第百十二話 魔王軍の問題点
魔王軍の問題点は主力となるオークやゴブリンが、他種族の女を拐い産ませる事だ。女の眼前で男を殺し、男の目前で女を孕ませる。
これほど憎しみを生む行為は、他に考えられないと戦士は言った。確かに、俺もオーク軍を殲滅した時は、そう思った。
さっき、オークの上位種が種族に女性がいないのは呪いだと言ったが、もし、神が人間に種族を滅ぼしたくないならチンパンジー相手に行為をしろと言ったなら、そりゃ呪いだと言いたくもなる。
性行為の相手を道具か何かと割り切るから、大事にしないし残酷な行為も平気でやれる。そこが歪んでるんだよな。
だったら、同じ種族の女性を作ればどうなるかって事なんだ。
それを見た上で、オークやゴブリンを滅ぼすべきか考えたい。
「俺には如何なる存在も、俺のパートナーにする能力がある。この能力を使って、俺のではなく、オークやゴブリンのパートナーを作れるか試したい。たぶん出来ると思う」
そんな事が出来るのか?
ヒソヒソと話してる奴がいる。
とくにオークやゴブリンには、落胆した表情の奴が多く、期待して落胆した分の憎しみの視線を俺に向ける奴もいる、
「信じてない方がいるようですので、教えて差し上げます。私は元々はサーベルタイガーでしたわ」
耳や尻尾に名残りがあるし、何よりその戦闘力を敵も味方も見てるからな。サァベルが言うと説得力があるようだ。
「そうか、サーベルタイガーだから、名前がサァベルなのか。なんと安直な・・・」
うるさいな。
いいだろ、別に。
サァベルだって気に入ってんだよ。
「魔王を倒せば英雄と呼ばれるようになるだろうし、色々と融通が効くようになるだろ。そんな英雄諸君に頼みたい」
俺が頼んだのは、人間の犯罪者を引き渡す事。キラービーから蜂っ子が生まれたように、その辺に生息してる魔物から作っても構わないんだけど、自分とは異なる種族のパートナーにするのは敷居が高いと思ったんだ。
だから犯罪者。
とくに殺人や性犯罪を犯した者を、オークやゴブリンのパートナーにしてやろうと思ったんだ。どうせ死刑になるなら、身も心も作り変えてやれってね。
性犯罪をした奴らも、心身ともに生まれ変わってやり直せと思ったんだ。
オークやゴブリンが、普通の種族になることで、人間やエルフ、ドワーフなどを味方に出来るならば、建国の為の戦いも楽になると考えた魔王は、滅ぼされた事にするのを承知した。
魔王軍の生き残りは、ミッキーの異次元倉庫に入ってもらい、倒した証として魔王の佩刀を持ち帰る事にした。
魔王の首なんて用意出来ないからね。この地下も魔王の最後の足掻きって事で崩壊させる。ベティ先生に頼めば一発だ。
「この力を使えば、我々など簡単に全滅させられるだろう。何故、やらなかった?」
「美少女ヴァンパイアをパートナーにしたかったからだ。魔王に惚れてるから諦めたけどな」
あっさり崩壊した地下迷宮を見た魔王の問いに答えてやった。
「貴様なら世界を征服できるのではないか?」
「いらねーよ。世の中には恐ろしく強い奴がウヨウヨいるんだ。必ずどこかで負ける。そうなるくらいなら俺は美少女達をパートナーにして、のんびりとハーレム三昧な生活を選ぶよ」
魔王は何かを思い付いたように言った。
「確か、世界樹に住むエルフから、大勢の美少女エルフを引き取ったから、私と戦ったんだったな?」
「そうだよ。俺は義理堅いんだ」
「ならば私に娘が出来た時に、お前に娘をやれば我が国の為に戦ってくれるのか?」
「お前とあいつの娘なら間違いなく美少女になるだろうが、ダメだな、無理だ」
「何故だ。お前は義理堅いんだろう?」
「お前の娘は来ないよ。極度のファザコン娘に育つからな」
「それは困ったな。娘が離れたくないと泣いたら、手放せそうにない」
「俺も不老らしいから、気長に口説きにいくよ。それまで滅んでもらったら困るから手を貸すとしよう」
魔王はニヤリと笑って、握手を求めてきたので喜んで応じた。
「私の名はルシファーだ。そう呼んでくれ。あの者はリリィだ」
魔王は自分の名と美少女ヴァンパイアの名前を教えてくれた。あとで知ったが名前を教えてくれるのは、相当に気を許した相手だけらしい。
「強いわりに美少女にしか興味がないですし、安全で心強い味方に出来ると思われたのでは?」
と、サァベルは言った。
そんなもんかな。




