第百十一話 魔王と対話2
もう一つは、お前だ。と美少女ヴァンパイアを指さした。
「え、えぇ!? わ、私!?」
黙って立っていると、冷酷非情な雰囲気があるが、喋るとボロが出るな。
「お前の父親と戦って倒した」
「父を?お前が?」
「そうだ。あの娘大事な親馬鹿ノーライフキングは」
「確かに私の父だな」
「お前を俺にくれると言った」
「なッ!?」
「それはウソですわね」
サァベルめ、ばらすなよ。
俺は美少女ヴァンパイアをジッと見つめる。
「な、ななな、なによッ!?」
「これはダメだな」
好きでもない男に、俺の物にすると言われるのは不愉快だが、ダメだしされると、それはそれでムカつくらしい。
「わ、私が、ダメって何なのよ!?」
このヴァンパイアの美少女は、我が家のサァベルと同じタイプだ。とても一途に尽くす。この美少女は魔王に心酔してる。惚れ抜いてると言っても良い。
単に仕えてるだけなら、魔王を倒せばチャンスはあっただろうが、今だと下手に魔王を倒そうものなら、どちらかが死ぬまで命を狙い続けるに違いない。
何故かは知らないが、俺には分かる。
だから、それらを説明した上で結論を言った。
「故に、お前は俺のモノにならないから、ダメなんだ」
「わ、わた、私がま、魔王様に!?」
「もう、告白したんだろ?」
「・・・・」
どうやら、秘めたる想いは告げて無かったらしいな。意外とヘタレである。しかし魔王なら分かっていたはずだ。
「こんだけ分かりやすい奴だ。こいつの恋心は分かってたんだろ?」
「まぁな。だが我らの国を建国するまでは、恋愛などしてる暇はない」
「なら、こんな女は邪魔だろ? 俺にくれ」
「ダメだ。得難い副官だし、建国した暁には妻に迎える予定なのだ」
そうか。
ならば仕方ないな。
つーか、ヴァンパイアの美少女は真っ赤になって倒れそうだが大丈夫かな。あ、サァベルが助けにいったか。
「美少女は俺のパートナーにならんし、魔王相手に勝っても何の得も無い。もう帰るか」
「今更、それは困りますぞ!!」
ここまで共に戦ってきた戦士達が抗議の声を上げる。まぁ、そりゃそうか。
「魔王、お前は名より実を取る気はないか?」
「どういう意味だ?」
「つまり、ここで滅びろ。その代わりに国を起こす手伝いをしてやるよ」
ここで戦士達に滅ぼされた事にしたら、人間国家は喜ぶ。ここまで来た戦士は英雄として凱旋して地位と名誉を得る。
「この地から魔王軍が駆逐されて平和が得られるならば、我らは文句はありません」
と、戦士達は言った。
「魔王様が人間如きに滅ぼされた。そんな不名誉を受けて、どこに国を得られるのだ。他の大陸か?」
美少女ヴァンパイアが聞いてきた。
地上で新天地を探すのも良いな。
だが、俺の目指すのは空の上の浮遊大陸だ。
「天空の遥か高みに浮遊大陸がある。そこには手つかずの大地もあるだろう。そこで国を得る手伝いをしてやる」
魔王の国が天に出来て、空の活動拠点に出来れば俺にもメリットがあるし、魔王軍の手を借りれば空飛ぶ島も開発が進む。
「勿論、天空ではなく大地に国が欲しいなら、探す手伝いはしてやる。どちらにしても魔族の王が治める他民族国家を作れよ。そうなれば人間だって国民になるだろう」
戦士達も頷くが、苦言を呈する者もいる。
「誰が王であれ、善政が敷かれるならば問題ないが、魔王軍には一つ問題がありますぞ」
と、その戦士は言った。




