナ、俺、ルシファーで、お茶を飲んでいた。


 「で、久しぶりの里帰りは歓迎するが、また凄い奴を連れてきたな」


 ギルマスがルシファーを見て言った、

 いや、魔王相手に、あそこまで頑張れるギルマスも凄いけどね。俺はルシファーにギルマスの紹介をした後、ギルマスにはルシファーを、どう説明したものか頭を抱えた。


 「隠さず全部話せばいい」


 頭を抱える俺に、茶を飲みながらルシファーは言った。

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