第百二十二話 最初の大陸へ
最初の町にドワーフはいたかな?
たぶん、いなかったと思う。いたら、この世界に来たばかりだったし、きっと俺は興奮して大騒ぎしてたはずだ。
でもドワーフはいなかったけど、希少なユニコーンはいたし、ベティ先生との出会いも、最初の大陸だった。
ベティがいなければ、空飛ぶ家は作れなかったから、船で他の大陸に渡る事になるから、大変だったろうな。
さて、最初の大陸に戻るとして、遥か沖合いに空飛ぶ島を待機させて、家で戻るんだけど誰を連れて行くかな。
まず、サァベル、ライム、リル、ユーリ、ミッキー、ミスリーン、イオリ、蜂っ子の戦闘型を20人、エルフを20人、天使族を20人。
こんなもんで大丈夫かな。
「私も行こう」
「ルシファー様が行くなら、私も!」
すでに二児の母でありながら、リリィは娘気分が抜けないようで、こうやって一緒に行きたがるのだ。
ルシファーは強いので、護衛など不要なんだけど万が一が起きては困るのでリリィに頼む。
「任せてよ」
以前は黙って立っていると、冷たい雰囲気があったけれど、今は良い感じに朗らかで温かい女性になっている。
そうだ、忘れちゃいけない人物がいた。
ギルマスに可愛がられてた蜂っ子がいたんだ。
「アルフィ、一緒に行こう。久しぶりにギルマスに会いたいだろ?」
「はい、お願いします」
大陸から出た頃は、まだ子供っぽい感じだったけど、今や大量にいる蜂っ子を部下として束ねる管理職の一人である。
立派になったもんだ。
この空飛ぶ家を飛ばすのに、働き蜂っ子達も乗っているんだけど、新人ばかりで古参がいなかった。なので、ちょっと注意しておこう。
「今から行くのは、俺にとって始まりの大地で、蜂っ子にとっては故郷だ。
だが、懐かしの故郷の海域は、危険極まりないので気をつけろよ。
この空飛ぶ家も、自分の翼で飛べる者も高度50メートル以下で飛ぶなよ。
超巨大な肉食魚に食われるぞ」
新人蜂っ子は半信半疑だったようだが、俺の指示には従った。どうやら本当かアルフィに聞いてたようで、アルフィも俺の言葉を聞いて思い出したようだ。
アルフィはその瞬間は見てなかったようだが、あと少しで食われるところだった仲間の怯えようを見てたらしい。
特にトラブルらしい事も無く、中央都市の北側の外に空飛ぶ家を着陸させると、サァベル、リル、ライム、ユーリ、ミッキー、ミスリーン、イオリ、アルフィと兵隊蜂っ子のトム子、魔王ルシファー、リリィを連れていく事にした。総勢11人は多いかと思ったけど、まぁ仕方ない。
家に残る連中には、俺が戻るまで絶対に誰も入れるなと厳命しておく。恫喝してきたら、実力で排除しても構わないと告げておいた。
あの家の戦力を相手に勝てる奴なんか、この大陸にはいないだろう。セージュ以外はね。
中央都市に入ると、何年も経ってるのに足が自然とギルドに向かって歩いていく。生活してた頃と変わりなく懐かしい。
初めて来たルシファーとリリィは、珍しそうに見ていたが、それ以外の面々は懐かしそうにしている。
そして大きな、見覚えのある建物が見えてきたのだが、少し、ほんの少しだけ、歩く速度が上がっても仕方ないよな。
ドアを開けると、受付カウンターに初対面なら目を逸らしてしまうだろう強面の屈強な男が立っていた。
少しだけ、白髪が増えたかな。
アルフィが走りだして、その男に飛びついた。
普通の若者ならば、アルフィが飛びついたら転倒したに違いないが、ギルマスは余裕で抱きとめた。
「ギルマスのおじさん、ただいま!」
「あっ! 蜂っ子の!? 大きくなったなぁ」
娘を見るような目でアルフィを見ていたが、すぐに俺にも気がついたようだ。
「おう、懐かしい顔だな。おかえり!」
仕事から無事に帰ると、この笑顔で迎えてくれてたんだよな。懐かしくて少し涙が出たよ。




